03 「自分の中にある魔術を」
「僕も君も魔力を持っている。必要な魔力を消費して指定した現象をおこすことを魔術というんだ。例えば」
そういって自分の指を紙でうっすら指を切る。
「【マルクト】」
うっすらとついた傷がふさがっていく。
「これが魔力によって傷を塞ぐ魔術、君が通っている学園の生徒なら誰でも使えるだろうね」
「そして魔術式というのは努力では身につかない、固有の魔術のことを指している
解りやすく言うなら血液型かな。例えばA型の人はAの魔術式がつかえるけど、B型のひとはAの魔術式は使えない。」
「自分の中にある魔術を認識できる?さぁ、自分の中に目を向けて」
瞳を閉じた。
瞼の裏に煌めく星を見る。点と点が繋がり文字が脳裏に浮かび上がった。
それを文字だと認識する。と同時に理解できなかった。
「どうかな」
静かに優しく声をかけられる。
冷や汗が伝う。
私は必死にそれを理解しようとするけれど唯々、理解できなかった。
「すみません、わからないです」
そうか。と一言、彼は口元に手をあて考える。
ヴゥンと彼のポケットから端末が振動する。
取り出して、送られてきたメッセージを確認した。
「もうしばらくしたら鑑観くんが来るから、彼と話してみようか」
「彼の事は覚えてる?」
「わからないです」
「そう、会って思い出せたらいいね」
端末でいくつかメッセージを送ると彼は私を見た。
「本当に不思議な感覚だね、君に聞きたい事があったけどこれじゃ聞けそうにないか」
「聞きたいこと?」
「うん、まぁいいんだ。大したことじゃないから」
「質問してもいいですか」
「いいよ」
「私はどんな人だったんですか」
「そうだな、記憶のない君に言うのもおかしいけど。とても研究に対して熱心で、あと友達に優しくて。なにより強い人だったんじゃない?初めて君と戦った時、僕は先輩なのに負けたからね」
「私とは仲が良かったんですか」
「君がどう思っていたかまではわからないけれど、少なくとも僕は」
会話の途中でどたどたと大きな音がした。
誰かの足音が近づいてくると部屋の前でぴたりと足音が止まる。
バタンと遠慮なく開かれる扉。
仁王立ちするツインテール。
白髪にピンクのメッシュが入った快活な男性がいた。
「若斗~~~~~っっ!!!」
響き渡る大声に私は耳を閉じた。




