05 「これはどうゆうことかな」
「他には」
詰まれた本のタイトルを見る。
古代エジプトの天文学。自然哲学の数学的諸原理。宇宙物理学と天体現象。といった本がそれなりの厚みをともなって重なっている。いくつかあさっていると「星について」というノートを見つけた。挟まっていた紙をよく見れば、それはプラネタリウムのチケットだった。
「ふぁ」
少し瞼が重くなる。眠くなってきた。ノートを手に取って窓の外を見る。
少しまだ明るいけれど時間を確認して眠りにつこう。
時計か、端末はないかと近くを探す。
ジャケットのポケットに端末が入っていた。
ボタンを押せば端末は起動する。
時間は午後6時を回っていた。
私はベットに戻りそのまま布団に身を沈める。
視界が暗がりに包まれ、素直な思いがこぼれた。
「怖い」
私はなぜ記憶を失ったのか。ここはどこなのか。
彼らは本当に友人と先輩なのか。わからないことだらけだ。
それに魔術ってなんなんだろう。私は、どうすればいいんだろう。
静かな部屋で考えだけがぐるぐると回る。
疲労感を感じるまま瞼が降りきろうとした、その時。
ガチャ。
と部屋の扉が開けられた。
ロマンさんか鑑観さんが戻ってきたのかな、と布団から顔をだすとそれと目が合った。
人の形をした黒い影のような、あるいは泥のような何か。
「え、なに」
はっきりとした敵意を感じる。
それはすぐさま私の首をめがけて手を伸ばした。
とっさの判断で私は地面に転がる。
端末に手を伸ばして、宛先を確認する余裕は無い。適当にボタン押して通話をかけた。トゥルルと音を出し、すぐにつながる。
「あの、うっぐ」
伸びた影に首を絞められ息が詰まる。
私を完全にとらえた6本の腕が喉と身体を地面に抑え込んだ。
意識だけは飛ばしてはいけないと、掴まれる前にとっさに手を挟みこむ。
けれど重く厚い圧迫感が喉を押さえつけてくる。
力が全然及ばず酸素が足りなくなって、どんどん思考が白飛びする。
「っふ、う」
端末から声が聞こえる。
何を言っているのかわからない。
どんどん酸素が足りなくなっていく。
このまま首をへし折られるのとどちらが先か。
もう、だめだ。そう思った時。
私の上にのしかかるそれが、激しい風をともなった何かに飛ばされた。
「これはどうゆうことかな」




