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第四十話 前世の未来の妹の告白

 昼間夕子は精霊の声と謎の巫女本人の声に従って寝泊まりさせることにした。

神社の神主である陰陽師(おんみょうじ)は指示を伝言して神社に戻って行った。


 夕子たちは、夕子(みらい)の前世の妹である謎の巫女を受け入れる。

夕子(みらい)は謎の巫女に黄色い浴衣を貸し与え寝巻きにするように言った。


 巫女がリラックスできるように夕子は一緒に入浴をした。

その間、星乃(けい)朝霧(みかづき)酒田(みかど)は、ダイニングルームで待っている。

(※名前の上の振り仮名は前世名です)


 異常事態に全員が夕子の部屋に泊まることになる。


 夕子(みらい)と巫女が浴室から出て来た。

夕子(みらい)が巫女の髪の毛をタオルで拭いている。

ドライヤーは彼女の髪を傷めることを(おそ)れて避けた。


 巫女に年齢を尋ねると十八歳と言う。


夕子も当時の記憶は無いが巫女から聞き出すことを考えた。




 夕子の部屋のダイニングは一人暮らしに不釣り合いなほど大きい。


 夕子(みらい)、巫女、星乃(けい)朝霧(みかづき)酒田(みかど)の五人は、飲み会を始めることにした。


「あなたがわたしの妹なの?

ーー お名前、教えてくれる」


「思い出せないのじゃあ・・・・・・」

タイムスリップのショックだった。


「じゃあね、とりあえず」

と夕子が言い掛けた時、精霊が囁く。


[その娘は、(れい)よ]


「今、精霊が教えてくれた」

「あなたのお名前は、零なのね」


「分からないのじゃ、でも聞き覚えがあるのじゃ」

「これから、私たちはあなたを()()と呼ぶけど、

ーー いいかしら」


零は、小さく(うなず)いた。




 夕子は零の年を聞いてお酒を一緒に飲むことにする。

「零、お酒飲もう」


 零は両手でお猪口を持って夕子の前に出した。

夕子が注ぐと零は、地酒の香りを嗅いだ。


「このお酒、とても良い香りじゃから勿体無いのじゃ」

「大丈夫よ、零、今夜は、これを飲んでぐっすり寝なさい」


 零は、夕子に擦り寄って甘えた。

夕子が貸し与えた黄色に花柄の浴衣が似合っている。

湯上がりに夕子が束ねた髪の毛は長いポニーテールになった。


 零の左隣には三日月の妹の朝霧がいる。

朝霧の前は帝の前世を持つ酒田で隣が三日月の姉の星乃だった。


 夕子は冷蔵庫から野沢菜を取り出して零に与える。


「零、どうかしら」

「しょっぱいのじゃあ」


 夕子は物の価値を忘れていた。

大昔の時代なら塩は貴重品だったはず。


しばらくして、巫女は床に就くことになった。

「零、おやすみ」




「色々あり過ぎて混乱しているけど」

「そうね、夕子(みらい)


星乃(ケイ)、明日行こう」

「神社ね」

星乃(ケイ)夕子(みらい)の提案を受け入れた。


朝霧(みかづき)酒田(みかど)も同意する。


「まさか、イラストに次元扉があるなんてアニメの世界ね」

朝霧(みかづき)、世の中には分からないことの方が多いわよ」


「私も星乃(ケイ)の言うことに賛成よ。

ーー 酒田さんはどうなの」


「僕は、女性たちみたいにそういう事に(うと)くて」


「でもさ、酒田さん、もう相当深く関わっているわよ、私たち」

「あのイラスト封印だけで大丈夫かな」


 酒田が珍しく弱音を吐いた。

幽霊を見ても平気そうな酒田が・・・・・・。




 翌朝、五人は神社までワゴンタクシーで移動することになった。

さすがに通勤電車はカルチャーショックが大きいと判断しての結論だった。


「これは、馬車のような乗り物じゃな」

零は、驚きの連続だった。


 神社に到着すると神主が迎えてくれた。


「時空が不安定ですから社務所の中にお入りください」

「神主さん、ありがとうございます」

昼間夕子だった。


 五人は神社の巫女に案内されて中に入るがイラストのある奥座敷を零が避けている。

無理もないイラストに吸い込まれたのだから。


 隣の部屋で神主と対談することにする。


「昼間先生、申し訳ないが、

ーー あなたの前世の妹さん、

ーー 時が来たら戻ることになるはずだ」


「零ですか?」

「そう呼んでいるのかな」

「はい」


「向こうに戻れば前世の姉であるあなたがいるから心配ない」

「そうですね。ちょっと寂しいけど」


零が口を開く。

「私はこの時代が好きじゃから

ーー 私は帰らないのじゃ」


 神主も夕子も、予想外の零の言葉に反応出来ない。




 三日月の姉である星乃(ケイ)が零に尋ねる。

「零、私は、どうなったの?」


「三日月の姉と帝は心中しようとしたの」

「帝は不治の病の三日月だけを死なせたくなかったのじゃ」


「あの血は、誰の血なの」

「帝は心中しようとして三日月に拒否されたのじゃ。

ーー この神社の境内で短刀で自害を図ったのじゃ

ーー 幸い傷は浅く陰陽師が手当てをして一命を止めた。

ーー 三日月は、その翌日、心労が引き金となって()()()()()()()()


「零の説明、分かりやすいわ」


 神主が零の説明を聞いて、間に入る。

「零、あなたの生まれ変わりもこの時代にいる。

ーー つまり、あなたが二人、同じ時代にいる」


 零には、神主の説明が理解できない。


「時空には誰も逆らえないからな。

ーー ()()()()()()


夕子が唐突に言う。

陰陽師(おんみょうじ)、神さまを召喚して」


「昼間先生、それは無茶苦茶ですよ。

ーー それが可能なのは(ミカド)だけでしょう」


 神主の言葉に、昼間(みらい)星乃(ケイ)朝霧(みかづき)、零の四人が前世の帝である酒田に温かな視線を送った。


「みんな、僕がそんな詠唱(えいしょう)を知っている訳ないじゃ無いか」




 神主は再び酒田に退行催眠を実施することにした。

目的は()()()()()()()()だけだった。


 酒田の退行催眠が実施された。

星乃(ケイ)朝霧(みかづき)昼間(みらい)はバッグからペンとメモ用紙を取り出して構えている。


 帝の前世を持つ酒田が陰陽師(おんみょうじ)の誘導に従ってゆっくりと話し出した時、時空に歪みが走った。

陰陽師は止めることも無く続け退行催眠を続ける。


 時空がいつまで耐えるか分からない賭けだった。

三人の教師は、訳の分からない酒田の言葉をそのまま書き留めた。

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三日月未来(みかづきみらい)

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