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スペースオペラって何だっけ?【仮】  作者: 吉高 都司


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 -8.6

 久しぶりに、キャンパス時代の夢を見た。

 まだ、先の事など見えなかった、自分に自信も何もなかった頃、一人親友と呼べる友がいた。

 少し物憂げな、キャンパスの華と言ったとこだろう、たまに見せる影が余計に彼女を引き立たせていた。

 でも私との間では、そんなことは一切見せず、明るく、活発な彼女だった。

 でも一度だけ、真顔で、わたしがこの世界の人間で無かったらどうする?友達でいてくれる?

 と、聞いてきた。


 目が覚めるとホスピタルの白い天井だった。

 もう体の傷は全く回復して、逆に鈍ってしまった感があるくらいだ。

 頭を触ると、脳髄まで食い込んだ髪飾りはまだそのままだ。

 その式神を放った張本人は離れたベッドで、スヤスヤ寝息を立てている。

 あれから、目まぐるしく自分の環境は変わってしまった。

 それが、嫌だとかではなく、逆にこれからどんなドラマが待ち受けているかワクワクしているといった方が正直な気持ちだ。

 今の私を彼女が見たらどういうだろうか。

 そう考えたら、自然と笑みがこぼれていた。




 あの先にある次空間転送リングを調べるようお姉様のお言い付け。

 ならば、きっとお姉様のお役に立って見せます、そして、褒めてもらって、もっと気に入ってもらって、あんな艦長の事なんてどうでもいいようにもっと振り向いてもらおう。

 そして、もっとかわいがってもらえるよう。

 ご褒美にあんなことやこんなこと、あ、鼻血。

 とにかく、あのリングを調べなければ。



 御姫様どうされました?

 禿(かむろ)は食事の取られる量が少なくなった、お姫様の体調が気になりそう質問した。

 明らかにこの星に来て、食事の量が少なくなり、それにあまり寝つきが悪なったお姫様を気遣っての事。

 お姫様の身の回りのお世話は当然の事として、体調管理も、禿(かむろ)の仕事の内であった。

 自分がしっかりして、お姫様のお世話をしっかりしなくては、転送ゲートを調べるお言い付け以前の問題と思っていた。

 もし万が一にでも体調を崩されて、大事となったら、お姉様に合わせる顔がない、彼女は腹を召して相果てなければならない、と内心悲壮な決意をしていた。

 命に代えても。

 だが、それは名誉ある武士に許されること。

 失敗などと不名誉な事で名誉ある死など許されるはずもない。


 また、食事を残された。

 もう一度、お姫様のバイタルチェックから、召し物まで、調べて洗い直しする事にした。


 一方、


 ベッドに足を掛けプッシュアップを、床に汗が溜まる位上下運動をしている。

 ギッギッギッと体を上下する度ベッドがきしみ、同時にバルンバルンと、その大きな胸がスライムの様に揺れている。

 数百回だろうか、それ以上の回数をこなし、今度はベッドをベンチの様にして、シットアップに移った。

 雷撃機乗りは、戦闘服のつなぎ服の上半身をはだけ、腰に巻き、タンクトップ姿で上半身を上下させている、胸が、バストが、スライムの様により凶暴に暴れ倒している。

 戦闘服であまり気にはならなかったが、エラソーな胸のAIアンドロイド、胸が南国フルーツの様に大きい諜報員、そして、禿(かむろ)が大切に思っているお姉様、禿かむろ以外はみんな胸が凶暴すぎるくらい大きい。



 南国フルーツの諜報員は、ビスチェに着替え拳銃の残弾を数えそしてそれを胸の間に押し込んだ。

 禿(かむろ)は思った、なにそれ、貴方の胸ポケット?自慢?とか思いながらジト目で見ていると、視線に気が付いたのか、少し口角が上がったような気がする、どう?貴女のそれよりおっきくてよ、と言いわれたような気がした。


 彼女の被害妄想が過ぎるのだろうか。


 気が付くと、雷撃機乗りは、部屋の扉の縁に指を掛け、チンニングに移っていた、高速で上下している。

 ここで、言わずもがな、激しい上下運動で胸がスライムの様にここでもバルンバルン暴れ倒している。

 禿(かむろ)は頭を押さえ、いいかげんにしてほしい、出来れば反対方向を向いてしてほしい、この病室の大きさもあるのだろうが、と思っていた。

 いやでも、その凶暴な胸が目に入ってしまう。


 今度はスクワットに移っていて、体が上下する度、胸が・・・以下略。


 禿(かむろ)は深いため息を付きながら支度に移った。

 お姫様の待遇改善の為、彼女達の監視を兼ねている、ここの医院長に会いに行く準備だ。

 医院長、彼女は軍の関係者でもあるので、お姫様の食事と、寝具について、少し改善してもらおうと、出かけることにした。

 そこで、交渉事は諜報員の私に任せてと、南国フルーツは、私も行くと、言い出した。

 一緒に院長室に同行を、敢えて買って出たようだ。


 御姫様のベッドが少し硬いので出来るだけ柔らかいものと交換してもらうのと、食事について、少し、ここの星の味付けが辛いので、薄味にしてほしい、我々全員でなくてもよいからお姫様だけでもお願いできないだろうかと、申し入れることにすると、南国フルーツに医院長訪問と、交渉の趣旨を言った。


 長い廊下の先に、結構複雑な作りの先にある院長室に着き早速、彼女は、南国フルーツは交渉を始めた、その交渉術は目を見張るもので、隣で聞いている禿(かむろ)も思わず納得してしまうものだった。

 やはり諜報員は伊達(だて)ではないと禿(かむろ)は思った。

 ただ、気になったのは、南国フルーツの隣でいたのだが、周波数の高い音がずっと響いていたような気がした。

 が、目の前の医院長も、周りの職員も、軍関係者も特に気にしている風ではないので気の所為だと思っていた。


 交渉は順調に終わりほぼ希望通りの結果を引き出せたようだった。

 病室に戻ってから、さてと、と。

 南国フルーツは病室の隅の方で何やら、どこで手に入れたのか、大きなケースを広げ何やらゴソゴソし始めた、何かを作っているのか時折チカチカと光が漏れていた。


 やはり交渉術は大したもので、その日のうちにお姫様の寝具だけでなく、禿(かむろ)や、雷撃機乗り、南国フルーツの寝具までもフカフカの寝心地が格段に良いものに変わり、食事も義務で食べなくてはならない様なものから、次の食事が待ち遠しくなるようなものにかわっていった。


 食べながら、皆、さすがと思った。

 これだけの技術があるのにそんなに自己肯定が低いのだろうと、彼女、南国フルーツを見ながら食べ物を頬張った。



 侍女の依頼である、次空間転送リングについて、調査をするにはどうしたらいいか、禿(かむろ)と、南国フルーツと、雷撃機乗りと相談していると、再び南国フルーツは私に任せてと言い、隅の方で何やらまたゴソゴソしだした。

 暫くすると、禿(かむろ)、雷撃機乗り、近くで見ていたお姫様は息を飲んだ。

 そこには医院長が立っていたからだ。

 禿(かむろ)たちが呆気にとられると、びっくりした?この前交渉の為医院長室に行ったときにスキャニングしてコピーしたの。

 と、医院長の声で言った。


 確かに、医院長そのものだが、何だろう違和感があった。


 医院長室での交渉の時、周波数の高い音がずっとしていたのはスキャニングだったと、禿(かむろ)は後で知った。


 医院長の行動スケジュールもハッキングして大体わかった。

 医院長は軍の関係者でもあるから、後は偽のIDとか揃えれば、輸送艦ぐらいまでは辿り着けるという。

 三日後には医院長は暫く不在だから、その時に決行と決め、それまでに偽造IDとか周到に用意するとの事だった、其の辺りはさすが、諜報員の本領発揮と言ったところだった。



 その日は難なく軍港に辿り着き、このホスピタルの医院長もかなり位は高いようで、高度セキュリティーの範囲まで、彼女の偽造IDで辿り着いた。


 手頃な輸送艦を物色していると、そこの軍港の司令官らしき人物にばったり会ってしまった。


 少しも動揺せず、変装している南国フルーツは敬礼をして、相手の出方をみていた。

 相手は硬い表情から一転、相好を崩し急に親し気に近づいてきた、あれからどうしていた、とか、あの時はすまなかったなど、どうやら、話の内容からこの医院長とこの軍人とは旧知の仲のような間柄だと思われる、親しさだった。

 さすがの南国フルーツもここまでは、医院長の身辺のチェックしきれていなかったようで、何とか誤魔化しつつ早々に、私たちの護送を理由に早々に彼女と離れる事にした。


 別れ際にもう一度呼び止められ、貴様、太ったんじゃないかと言われた時には、心臓が止まる感覚だった。

 そうだ、何か違和感があると思ったら、医院長の胸が、何倍も膨れっぱなしだった、南国フルーツの凶暴な胸そのままだったからだ。

 そうか、違和感があったのはこれだったのか、と冷や汗が噴き出るくらい禿(かむろ)は焦った。

 医院長と言うあまり体の動かさない役職に甘んじて、鍛えるのを怠るなよ、と、軽口を背中に受けながら、適当な近くの輸送艦に乗込んだ。




 あれが、次空間転送リング、衛星を繋いで建設した巨大なリング、今も何隻かの艦隊が出入りしている。

 遠くでは、野盗を排除しているため、艦長が今、縦横無尽に退治している。


 野盗の脅威にさらされているこの星は、戦力を供出させられている。

 一方、近隣ではこんな巨大なリングを運営している。

 ここには、微妙なバランスが働いている様に思われる。


 このリングが独立運営しているにしては、何ら防御シールドや、護衛の為の戦艦、護衛艦を配備しているわけではない、無防備すぎるくらいなにも無い。

 クレジットや、金貨を渡せば難なくこのゲートを利用できる。

 こんな、戦国の世にこんな丸裸に近い状態で、高価な施設を運営できるなんて奇跡に近い。

 近くにある星はその戦力を供出させられているというのに。


 一隻のタグボートが近づいてきた、この船も機銃一つ付いていない。

 その無防備さが逆に、威圧感があった。

 通信が入って来た、待っておりました、このタグボートについてきてくださいと。

 まるで、最初から、この船がここにくるのが分かっているかのようだった。


 その巨大なリングは、衛星と、小惑星を繋いで巨大なリングを形成していた。

 一個旅団を軽く飲み込んでしまうリング。

 今も、ひっきりなしに、このリングを潜って旅立つ船、そして到着する船。

 その出入りの度に、明るく閃光が瞬き、そして消えていく。

 それは星が誕生し、消えていく、星の一生を、間近に見ているようだった。


 タグボートに誘われた輸送船を港に係留し、暫くすると案内しますと、案内役が現れた。


 通される途中も、ここの兵器類は一切持っていない、禿(かむろ)長巻(ながまき)が逆に目立ってしまっている位だ。


 コクピットと言うにより、格式のあるお屋敷の客間、その様な形容がぴったりの部屋に通された。

 正面に物憂げな髪が縦ロールの綺麗な女性が座っていた。

 彼女が禿(かむろ)一行を出迎えると。

 医院長に変装していた、南国フルーツに声を掛けた。

 あなた、久しぶりではないですか。


 お知り合いで?

 と、雷撃機乗りが、南国フルーツに。


 そう、知り合いも何もあなた、もうそろそろ、正体を現したらどうです?

 と、出迎えた縦ロールの彼女は。

 南国フルーツにそう呼びかけた。


 暫くすると、南国フルーツはあなた、変わらないですねと言いながら変装を解いた。

 私が学生の頃、彼女は転校してきたんです、いや、転生と言ったらいいのでしょうか。


 髪が縦ロールの彼女は言った。

 そう、私は転生者、聖女に陥れられ、復讐の為このリングの支配者となった。



 彼女は、元々は悪役令嬢。

 ある星系領主に幼馴染であった彼に、求婚され婚約していた。

 だがある日、聖女と言われる巫女が現れ、幼馴染を奪い取られ、婚約破棄されて、しかも毒殺されてしまった。

 しかし、転生した先が次空転送ゲートの財団の令嬢。

 同時にその頃、キャンパスで南国フルーツと親友となった。

 その後卒業し、キャンパスで培った人脈、知力、そして千里眼を駆使して。

 聖女として、君臨している巫女の化けの皮をはがし、元婚約者共々没落させるため、あらゆる手を尽くし、やっと追い詰め、今まさに最後の仕上げをするところだった。


 縦ロールの彼女は言った。

 ある日、あなたの事が思い浮かんだの、あなたが、大きな力と共にわたしの目の前に来るんじゃないかと。


 チラと後の残りの三人を見て

 いいお仲間に出会えて良かったじゃない。

 それに、あの艦長、いい人ね。


 空を仰ぐように、私、千里眼があるっていったわよね。

 未来が分かる、だから、誰も私に、このリングに危害を加えてこない、危害を加える前に全てその先々の手を打つから。

 わたしに誰も手出しができない。

 だから、武器一つ無いのはそういう事なの。


 こんな事を話すのは、友達のあなただから。

 貴方は、学生の頃唯一私を理解してくれていた。

 運命に一人どうしたらいいか悩んでいた時、理解してくれていた。

 そんなあなたにもう一度会いたかった。

 あなたに会うため。

 未来の手を打っている一端(いったん)だから。

 だからと言って、利用するとかじゃないから安心して。

 多分、貴方の艦長に私の千里眼が感応したのでしょう、あの野盗になり下がった、聖女を追い払ってくれたのです、お礼を申し上げるわ。

 お伝え下さい、今度ゆっくりお話ししましょうって。


 積もる話をしたかったが、時間がそれを許さなかった。


 いつかまた、会う約束をして。

 タグボートに先導してもらい、輸送船に乗り帰路に就いた。


 リングのタグボートに連れられて帰ってきたものだから、軍港では大騒ぎになってしまった。

 触れてはいけない、リングの関係者を連れてきたものだからだ。

 周りは大慌てだった。

 そのどさくさにまぎれ、ホスピタルに戻り、何食わぬ顔で過ごした。


 当然、禿(かむろ)が侍女に逐一報告したのは言うまでもない。

 ただ、あの縦ロールの人が未来を見ることが出来るっていていたので、禿(かむろ)とお姉様の侍女の行末を見てもらえばよかったと、彼女は少し後悔した。




 スヤスヤみんなが寝ている病室で、また、キャンパスの頃の夢を見た。


 わたしがこの世界の人間で無かったらどうする、友達でいてくれる?

 と再び聞いてきた。

 冗談かと思っていたけど、真剣な面持ちだったので、私はあなたがどんな立場でも、どんな人間であったとしても、いつまでも変わらない。

 と、答えるとほんとうに、安心した表情になった。

 その時の笑顔は今でも忘れることが出来ない、そんな彼女の夢だ。

 そして答えたと同時に、目が覚めた。


 窓を見ると、もうすぐ明け方になろうとしていた。

 沈みかけた月の向こうに、うっすらとリングが小さく見えた。

 それを見て、変わらない友情に、そのリングに祈らずにはいられなかった。

いつも、この拙作に目を通していただき本当に有難うございます。雷撃機乗りのエピソードも書き

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