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悲惨を極めていた。
砲台は、砕け、塹壕は埋まり、その下で何人の兵士が埋まっているか、数えるだけでも通常の精心では持たない。
その男は、燃え盛る町、街、都市を船内から眺めていた。
部下に、降下する旨を伝え、放っていた、人形と、猛獣の安全装置を起動させるように、言い残し、ポッドに飛び乗った。
親分、と声を掛ける手下がいた。
振り向きざまに、そいつの顔が変形するほどの平手打ちが炸裂し、その場から反対側の壁に貼りついた。
艦長、またはボスだろうが。と続け。
悪党から足を洗って傭兵に為ったんだ呼び方に気を付けるように言っただろうが。と壁に貼りついているそれを、ストレッチャーに叩きつけ、持っていけと命令すると同時に、数人の手下が慌てて彼の視界から外すように、運び出した。
燃え盛る、都市の真ん中に降り立ち、死屍累々とした、戦場後を歩き出した。
ガラス、ブロック、都市を形成したであろうその残滓を踏みながら、入れ違いで、安全装置が起動している人形や猛獣が自分の帰るべきポッドに向かっている。
視界の隅に、人影が動いた、手下が数人、その方向に戦闘態勢を取ると、艦長と呼ばれている、又呼ばれたい彼は、手で静止し、単独でその方向にあゆみを進めた。
子供だ、と彼は確認した、周りを見渡すと、その後ろには其の縁者であろうか、大人が何人も折り重なってピクリとも動かない。
死臭が鼻を衝く。
子供か。
と、片手でヒョイと持ち上げ、追いかけてきた手下にポンと投げ、無言でほかを見渡し、次のブロックに歩みを進めた。
後から、子供なら、いい値が付きますぜ、おや・・いえボス、艦長、と言い終わるのが早いか、落ちていたブロックをその手下の顔面に叩きつけた。
顔面から、滝の様に血が噴き出しているのも一顧だにせず。歩みを進めながら。
俺達は悪党で無くなった、傭兵だ。と自分に言い聞かせるように言っていた。
言葉を失っていた、さすがの、血も涙もない悪党の名声を馳せていた彼であってもだ。
戦場の悲惨さは骨の髄までしみこんでいたはずの彼であった。
其の都市のランドマークだったであろう、スポーツの大型ドームがあった、平和な時であれば、家族や、友人、恋人でそのスポーツ観戦をし、大いに盛り上がり、観戦後の熱い感想戦などを交わしてたであろう。
半分崩れた、その建物の中に入ると、そこには、筆舌に尽くしがたい光景があった。
ドーム天井が崩れていたので見たくもないが、視界に入っていたそれは、性別年令が全く分からない状態で元人であった、肉の塊。
そして、、血液が、臓物で、排水管をふさぎ一面海の様になっていた。後ろで、手下が何人も嘔吐する音、声にならない声、が響いていた。
スタジアムアリーナに降り、歩き出した、踝辺りまで、血液の溜まりがあった。
粛清か、リンチか、刑罰か。
中には年端もいかない子供の頭もあった。
踵を返し、入り口付近んで嘔吐している手下を置いて、足早にポッドに向かった。
残党狩りは、このキャンペーンには指示されていなかった。
が、敗走する、敵の位置を補足し。
白旗を上げている、すでに降参の意思を表明している、残党に対し殲滅の命を下した。
手下は、一堂に引止めに入ったが引止めに入った者は皆、壁や、床に貼りつくことになった。
全ての人形と猛獣をその白旗のど真ん中に打ち込み、敵の生体反応が無くなるまで、ほっておいた。
協議会からはキャンペーンは終了した、直ちに戦闘行動を停止するようにと、矢のように、通信が入り、軍監からは、軍法会議に掛ける旨の通信が途絶えることなく、続いた、だが続いていただけだった。
事が終わり、人形と猛獣を回収し。降下した。
降り立つと、周りの光景を見て、不思議とクッと笑いがこみあげてきた。
ガラッと何かが崩れる音がした。光る四つの瞳があった。少女だ、しかも同じ顔をした。
双子の姉妹か。
またヒョイとつまむように持ち上げ、手下に放り投げた。
手下は今度は無言で、引き取り艦に戻った。
同じく、艦長と呼ばれたい彼も一番最後に、かなりの時間をかけて、艦に戻った。
その顔は涙と、鼻水と、食いしばった歯の軋む音と、嗚咽でグシャグシャだった。
それはまだ、彼が鼻を中心に×状に包帯を巻く、ずっと前の事。
読んでいただき、いつもありがとうございます。今回は、人形遣い、猛獣使いの、鼻×包帯のエピソードでした。いつか、十人秘書のエピソードも書いてみたいと思います。




