-6.5
寝息を感じている、聞いているというより感じている。
の、表現がしっくりくる、寝床の右側つまり俺の右手の腕枕には秘書が3人。
左側の腕枕には秘書が4人いずれも一番端の人間には届いていない、が。
彼女達はそれでいいらしい、後の秘書3人は、朝食の準備に取りかかっているよう。
隣の部屋からと、厨房から食器の音と、煮炊きしている良い匂いが鼻をくすぐる、直ぐ隣、両隣の彼女たちの寝息の甘い香りが左右から、その静かな音と共に俺の頬、側頭部、耳にかかっている。
天井を見つめ、暫くそれらの寝息を感じていた3人、4人とそれぞれのタイミングで、お互い同調することなく、ある意味絶妙な、それは静かなハミングだろう。
うーんと言いながら寝返りを一人が打つと、伝播するようにランダムではあるが、引き継ぐようにそれぞれ寝返りを打ち出す。
そして寝息。
左右の寝顔を堪能しながら、ようやくおれは上半身を起こした。はだけた裸体も寝顔も堪能していると、昨晩の事も、思い返されていた。
毎晩10人、まだまだ俺も年を取る余裕はないな、と自分自身苦笑いし、ほつれた彼女の髪を直してやると、パッと目を覚まし、ゆっくり微笑みながら、髪を触っている手をギュッと掴み、自身の頬に摺り当てた。
俺の手をその彼女に任せていると厨房から、食事の用意が出来たことを報せるため、彼女達がはいってきた。
オレの手をいいように弄んでいるのを、見咎めると、ツカツカ彼女に近寄り、ベッドに這い上がり、持っていた、料理に使うヘラで、その彼女の臀部をそれは大きな音が鳴る位、打擲した。
同時に叩かれた彼女は悲鳴をあげ、叩いた彼女にもうれつな抗議をした。
みんな平等に、可愛がってもらう、約束を忘れたか!とか言い返しながら。
それを見ながら、俺はとりあえず、このままこの状態が続けばと、天井を見上げながら苦笑いをしていた。
何笑っているんですか、注意してくださいと、飛んだとばっちりを受けるのを背中で受け止めながら、そそくさと、朝食をとりに、隣の部屋に退避した。
要塞への攻撃準備はカウントダウンが始まっていた
盤上の、モニターには、現時点の配置が映し出されていた。
つと、あるモニターに映し出されている一点をみていた。
あいつか、その表情には懐かしいものを見る、それでいて、慈愛にも似たその視線の先には、あいつと呼ばれていた、戦闘艦がマーキングされていた。
あの、悪党もどきの猛獣使い、人形遣いの連中を捌けたのだろうか。
もっとも、あれくらいの連中に手こずってる様じゃまだまだだが、と。
それよりも、AIアンドロイドと、成り行き上、他の星のさる高貴なお姫様や、それに縁する何人もの女の子と行動を共にする、あいつは、先代からの付き合いで、幼い昔から知っている事もあり、昔から厄介ごとを背負いこむ性分なんだろう、俺と違って、女にはからっきし意気地なしで、そのくせ、正義感だけは人一倍あるときた。
多分、俺に弟がいたらこういう奴なんだろうなと。
そう思いながらモニターを見ていた。
彼の事、気になるんですか?と秘書の一人が羽織っていたガウンを直しながら、俺の傍に来て瞳を覗き込んだ。
バカ言え。と、返すと。
そう言うと思いました。息子みたいなものですものね。
バカ、弟だろう。
隣にいたもう一人の秘書が、それはそうと、今回活躍したらチューしてくれますか?と悪戯っぽく微笑んだ。
フッと笑って額を軽く小突きながら、チューだけでいいのか、と返すと。
それを聞いていた、他の女子が、エー、私も!私も!ずるいー!と言いながらと駆け寄って来て。首に腕に胴にせなかに抱き着いてきて、身動きが取れなくなった。
分かった、分かった、と。一番の手柄を立てたやつにはご褒美として、特別に一晩中その手柄を立てた者だけ可愛がってやる。
俺と二人だけで。
それを聞いた彼女たちは、ギャーギャーと私が相手してもらう。
私が手柄を。
私が!。
と口々にしゃべりながら、早歩きから、駆け足となり我先にと、思念機動のベッドに乗込み、耳の後ろにある端子に端末を接続した。低い接続音と共に彼女たちの思念は機動に乗移りこの母船から、切り離された。
十機の思念機動は最接近している敵艦隊に纏わりつきその瞬間アッと言う間に閃光と共に、黒い宇宙に四散した。
そして、その四散した空間からまた近くにある敵艦に向けて四方から取り囲み、敵の攻撃を巧みにかわしながら、狩っていった。
そして次の。
次の得物を探すそれは。
小型肉食獣が、非力な部分を補うように集団で、その 体の何十倍もある大きな得物に群がり狩っていく。
まさにそんな形容がぴったりの、喰らい付き、齧り、抉り、捥ぎ取る、といった言葉が当てはまる様に十体の思念機動が、その何十倍もある、大型戦艦、航空母艦を得物として沈めていった。
何十隻を数えたところである異変に気付いた。それを気付いたのは彼女達も同じ様で、通信が入り、これは、陽動作戦です、一か所に誘導されてます。と。
要塞が目の前に現れた。
途端。
後方から、 高エネルギー反応を報せる警報が鳴り響きと同時に周りの友軍が沈んでいった。
後方からの攻撃、直ぐに彼女達を呼び戻し、思念機動から覚醒させた。
回避運動しつつ、突破口を探した。
あいつ、の戦闘艦がみとめた。高エネルギー反応と共に青く発光しだし、後方にあった、元味方艦隊の弩級旗艦に突っ込んでいった。
その旗艦に吸い込まれて消えた瞬間。
その弩級旗艦は内部から光を発し、その光が旗艦全体を包むと、その光がガス雲の様に四散し、元の空間だけになった。
これしかないと一瞬の判断で。
あいつの、戦闘艦の後ろに追尾を開始した。
その後ろにも一筋の光跡が追っていた。
今回は。10人秘書のエピソードです。目を通していただき、いつもありがとうございます。




