第三十八話 神社のイラストに超常現象が?
注意: 昼間夕子、朝霧美夏、星乃紫の三名の氏名の上にある振り仮名は前世名であり、現在のニックネームとなっています。
朝霧と星乃は前世の双子の姉妹の三日月だった。
姉が星乃で、妹が星乃、星乃はかぐや姫のモデルだったため、現世ではケイと呼ばれている。
昼間の前世は三日月妹の従者で未来と呼ばれた作家だった。
※話によっては、振り仮名を多用しています。とかく読みづらくならないように。
中高生以上を対象に書いています。
昼間夕子、朝霧美夏、星乃紫の三人の教師は、酒田昇を連れて自宅のあるマンションに戻る。
「じゃあ、酒田さん、あとで晩酌よ」
「手荷物を置いたら、すぐに行きます」
酒田の声が嬉しそうに弾んでいる。
ドアチャイムが鳴って、満面の笑顔の酒田が合流すると話題が変わった。
「まずは、ビールで、お疲れさんね」
「乾杯!」
夕子の合図に四人はビールを一気に喉に流し込んだ。
夕子が酒田を見ながら労いながら朗報を酒田に告げた。
「酒田さん、今回の騒動は濡れ衣の可能性が浮上しているわ」
「昼間先生、どう言うことですか。
ーー さっぱり、僕には分かりませんが・・・・・・」
紫が夕子の話を引き注ぐ。
「今日ね、私たち、例の神社に寄ったのよ。
ーー そしたら生徒の一人がかまいたちあってね」
「かまいたちですか?」
美夏は、酒田にお酌をしながら紫の言葉に続いた。
「それが起きた場所が例の時空事件の場所だったのよ」
「で、その生徒さんは大丈夫でしたか」
「神社の陰陽師の手当てで無傷に戻りました」
「あの神主さん、そんなことが出来るんですか?」
夕子は、手酌をしながら酒田を見て言った。
「だから、酒田さんがいなくても、事件が起きてしまったのよ。
ーー これが、どう言うことか分かるわね。酒田さん」
「いいえ、全然分かりませんが・・・・・・」
「酒田さんがいた時も七人だったのね、
ーー そして、今日も七人だったのよ」
「じゃあ、あの道は七人で歩いたら危ないのですか?」
星乃が話出す。
「酒田さん、神主さんは、七人を避けてと言うのよ。
ーー でも、今は話せないと言うのね」
酒田は星乃にお酌をしながら呟く。
「でも、変だな・・・・・・」
夕子が酒田に聞く。
「何が変なのよ」
「だってさあ、今日の七人に僕が加われば、
ーー 八人じゃないですか?」
夕子が大きな声を上げた。
「じゃあ、八人で試してみよう」
美夏と紫が夕子を見ながら呆れ顔になっていたが夕子は動じない。
夕子は一升瓶を見ながら無関係なことを口走った。
「これ、美味しいと思ったら静岡の銘酒じゃない。
ーー 美味しいと、ついつい飲む量が増えるのよね」
「そこの杜氏さん、所謂有名蔵元からの引き抜きされたそうよ」
「紫は、本当に、お酒が詳しいわね」
「夕子の飲みっぷりには歯が立たないけど」
美夏が唐突に話題を変えた。
「で、夕子、本当に八人で試すつもり」
「試したいわ」
[ダメ・・・・・・]
「みんな聞こえた?」
酒田にも聞こえたらしく。
耳を疑っている。
[ダメ・・・・・・ダメ]
夕子が精霊に心の中で尋ねた。
「どうして」
[扉が開く]
「どう言うこと」
[今は言えない]
神主と同じ言葉を四人は聞いて驚いた。
「夕子、これ相当ヤバイわよ」
紫の言葉には思えない。
酒田は、驚いたまま、酒に集中していた。
「酒田さん、ピッチが早いわよ」
「朝霧先生、すみません・・・・・・」
酒田が照れ笑いをしながら夕子の父親が描いた下書きのイラストを指す。
「酔っ払ったかな、あのイラスト、この間と違うよ」
「酒田さん、酔っているわね」
「僕は、まだまだ平気ですが」
朝霧と星乃がテーブルを離れ、
ーー イラストを見に行き酒田と夕子を呼んだ。
「これ白黒じゃなかった?」
「紫、白黒よ」
「じゃあ、夕子、この赤は何?」
「イラストの境内に赤い跡が・・・・・・」
酒田が何かを思い出したように叫んだ。
「これ血痕じゃないか?」
「でも、イラストだよ」
「そうだけど、なんかのメッセージかしら」
夕子は言いながら、一升瓶を持ちお猪口に手酌をしていた。
「夕子、私もお願いよ」
紫だった。
「お酒飲んでいなかったらヤバかったね」
「でも、酒田さんや紫、美夏のイラストは大丈夫ですか?
ーー 確認して置いた方が良さそうね。
ーー あの神社には、まだ大きな秘密がありそうよ」
「僕も昼間先生と同じ意見です」
「そうね、私たちの前世の契りと関係しているような気がする」
と言いながら夕子は手酌を繰り返している。
「夕子、お酒切れそうよ」
「星乃先生、大丈夫です。部屋に戻って僕のお酒持って来るから」
酒田に続いて、美夏と紫も部屋からお酒を持ち寄ることにした。
酔った夕子は荒れた口調になっていた。
「なんか、変だぞ。
ーー 貴様ら、イラスト確認だな?」
三人は、夕子に見透かされていた。
部屋から前世の仲間の三人が消えて、夕子は下書きの白黒イラストを見に行く。
さっきより鮮明に感じる夕子だった。
夕子が玄関で三人を出迎えた。
酒田が焼酎、星乃が日本酒、朝霧がワインを持ち寄って、飲み会の二次会が始まった。
「即安にもオーダーして置くか?」
「昼間先生も星乃先生も強いから、それがベストね」
美夏の言葉を受けて、四人は紙幣を一枚ずつ置いた。
「で、みんな、あのイラスト、どうなっていた?」
「血痕がはっきりとありましたよ」
「なんか、オカルトとかに似て来ましたよ」
「私たちは、今夜は三人で泊まるけど、
ーー 酒田さんは男だから大丈夫ね」
酒田が辛そうな表情をしているので夕子が助け船を出す。
「酒田さん、居間のソファーで良かったら私はいいわよ」
「昼間先生は優しいね」
「男は甘やかしちゃダメよ」
「星乃先生・・・・・・ご勘弁を」
美夏と紫が躊躇いながら、夕子の助け船に難色を示す。
「まあ、いいじゃない。
ーー 襲って来たら、三人がかりで押さえ込むだけね」
夕子の言葉に、体育教師の朝霧美夏が力瘤を作り酒田にアピールした。
その頃、陰陽師の神社の社務所の奥座敷では、巫女が神主を大声で呼んでいた。
神社にも同じ絵柄のイラストが飾られていたのだが、昼間たちと同じく赤色に染まっている・・・・・・。
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三日月未来




