第4話
急にコメントの速度が速くなる。
おっと、これは……どうした?
コメント:
>!?!?!?www
>え、なんかめっちゃ部屋映ってるけど大丈夫?
>え? 何これ汗
>まじで放送事故じゃん
「!?」
不穏な文字が目に入ったので配信画面を確認する。
まず、奥には、見慣れた薄暗い汚部屋が、映っている。
そして手前には、私が着ているのと同じヨッレヨレの痛Tシャツを来た人物の下半身が、映っている。
んんんんん???????????????????????????????????????????????????????????
あっ
これは
机の上に転がっているWebカメラが目に入る。
すぐさまそれを手で押さえ、そのまんま掴んでレンズを床に押し付ける。
あ……
あっぶねえええええええええええええええええええええ!!!!!!!!
コメント:
>え?ww
>ガチ放送事故やんけ!
>とんでもない超美麗3Dダァ(白目)
>めっちゃ部屋散らかってて草
>まじで大丈夫…? 面白さよりも心配が勝つよ
心臓がドックン、ドックンと音を立てている。
「あっ、えっと、」
言葉が出ない。あれ、これ、どうすれば……
次の瞬間、電話がなる。
「あれ? え? 松下さん?」
電話を取る。
「も、もしもしぃ」
「あ、りりあちゃん!? ちょっと一回配信とめて!」
「え、でもまだ途中なのに」
「良いから! 間違えて顔が映らないようにカメラは押さえたままで!」
「えぁ、は、はい!」
「配信止める順番は覚えてる?」
「いや覚えてないですけど、グループLINEに送られてきたやつを見れば……」
「じゃあそれでも良いから早く!」
「はいぃ」
コメント:
>マネージャー参戦で草
>松下さんって誰? これ聞いて良いやつ?
>松下マネ介入草
「そ、そんじゃあリスナーの皆さん! ちょっとマジでトラブったので配信やめますよー☆」
もうギャル口調もめちゃくちゃだ。
視聴者にそう言った後は、指示に従って配信を止める。
カチ、カチ、カチ……と数回の操作で配信がオフラインになった。
そうして部屋は、静寂に包まれた。
────や、やってしまった────。
- - - - -
初配信(放送事故)から1日たった昼。
今夜には、初配信についてなども含めて事務所で一度話があると連絡があった。
……怒られるのかなぁ。うああ嫌だ!
ともかくそんなわけで、今は自宅で待機。
「憂鬱だぁ」
私は寝転がり、天井を見つめながらつぶやく。
「知らない天井だ……」
エヴァの碇シンジごっこをして現実から目をそらしてみる。
認めたくないものだな、自分自身の若さゆえの過ちというものを。
だがしかし、いつまでも失敗を引きずるわけにもいかない。
ポジティブに捉えるんだ……個人を特定できる情報が流出しなくて良かったと。
よし、切り替えてなにか生産的な活動をしなければ。
私は寝転がったまま数秒、天井にぶら下がった電灯を見つめる。
そしてある覚悟を決めた。
……そう。私もついにやってしまうことにしたのだ。人生初のエゴサーチというやつを!
(エゴサーチが生産的活動なのかは諸説ある)
スマホを取り出し、自分のVtuber名『星色りりあ』で検索をかける。
「く、くぅ〜」
検索結果を見るのが怖くて、ジョン・カビラみたいな声を出しながら目をつぶってしまう。
しかしもう見るしかない。見るぞ〜!
私は目を見開き、検索結果を凝視する。
どうだ!
──こ、これはっ!
……『りりあ』という名前の知らない人のアカウントがいっぱい出てきた。
つまり、それほど話題になっていないらしい。
それもそうだ。まだ初配信をしただけだし、底辺事務所だし。
しかしその後『星色りりあ 放送事故』『星色りりあ Vtuber』などさまざまなワードで調べていると、一つ掲示板のスレッドを発見した。
【悲報】Vtuberさん、初配信で汚部屋&私服を全公開する放送事故を起こしてしまうwwwww
0003:
誰?
0005:
>>3 星色りりあっていう底辺Vtuber
0006:
まじで誰やねん どうでもええわ
0008:
なんでVtuberって全員AV女優みたいな名前なん?
すごい! ちょっと話題になっている。
その後さらに検索すると、Xなどでも『星色りりあ』が一部話題になっている。
しかもYouTubeチャンネルの方を確認すると、一気に登録者が増えていた。
これはきてる! きてるぞ!
思わず口角が上がり、ニヤけてくる。
さらにエゴサを続けると、あることがわかってきた。
それは、やはり
・初配信で放送事故
・ギャルキャラなのに引きこもりみたいな汚部屋と終わってる私服
・パニクって配信中にマネージャー側(と思われている)と通話
といったことがウケているらしいことだ。
つまり、放送事故由来とはいえギャル↔︎引きニートのギャップ作戦成功。
しかも釣りではないガチ放送事故というところもウケている。
やっぱり私、Vtuberの才能があるのかもしれない!!!
困っちまうなぁ、あっという間に人気Vになっちゃうぜ。
──見えてきやがった、マリン船長の背中がよ!!!
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