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第三十七話 神主の予言と前世の繋がり

 昼間夕子、朝霧美夏、星乃紫の三人は、東富士見町から通勤電車に乗車して、神聖学園前駅で降りた。

文芸部の白石陽子に声を掛けられ、昼間はっとする。


「昼間先生、おはようございます」


昼間の耳元で精霊が(ささや)く。

[その娘、重要]


朝霧も星乃も精霊の声を聞いていた。



「先生!大丈夫ですか?」

「いや、ちょっと考えごとをしていただけだ。

ーー 心配ない、白石ありがとう。

ーー ところで、白石、部活のあと用事あるか?」


「いいえ、何も予定ありませんが」

「じゃあ、私と近くの神社にお参りに行かないか」


「私は、予定ないので、

ーー よろしければご一緒させていただきます」

「白石はヒメと違って控えめな性格だな」


「先生、後ろにいますよ」

「誰が」


 

 白いスカートスーツの昼間夕子は振り向いて幽霊でも見たような表情に変わた。

ヒメの横にいた妹の真夏が大笑いをしている。


「先生、そんなに驚くことですか?」

「いやな、いきなり未確認飛行物体(UFO)を見たら驚くだろう」


「先生、それ全然言い訳になっていませんが」


真夏も白石も脇腹を押さえながら笑いを(こら)えようしていた。


「昼間先生、ヒメが可哀想ですよ」

朝霧だった。


「お化けなら、まだしも、未確認飛行物体(UFO)じゃあまり(ひど)いじゃないですか」


「星乃先生、それじゃ、昼間先生より悪いじゃないですか」


「朝霧先生、ありがとうございます」

「ヒメ、私たちも放課後、文芸部に寄るからね」


「先生、アレですね」

「そうよ、アレよ」


「朝霧先生、アレって何ですか?」

「白石、先生がさっき聞いただろう」


「昼間先生、アレですか」

「そうだよ、アレ」


 ()()()()の様な()()()()()()()()が続いた。


 六人は学園の玄関で別れてそれぞれの方向に散った。


 雲はなく晩夏の朝の日差しが降り注いでいる。

校庭の大木の葉は濃い緑色に輝いていた。



 放課後、白石陽子はヒメから説明を受けて驚く。

「そんな時に私が混ざって大丈夫かしら」


「昼間先生のお誘いなので大丈夫ですよ」

「ならいいんだけど」


「白石!」

 元気のいいテンションの高い声に二人が振り返る。


「昼間先生」


「今日の部活は適当に済ませて神社に移動するぞ」


「先生、適当ですか?」

「そうだ。そういう日もありだ」


 昼間夕子先生の理屈は、いつも本人にしか理解不能な理屈だった。


 朝霧先生と星乃先生が遅れて到着した。


 部員の顔触れが(そろ)ったところで昼間が生徒たちに説明する。

「今日の部活は、都合によりお休みとしますが、

ーー 残るのは自由です」


 相変わらずめちゃくちゃな説明になっている。



 日向黒子、白石陽子、夢乃真夏と兄のヒメに三人の女性教師を加えた七人が学園を出て大通りを進む。


「先生、まだ暑いですね。

ーー 僕は暑いの苦手で・・・・・・」

「そうだなヒメ、この数年の残暑はキツくなるばかりだな」

「ヒメ兄は、そんなんだから、女の子に馬鹿にされるのよ」


「そんなこと言ったって、暑いものは暑いよね、先生」

「心頭滅却すれば・・・・・・」

「星乃先生、そうは言うけど火が(すず)しいわけありませんよ」


 文芸部のヒメは話の(さかな)にされている、


「昼間先生、そこ右ですか?」

「そうよ、逆からだからね」




 七人は学園と書店の間の信号を曲がり時空事件の場所に近付いた時、ぴっしと言う音を聞く。

ヒメが咄嗟(とっさ)に左手を押さえて顔を(ゆが)めている。


「昼間先生、かまいたちよ」

「星乃先生、とにかく手当をさせましょう」


 神社の鳥居をくぐり抜け境内(けいだい)(そば)の社務所に寄った。

昼間は事情を巫女に告げ神主を呼んでもらうことにした。


「どうされましたか?」

「途中でかまいたちに遭遇したようです」

昼間が答えた。


「とりあえず、手当をしましょう」

陰陽師が印を切ると不思議にヒメの痛みが消え傷も消えた。


「神主さん、ありがとうございます」


「今日は、七人ですか?

ーー どうも、あの道と七人の相性が悪いようです」




 神主は、日向、白石、夢乃兄妹を見て腕組みをした。


「ちょっと、みなさんの前世を見させてください」


四人は押し黙り神主の言葉を待っている。


「あなたたち四人も昼間先生、朝霧先生、星乃先生と同じ時代に縁のあった人たちですね。

ーー 今日は、そこまでしか話せませんが・・・・・・」



 星乃先生が口を開く。

「この神社の話は、以前も聴きましたが、

ーー 私たちと何か重要な繋がりがあるのですか?」


「今は、申し上げるべき時期じゃない。

ーー 時期が来たら伝えるから待ってくれないか」



 神主は、そう言うと、七人に神社のお守りをプレゼントした。

「このお守りが、護ってくれるから

ーー 肌身離さず持つように」


「神主さん、お風呂もですか?」

神主は困った表情を浮かべ、ヒメに言う。


「お守りは濡らさないこと。

ーー お守りから遠くに離れないこと」


「神主さん、ありがとうございます」

昼間夕子はヒメのシャツを引く。


「昼間先生、またいらしてください。但し、五人で、

ーー 七人いると目に見えない力が暴走するようです。

ーー 先生たち三人に生徒二名の組み合わせが安全かも知れません」


「じゃあ、日向、白石がAチーム、夢乃兄妹がBチームにしましょう」

「星乃先生、それがいいでしょう」


 神主は星乃先生の提案を受け入れたあと奥座敷に消えた。



 帰り道、生徒と別れた三人の女教師は東富士見町のスーパーマーケットで晩酌の食材を探す。


「星乃先生、今日の神主、なんかしっくり行かない言い方でしたね」

「そうね、昼間先生、きっとなんか隠しているわよ」



 朝霧美夏は二人の会話を上の空で聴きながら(うなず)いていると酒田がやって来た。


「昼間夕子先生!今日も素敵な白いスーツですね」

「酒田さん、今夜も美人ホステスの三人がお相手よ」


「もちろんです。

ーー 昼間先生、でも原稿の締め切り大丈夫ですか」

「大丈夫よ。学校で書いているから」


 薄紅色のワンピースの朝霧美夏と水色のワンピースの星乃紫が、口に手を当て驚いている。

「昼間先生・・・・・・」

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三日月未来(みかづきみらい)

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