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第四十七話 かぐや姫のお買い物デビュー

「美夏、私、ちょっとお買い物に行って来るね」

「今夜の晩酌なら私も手伝うわよ、夕子」


夕子(未来)、お買い物ってな〜に?」

「三日月姫、お酒よ」


夕子(未来)、私も付いて行くわ」

「三日月姫には前世の未来が付いているわよ」


夕子(未来)、私は転生した未来と一緒にいたいの」

「分かったわ。

ーー でも着替えが必要ね」


 転生した星乃紫が、昼間夕子にアドバイスした。


「三日月姫は、私の前世よ。

ーー だから私の服が合うと思うの。

ーー 私、部屋から持って来るから」


 かぐや姫である三日月姫が星乃紫を手で遮る。


「私があなたの部屋に行きあなたのに着替えます」


 星乃は三日月姫の言葉を受けて、三日月姫と部屋を出て行った。





 前世の未来が、未来の転生者である夕子に告げた。

夕子(未来)、私は三日月姫の従者なの姫から離れるなんて、

ーー あり得ないのでござります」


「分かったわ。

ーー 未来、着替えて一緒に行きましょう」


 昼間夕子は、前世の自分自身である未来に若草色のワンピースを貸し与えた。


 未来が来ることが分かっていたようなワンピースに夕子は一度も袖を通したことがなかった。


 夕子は、ストレスが溜まるとワンピースを衝動買いする悪癖を持っていた。

副業のお陰で悪癖が直接生活に影響することがなく済んでいる。


「じゃあ、未来、これに着替えて一緒にお買い物に行きましょう」



 前世の三日月妹が転生者である朝霧美夏に聞いた。

「美夏、私も未来や三日月妹と一緒に行きたいの」

「分かったわ、三日月、私の部屋で着替えましょう」


「美夏、一階のエレベーターのところで待っててくれる」

「分かったわ、夕子」


 三日月妹は美夏の部屋で美夏の服に着替えることになった。


そのあと、夕子は、紫の携帯に連絡を入れて、待ち合わせ場所を一階エレベーター前に指定した。





 昼間夕子、朝霧美夏、星乃紫は、前世の未来、前世の三日月妹、三日月姫を連れて東富士見町のスーパーマーケットを訪問することになった。


 他人が見れば、双子にしか見えない四人と二人だった。


 夕子の部屋では、酒田昇と神主と未来の前世の妹である零が残っていた。


「神主さん、あの六人の買い物が心配だから、僕も応援に行きますが、宜しいでしょうか」


「酒田さん、何かあれば、私の携帯電話に連絡してください。

ーー 番号は、これです」

 神主は酒田に名刺を渡した。


 酒田が夕子たちを追いかけるようにエレベーターに駆け乗ると日向黒子が飛び込んで来た。

「酒田さん、な〜に急いでいるんですか」

「日向さんも、急いでいるじゃないですか?」


「いや、僕は、昼間先生たちのお手伝いをしに行く所ですが・・・・・・」

「酒田さん、な〜んか、怪しいな。

ーー な〜んか、隠してない?」


「そ〜んなことないよ。日向さん」


 エレベーターが一階に着くと昼間たちが三日月姫を待っていた。

日向が驚いて口に手を当てている。


「昼間先生が二人、朝霧先生が二人いる・・・・・・」


 そこに三日月姫と星乃紫が合流した。

「星乃先生まで二人いる」


「日向さん、あなたも零とそっくりよ。

ーー 転生者はね、

ーー 前世の自分の容姿を受け継ぐのよ」


 日向は星乃の説明に零の顔を思い浮かべて驚いた。




 昼間夕子が、みんなに注意した。

「私たちは、私たちの前世の生まれ変わりよ。

ーー 前世の私たちに危険が無いように注意して上げて。

ーー 車道側を歩かせないように」


「分かったわ、夕子、そうしましょう」

朝霧の返事に星乃も強く頷いた。


 六人の美人女性の後ろを酒田昇と日向黒子が付いて歩いた。


夕子(未来)、この道は石ばかりの道でござりますの」

「三日月姫、これはアスファルトと言う石の親戚みたいな物です」


夕子(未来)、私は未来が書いた物語が見たいのでござります」

「三日月姫、お部屋に戻ったら、お見せしますね」


夕子(未来)、かたじけない」

「三日月姫、姫が私に丁寧語は不用です」


夕子(未来)、分かった」


 前世の未来は、生まれ変わりの未来と三日月姫のやり取りに緊張している。

不敬が無いようにと。




 一同が東富士見町のスーパーマーケットに到着した。

「星乃先生、朝霧先生、二階の婦人服売り場で当面の肌着と服を購入するわ」

 朝霧先生と星乃先生が財布の中身を心配していた。


「先生たち、大丈夫よ。

ーー 今月の印税でカバー出来るから私に任せて」


「昼間先生がいて、助かるわ」

「朝霧先生、私もかぐや姫で稼がせてもらっている身よ。

ーー 当然の義務ね」




 二階に上がり、酒田はレジ前で待つことになった。


 昼間夕子は、夕子のサイズと美夏のサイズ、そして紫のサイズを参考に肌着を次々に選んだ。


「とりあえず、今日は一枚ずつね。

ーー あとワンピースとサンダルでいいわね。

ーー 靴は向かないと思うの」


「昼間先生、私も同じよ」

「星乃先生も昼間先生と同じね」


 朝霧は、そう言うと傍にいる前世の自分である三日月妹の体型を見た。


「昼間先生、お顔と違い、お身体のラインが意外とスリムかも知れませんわ」


「そうね・・・・・・。

ーー 今と昔では、食べ物が違うわね」


 昼間夕子は、レジで購入品をクレジットカードで支払った。

衣服の翌日配送をスーパーマーケットにお願いした。


夕子(未来)、あの薄い物は、お金なのか?」

「三日月姫、あれはクレジットカードという信用取引に使う手形のような物です」


 作家である夕子は咄嗟(とっさ)に取り繕うがレジの店員が怪訝(けげん)な表情を浮かべていた。




 酒田と日向を連れ、前世と現世の未来、三日月妹、三日月姫の六人は、地下の食品売り場に移動した。


 三日月姫が食品の試食コーナーに釘付けになっている。


「夕子、この変わった色の食べ物は?」

「中華のシュウマイです」


「これは食べて良いのか」


「お客様、試食されて見てください」

店員が言った。


 前世の未来が慌てて、三日月姫の前に来た。

「姫さま、私が()()()を」

「作用か、未来、食べてみよ」


「姫さま、美味しいでござります」

姫は、未来の食べかけを頂いた。

「夕子、美味しいのじゃ」


 試食コーナーの店員が()()()の言葉に驚いていた。


 お読みいただき、ありがとうございます!

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投稿後、加筆と脱字を修正をする場合があります。


三日月未来(みかづきみらい)

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