結界の外側
コメントください!お願いします!
「おまえさんたち、もう魔法の力を使いこなしておるな。」
ジェムおじさんが近づいてきて言った。剣はいつのまにかなくなっていた。
グリトスがニヤッと笑ったような顔でこっちを見ていた。
「グリトス?」
ゆうすけが気付いて言った。
グリトスはもともと大きな犬だったが、ひとまわり大きい。タテガミのように顔周りの毛が長く伸びている。目の色が黄色く光り、口が裂けていて、大きな牙が生えていた。
「なんということだ。グリトス、おまえ魔犬だったのか!!!!」
ジェムおじさんが、グリトスの姿に気づいて言った。
こうすけは不思議に思った。ドワール王国では魔法が封印されているのに、結界の外では魔物が存在している。魔法の力があるということなのだろう。結界の外を調べないと、と思った。
「結界の外を調べよう。封印の秘密がわかるかもしれない。」
「それが良さそうだな。」
こうすけの提案に、ジェムおじさんが賛成した。
「よっし!じゃ行ってみよう。」
ゆうすけがスキップしながら、進みはじめた。ゆうすけの後をついていくグリトスは、元の犬の姿に戻っていた。
こうすけ、ゆうすけ、ジェムおじさんとグリトスの3人と1匹は森を超えて岩山のふもとまで来ていた。森を抜けると、岩山が崖のようにそびえたっている。
「ねぇ、魔法の力で空って飛べないあのかなぁ。」
上を見上げゆうすけがつぶやいた。途方もない高さだ。
これまでに、ドラゴンやクロヒョウのような魔獣と遭遇し、闘ってきた。実際にはどれくらいの時間、冒険をしたのかわからない。食事こそしたが、みんな眠ることも休むこともせず、ずっと進んできた。不思議なことに、疲れることも眠たくなることもなかった。これが魔法の力によるものなのか、ドワール王国では時間の流れ方が違うのか、わからなかった。ただ、こうすけもゆうすけも魔法の力に慣れて、剣を自由に使いこなすことができるようになっていた。
ジェムおじさんは、魔法は生命力そのものだと言っていた。
高くジャンプする時に、足に力を込めて高く飛ぶことをイメージする。すると、イメージ通りに強い生命力が足に集中して体が動く。剣は生命力そのものが具現化したものだ。力が強ければ強いほど、強力な剣となる。
ただ、魔法の力が弱まっているので、ドワール王国の人は使えなくなっているらしい。
「わし一人なら簡単に飛べるのだが。おまえさんらを乗せて飛ぶのはちと難しい。」
こうすけも。魔法の力に慣れてきたとはいえ、空の飛び方はわからなかった。魔法で身体強化したとしても、ジャンプぐらいじゃとても届きそうにない。グリトスをかかえてよじ登るのお無理そうだ。どうしようか。こうすけはグリトスを連れて周囲を調べた。
しばらく探索すると、洞窟があった。奥は暗く、深そうだ。
「ゆうすけ!ジェムおじさん!!洞窟がある!」
ゆうすけが手のひらから炎を出して、洞窟の中を照らした。
「便利だね」
ゆうすけが言った。ずっと奥まで続いているようだ。
「どこまで続いているんだろう。調べてみる?」こうすけが言った。
「そうだな。」
こうすけとジェムおじさんがうなずく。
こうすけの炎で照らしながら奥へ進んだ。人が二人並んである歩いても余裕の大きさだった。小学生のこうすけが気づくくらい、明らかに人工的に掘られたものだった。
実際はどのくらい進んだのだろうか。どこまで続くのか、急に魔物が襲ってこないか、と警戒ながら進むのはとても緊張したので、真っ暗で未知の洞窟の中はとても長く感じた。
先頭を歩いていたグリトスとこうすけは立ち止まった。続いていたトンネル急に広くなった。どうやら、一番奥に着いたらしい。こうすこうすけは、炎を少し大きくして周囲を確認した。
学校の教室ほどの広さがあり、天井も高くなっている空間だった。グリトスが走ってへ部屋の奥へ進む。グリトスが止まった場所にあるものを見つけて、こうすけは固まった。
「これって・・・・」