-7.4
ゴラー、いい加減に離れろー。
モニターを鷲掴み、前後左右に振り回した。
モニターの向こうでは、艦長と、胸ばっかり大きい侍女が仲睦まじく映っているからだ。
この星の状況は何となく、分かった、要は野盗とかの外敵から守るため手を貸して欲しい、その為に、私たちと、ホスピタルにいる御姫様連中は人質。見返りに、戦闘艦や雷撃機の修繕、ホスピタルにいるケガ人の治療などは責任をもって保証する。
それは分かった。
でも、なんで胸ばっかりの侍女と一緒なのニャー。
これ見よがしに、くっつきやがってー。
二人一緒にするんじゃなかった。
たしか、掟で、未婚の女性の全裸を見られた者はその男性と夫婦にならなくてはならない、すっかり忘れていた。
あの、勝ち誇った顔。
同性だから分かる、目の奥にある、勝ち誇ったあの瞳の光が。
モニターは、AIアンドロイドの手荒な、その扱いに音を上げ、ボン、と煙を上げたかと思うと、二度と音声はおろか画像も映し出すことは無かった。
そのまま、戦闘艦の外に出て、あの胸ばっかりの侍女の元へ行こうと息まいてエアロックに手を掛けた途端。
壁からニュッとAIアンドロイドと同じ顔が這い出てきた。
ものも言わないその付喪神は、全身を壁からはい出し、アンドロイドの前に立ちはだかった。
なにヨ。どいてったら。
と。同じ顔同士睨み合っていた。
すると、付喪神はその体をAIアンドロイドに重ね合わせ、乗り移った。
意識はそのままに、行動が制限され、乗っ取られた様に、ぎこちなくではあるが、壊れたモニターの元に行き、倒れたそれを元に戻しそのまま直立不動となった。
分かったから、乗っ取るのは止めろ。
出ていかないったら。
その言葉を、聞いて安心したのか重ねていた体を分離し、ものも言わず、その傍に浮遊していた。
忌々しい、と思いながら同じ顔のそれを睨みつけていた。
修繕箇所、補強個所はすでに指示が出ていたみたいで、作業員、整備兵、整備工などが手際よく艦内、甲板、外装の作業に取り掛かっていた。
格納庫にある雷撃機は、格納庫から搬出され、ドックに輸送されたようだ。
見知らぬ人間が、艦内を行ったり来たりするのは、何だか、とても不自然に映っていた。
今まで、艦長と二人っきり、途中で色々人が増えた事を除けば。
そう、ずっと二人でやってきた。
いや、ずっと二人で、だっただろうか。
以前、ホスピタルで見た夢、記憶、記録では、父と呼んでいた者がいた。
私はいったい何者なのだろう。
となりに浮いている、同じ顔の付喪神。
こいつも、何か関係しているのだろうか。
この艦の、まだ私の知らない事があるのだろうか。
この際だから、見きれていない、私のメモリの中に無いこの艦の秘密があるのなら。
一度、探ってみるか。
待てよ。まさか、その為に私に乗り移り、この艦から出ていくのを阻止したのだろうか。
まさか。
探らせるために。
表情があまりない、横で浮かんでいる、付喪神の横顔を見ながらそう思った。
引き続き、拙作に目を通していただき感謝いたします。白鯨編幼年兵女学校編お楽しみいただければ幸いです。10人秘書傭兵、顔バツ包帯人形遣い、猛獣使い傭兵もまた出したいと思います。




