↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【長編】かぐや姫は帰らない〜前世の契り〜かぐや姫が時空を超えた!  作者: 三日月未来(みかづきみらい)


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
69/95

第六十八話 帝さまも、健やかそうで何よりでござりまする!

「昼間先生、陽子さんのお母さんが呼んでいますよ」


 昼間夕子は、星乃紫の声に促されて振り返り驚く。


「昼間先生、そのリアクションは失礼です」

朝霧美夏が夕子を注意した。


「美夏、だって、さっきまで前世で一緒だったじゃないですか」


 夕子の言葉に白石式子(しらいしのりこ)は、キョトンとした表情を浮かべた。


「昼間先生、前世ってなんですか?

ーー 私、()()()がして来て見たのですが・・・・・・」


 白石式子(しらいしのりこ)は、昼間夕子の言葉に混乱を隠せない。


「実は、式子さんのお嬢さんの陽子さんは前世でも・・・・・・。

ーー 式子さんのお子でした。

ーー 私たちは、前世のあなたとお会いして帰って来たところです」


 星乃紫が、式子に真実を伝えた。

白石式子の無意識が星乃の言葉を受け入れる。


「そうだったのですね。この不思議な胸騒ぎは・・・・・・」


昼間は、マンションの扉を開けて、夢乃神姫(ゆめのしんき)、(愛称ヒメ)の背中を押し、先に入るように伝える。


「先生、じゃあ、僕、中で待っていますね」


「ヒメ、そうしてくれ。

ーー 先生は式子さんに相談してから入るから」


 ヒメを見送り、日向黒子、星乃紫、朝霧美夏も続いて中に入った。

昼間夕子は、白石式子に複雑な事情を説明して伝えた。


「式子さん、そんなわけで、あなたと縁のある帝が前世から来ているよ。

ーー この扉を開けて中に入れば、胸騒ぎの原因がわかると思うの。

ーー 無理にと言わないけれども、どうかしら」


「先生、陽子もいるのね」


「そうよ、式子さん」


「じゃあ、私も、お邪魔します」




 昼間がステンレスの扉に手を掛けた瞬間、遠くから雷鳴が轟き渡る。

「朝焼けは、雨だけど、さっきの夕焼けは晴れの前にあるのよね」


「先生、暮雨(ぼう)かもしれませんわ」


「なるほど、夕暮れの雨か。

ーー まあ、とにかく入って」


 白石式子が中に入ると、玄関に前世の帝が立っている。


(みかど)さまで、いらっしゃいますか」


式子(のりこ)じゃな、其方(そなた)現世(うつしよ)でも会えるとは嬉しい限りじゃ」


 帝は自分の屋敷であるかのように、式子を招き入れた。


「式子、中には、三日月姫も待っているのじゃから」


「帝さま、式子もお邪魔します」


「早う」



 ()()()()()()、式子は帝に、付き添われリビングに向かった。

キッチンでは、朝霧、星乃、日向、白石が夜会の準備を進めている。


 安甲神社の双子の兄弟は、酒田昇に勧めらて早くも地酒を口にしていた。


「昼間先生、先に飲み始めました」


「まあ、酒田さんにしては珍しいわね」


「いいえ、飲まずにはいられなかっただけです」


「わかるわ。自分の前世と会う緊張感は不思議な気分よね」


「昼間先生は、未来さんといつも一緒ですけど、どうですか」


「私、ちょっと大雑把な性格でしょう。

ーー だから、細かいことは気にしてないの」


「先生、アバウトですものね」


「酒田さん、最近、横文字の表現が氾濫しているけど、私は嫌いよ」


「失礼しました。先生、古典教師でしたものね」


 酒田は照れて前髪を後ろに掻き上げた。


「酒田さん、そろそろ床屋さんへ行かないとね」


「僕は、いつも美容室で切ってもらっています」


「じゃあ、次は一緒ね」


「先生、まさか、東富士見町スーパーの美容室ですか」


「そうよ。近いし駅前ですしね」


「僕も同じ美容室です」


「偶然ね。まあ、とにかく、飲み会、そろそろ始めましょうか」




 日向黒子、白石陽子、夢乃真夏、ヒメの四人はリビングルームの大きなソファに残ることになった。

前世の帝も、リビングルームが気に入り陽子の母、式子と向かい側のソファで寛ぐ。

黒子の前世の零も、リビングを選んだ。


 安甲神主兄弟、酒田、三日月姫姉妹、未来の六人と星乃、朝霧、昼間の三人は、ダイニングキッチンのいつもの指定席に腰掛けた。


 朝霧美夏が、リビングにいる帝に飲み物を尋ねる。


「お酒なら盃が好きじゃ」


 朝霧は、冷蔵庫にあった四合瓶を隣にいる白石式子に渡す。


「じゃ、白石さん、帝のお相手をお願いしますね」


「分かりました」


「式子よ、このお酒の瓶は徳利と違うようじゃが」


「これは、この時代のお酒の瓶です。四合瓶と言います」


「じゃが、これは美味しいか」


()()()()()()()()()は、帝さまが決めることです」


「じゃ、()()()()じゃ」


「お水のように澄んでいて、スッキリとした癖のないお酒です」


「式子よ、味見して見てくれじゃ」


 白石式子は、自分の盃に地酒を入れ、一口を口に入れてみた。


「帝さま、芳醇な香りとコクが広がり、とても幸せな気分になりました」


 式子は帝の盃に、お酌をしていった。


「どうぞ、帝さま」


「頂くじゃ」


 帝は盃を両手で包み込むように持って、酒を一気に飲み干す。


「芳醇な香りじゃ、なんとも言えぬ味じゃ。

ーー 現世(うつしよ)は良いのう」




 三日月姫が従者未来と一緒にリビングルームに来て、空いている席に腰掛ける。


「姫じゃな。久しぶりじゃ」


「帝さまも、健やかそうで何よりでござりまする」


「三日月も未来も、予と一緒に一献どうじゃ」


「帝さま、わらわはお酒好きじゃが、帝さまの生まれ変わりとお会い出来ましでござりまするか」


 三日月姫が帝を促すと酒田昇が一升瓶を抱えて帝の前に現れた。


「酒田昇と申します」


「我の生まれ変わりじゃな」


 酒田昇の頬を大粒の雫が流れ落ちた。

帝は、急に立ち上がり酒田を抱きしめる。


「酒田よ。会えて良かった。

ーー 現世(うつしよ)は、夢の世界のようじゃ」


「帝さまも、健やかで何よりでございます」

 お読みいただき、ありがとうございます!

ブックマーク、評価を頂けると嬉しいです。

投稿後、加筆と脱字を修正をする場合があります。


三日月未来(みかづきみらい)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。