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第3話

 にしても胡散くせえなこの社長……。


 私がそう思ったときだった。


「でまあ、最初に言っときますが、早川さんはまあもう半分合格みたいな感じです。おめでとうw」

「え、ア、アリガトウゴザイマス」


 す、すんなり。


 あと「おめでとうw」の言い方が腹が立つが、私の魅力に気付いたという一点で許そう。


 社長は話を続ける。


「ま、そういうわけですんで、今日は説明会? みたいな感じ、なん、です。ッスゥーでぇえー、まあ早川さんに担当してもらうキャラクターはこの子になるんだよね」


 そう言って社長はステッカーのベタベタ貼られたMac Bookの画面をこちらに向ける。


 『星色りりあ』と書かれたそのキャラクターは、金髪でオタクが思い描くギャルという感じの見た目。


 ちなみにだいぶ既存VTuber・星川サラに似ているけど大丈夫そ?


 社長が説明をする。


「えー、でまぁ見ての通りギャルっていう設定なんだけど。まず早川さんて、確か引きこもりみたいな感じなんよね?」

「ぁ、そうです。笑っちゃいますよねへへ……」


 笑えねーよ。


「なのでまぁ、そこのギャップ狙い、みたいな? ギャルっぽいキャラで最初デビューしてさ。その後で中の人は陰キャなんかい! しかも引きこもりなの!? みたいなそういうマーケティング? あのほら、初期の委員長みたいなさぁ! 清楚キャラかと思ったらムカデ人間で清楚じゃないやんけ!みたいなさぁ!」

「社長、ちょっと声大きいです」


 松下さんが社長をなだめる。


「ゴホン、ごめん、昔から張り切ると声大きくなるんだよね。オタク特有の早口みたいな、ヤムチャが武道館でうんぬんみたいな(笑)。でまあ早川さんにお願いしたいのはそういうキャラ付けなわけ。おk?」

「お、おけです……」

「はい。じゃーもうちょい細かい話をしてこうと思うんだけどぉ──」



 - - - - -



「──っていう感じなわけ。で、早川さんの先輩には道惹ちなみ先生(松下さん)も含めて2人、一期生がいます。でぇ早川さんの同期の子……つまり二期生はちょうど今メンバー集めてる最中って感じです」


 一通り、社長からの話を聞いた。


 どうでもいいけど、社長が松下さんを「ちなみ先生」って呼んでるから多分『バーチャル教師』とかなんだろう。


 社長が話を続ける。


「っであと、あ、今日は僕が癖でちなみ先生の本名呼んじゃったけどさ。タレント同士はコラボのときとかに間違いがないように、普段からキャラ名で呼び合って欲しい感じになります。と、まあ、今話すことはこんな感じかな? ちなみ先生は何かある? 大丈夫?」

「まあ特に……本当に早川さんはこれで採用ということでいいんですか?」

「いいっしょ。ま、スピード感? 大事だしね。VUCAの時代だから。ホリエモンの多動力だから。」


 何一つ理由として理解できるものがない。

 でもなんか採用してくれるっぽいし、私は何もいうまい。


「っはい、では早川さん。今日はこれで終わりです。また追って連絡しますんで、そんときはよろしくお願いします」

「あぅ、よ、よろしくお願いします……」


 その日はその場で解散になった。


 ……お? じゃあ私、合格?


 これ、大丈夫なのだろうか。


 ハンバーグ屋ですごい生っぽい肉を出されたときの気分なんだけど。



 - - - - -



 初配信の日はあっという間にきた。


 結局あの後、他メンバーなどについて新たに知らされることはなく、あったのは私の初配信とその配信環境についての指示だけだった。


 まじでこれ大丈夫なの?


 まあとにかく、社長の言っていた「最初はギャル風に振る舞って、その後 陰キャ感を出してそのギャップでウケをねらう」という作戦に従ってやってみるしかない。


 もしかして、他のVTuberもこうやって“陰キャラ営業”したりしていたのかな。


 ────あくたん、嘘だよな?


 いやいや、私だって本当に陰キャなんだし、“営業”とかないない。

 あくたんもきっと本当に陰キャなんだ。誰が何と言おうとそうなんだ!


 というか本番前だ。余計なことを考えている場合じゃない。


 私は指示された通りに配信ソフト(O B S)を操作し、配信を開始する。



コメント:

>ざわ……ざわ……

>キターーー

>うおおおおおおおおお!!(`•ω•´)/

>これどこの事務所?

>きちゃ!



 ぽつり、ぽつりとコメントが流れ始める。


 今のところはまとまりを欠いた、ネットによくあるノリという感じだ。


 同時接続者数は少しずつ増えて20人、30人……え、こんなに少ないの?


 まあ、もともと一期生が2人しかいないし底辺事務所だしこんなものか。


 これが『星色りりあ伝説』の始まりってワケ。


 よ、よし、行くぞぉ……


「こんにちは! 新人Vtuberの星色りりあだよ〜☆」


 ……なんか、一人で画面に向かって話すって変な感じがする。



コメント:

>こんにちは〜☺️ 最初の挨拶はこれから決めるのかな?

>ちなみ先生の配信から来ました! かわいい!

>なんか音プツプツしてない?汗

>あれ? 音が……


 ん? え何? 音?


「えぇと、音がおかしい? ちょ、ちょっと待ってね」


 いや、音がおかしいとか言われてもどうすればいいかわからないんだけど。



 どこを設定すれば……メディアソース? 映像キャプチャデバイス……いや違うか?


 あ、やばい間違えて押しちゃった。


「ちょ、ヤバいんですけど〜! 音がおかしいのってマジどうすればいいのー!笑 いやマジでチョベリバ〜」


 ところで、ギャルの喋り方ってこれであってんの?


 いやいや、今はそれよりも音をどうにかしなければ……


コメント:

>開幕早々放送事故で草

>遅延の設定が悪さしてるのかな?

>うちは聞こえるよー


 えーっと、この間違えて押した表示はどうやって消せば……

 『logicool VCAM-56lv』? あれ? 私のマイクってlogicoolだっけ?


 まあいいやとりあえずOK……っと。


「みんなー! 音大丈夫かな? じゃあ早速自己紹介……ん?」


 急にコメントの速度が速くなる。


 おっと、これは……どうした?



コメント:

>え、なんかめっちゃ部屋映ってるけど大丈夫?

読んでいただき本当にありがとうございます!


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