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勇者の十字架  作者: 凪野 晴
第二章

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33/58

第33話 研究

 一人残されたクロスは深呼吸をすると、テーブルに並べられた宝石をひとつ、ひとつ触ってみた。相性の良い魔法を調べるためだ。


 ルビーは炎。アメジストは紫電、つまり雷の力。ムーンストーンは幻影。そして、アイオライトは身体増強が合うとわかった。


 そして、スキル『眠れる宝石』で、宝石の所有者や込められた想いもわかる。どの宝石もリーゼの持ち物だった。王女だから、こういった装飾品は持っているのは当たり前なのだろう。


 クロスは思った。きっと、どれも高価なものに違いない。無くさないように大切にしなくては。



 それぞれの宝石に『眠れる宝石』を使う。初めて複数の宝石に使ったことでわかった。スキルを使う際に触れていた指から、その宝石へ例の光の線が伸びる。両手の指で十本。おそらく十個までしか『眠れる宝石』はセットできない。そういう感覚がある。


 それから、宝石に込められた魔法の発動を調べてみた。翡翠の時の様に、条件に応じた自動発動は可能。あとは宝石から離れていても魔法を発動させることも可能だった。これはアメジストで確認した。アメジストから弱い放電が確認できたから。一分後に発動といったタイマー起動も可能だった。


 あとは、魔法を発動させるのがクロスでなくても大丈夫かといった確認がしたかった。後でパーティの誰かにお願いしてみようと、クロスは考える。込めた魔法の発動がクロスでなくても良いのであれば、使い方の幅が大きく広がるからだ。


 とりあえず、四つの宝石にスキルを使って魔力を込めておいた。


 明日は、リーゼから魔法の基礎を教えてもらえる。魔法と『眠れる宝石』の組み合わせ方も、研究していくテーマだなとクロスは思った。


 *

 

 王都の屋敷での滞在中、クロスはリーゼから魔法を教わり、ヴィルヘルムやミコトから剣の稽古をつけてもらった。


 また、四人パーティになったことでの戦闘や探索時の陣形や作戦コードも決まり、それを憶えることもした。作戦コードは体系化されており、原理がわかると覚えやすかった。


 四人が揃った時は、その作戦コードに合わせてのそれぞれの役割や位置どりを練習。クロスにとっては楽しい時間だった。毎日、何かを学んで成長している実感があったのだ。


 魔法と『眠れる宝石』の連動も研究できた。例えば、炎の魔法は、ルビーと相性が良い。宝石の力を借りて、炎の範囲や威力を拡張できた。


 また、気になっていたことも確認できた。クロス以外でも、宝石に込められた『眠れる宝石』の魔法は発動可能だった。ただし、その宝石を身につけているのが条件らしかった。宝石と自分を繋ぐ光の糸がないためだろう。


「宝石に込めた魔力は、回収できるのかな?」


 剣の稽古が終わった休憩時間に、ミコトが聞いてきた。


「ん、なんで?」


「いや、スキルを使った宝石って、クロス君の込めた魔力量だけでなく、想いの強さや時間が経つほど威力が上がるって話だったでしょ」


「魔力などが存分に蓄積した状態から、魔力として戻せるなら、回復手段としてもいけるよね」


「ああ、なるほど。ちょっとやってみる」


 そう言ってアイオライトの髪飾りを取り出す。まずは、触れていない状態、つまり光の糸がクロスと髪飾りを繋いでいる状態で、『眠れる宝石』解除しようとした。光の糸を通じて宝石に蓄積されていた魔力がクロスの身体に注ぎ込まれた。魔力の回復はできる。とはいえ、自分の魔力の許容量を超えると無駄になってしまいそうだ。


 次にクロス自身の魔力回復ではなく、ミコトにできないかと検証した。ミコトにムーンストーンの首飾りを身につけてもらった状態で、その『眠れる宝石』を解除した。光の糸経由でクロスに魔力が流れはしなかった。だが、ムーンストーンの首飾りを身につけているミコトは、魔力が回復した実感があったという。


 ミコトも多少魔法を使うことがあるそうだ。矢を射る時は、風の補助魔法で命中率を上げるとのことだった。

 

 クロスのスキルについての検証結果は、パーティ四人全員に共有された。ヴィルヘルムは、クロスがパーティに加入したことで大幅に戦力が上がったと嬉そうだった。


 *


 こうして王都の屋敷での滞在で、一ヶ月程度が経った。リーゼは第三王女としての公務が忙しく、その護衛と付添いはヴィルヘルムが務める形だった。クロスとミコトは、リーゼの屋敷で多くの時間を過ごした。広い屋敷では、敷地内で剣や魔法の鍛錬ができた。


 厄災に関しては、これまでの調査の結果を踏まえて、新たな調査エリアが決められた。今度は王都から南下していく形になるとのことだった。

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