転送魔法
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こうすけの視線の先にあったのは、転送魔法の時に使う飾り棚だった。
「なんということだ。これは転送魔法の扉じゃ。どうしてこんなところに。この配置は。」
後ろからついてきていたジェムおじさんが言った。
「この配置って、どこに行けるの?」
ゆうすけが聞いた。
「わからんのじゃ。だが、ドワール王国国内ではないことは確かだ。」
「ドワール王国じゃないってことは、ジェムおじさんのおうちじゃないの?」
こうすけが聞いた。
「いや、少し違うんじゃ。ヒュゴルの世界のどこかだとは思うのじゃが」
「行ってみようよ!」
ジェムおじさんが言い終わる前にゆうすけが言った。
こいつはまた何も考えずにそんなことを言って、とゆうすけは心の中で思った。兄の気持ちにもなってもらいたい。
「どこにつながっているのかわからんのに、それは危険じゃろう。ドワール王国では、ヒュゴルに行くことはもっとも危険であると言われておる。ヒュゴルの歴史では、何度も戦争が繰り返され争いが絶えないというではないか。」
アニメや社会の授業、先生の話から戦争が昔からあったことを二人とも知っていた。知らない外国のどこかにつながっているとしたら、こうすけもゆうすけも怖くなった。
「ヒュゴルの世界のどのあたりかは予測できないの?」
こうすけが聞いた。
「ふむ。どうだろうか。」
そういって、ジェムおじさんは翼を広げて棚の上部まで飛びあがり、じっくりと転送魔法の飾り棚を確認した。
「ふむ。これはこうすけとゆうすけの家からさほど離れておらんようだ。」
「うちの近くってこと?それって絶対日本のどこかってことだよね?だったら大丈夫!知らない場所でも、また転送魔法でここに戻ってくればいいってことだもん。」
ゆうすけが言った。
「確かに、あの辺りなら静かで大丈夫そうだ。行ってみるかね。」
ジェムおじさんの問いかけに、二人はうなずいた。
グリトス!と声をかけると、グリトスは飾り棚の前に立ち、転送魔法を使った。
飾られた動物たちの置物が、一斉にグリトスの方を向き、左右に移動し目が光る。それぞれに違った色の光で、グリトスの方を照らす。動物の置物が移動してできた飾り棚の中央に光が集まった。この光はやっぱりまぶしくて、こうすけとゆうすけの二人は目を細める。光の奥に何かが見えてきた。
光のトンネルをグリトスが進んでいく。そのあと、ゆうすけ、こうすけ、ジェムおじさんの順でついて行った。