第二十三話 帝は誰かしら?
星乃紫が双子の三日月の姉で、朝霧美夏がその妹、昼間夕子が従者で作家の未来と分かったが・・・・・・。
三人は、運命の再会のあとにどうするのかが分からない。
男女の関係ならば赤い糸が結び付けるもあるがと夕子は考えた。
この前世の契りには、まだ分からない謎が沢山ある。
夕子は、分かって来た御伽噺の断片をパズルのように組み合わせる。
新しい何かが発見できるかもと作家の創造力を駆使して考えた。
三人は、次の約束を交わして解散した。
昼間夕子は、マンションの部屋に戻るとパソコンを開いて執筆に取りかかろうとして空腹を覚える。
冷蔵庫から缶ビールとナッツ取り出しテーブルに戻る。
お気に入りのクリスタルガラスのビールグラスに注ぐ瞬間を夕子は楽しんだ。
「さーて、執筆しなくちゃ」
夕子は誰もいない部屋で独り言を漏らす癖がある。
「双子の三日月と未来の御伽噺を書けば良いのよ。
ーー ただ、この三人以外にキーパーソンはいないのかしら?
ーー 三日月と帝は、どうかしら。
ーー 未来である私が転生して、二人の三日月が転生したのよね」
夕子の独り言が続く。
「この物語のもうひとりは、やっぱり男じゃないかな。
ーー 帝の生まれ変わりか?
ーー だとすれば、あいつが臭いが辻褄が問題だ」
夕子は、ビールを飲みながら独り会議をしている。
「精霊が教えてくれれば良いのだが・・・・・・」
再び冷蔵庫から缶ビールを取り出して飲む。
そのうち、うとうとして眠りに落ちて夢の中で独り会議の続きをしていた。
かぐや姫、つまり三日月の姉を失った帝は悲しみに暮れた。
妹の三日月を側室に迎え入れる。
御伽噺のかぐや姫は、月に帰るが実際のかぐや姫は死んだ。
瓜二つの妹が亡き姉を演じる。
従者の未来が御伽噺を完成させた。
「やっぱり、帝か?」と思った時だった。
ドアホーンが鳴り夕子は夢から覚め玄関に行く。
「どうしたの三日月」
「未来の作家脳に聞きたいことがあって来ちゃった」
「しょうがないわね。上がって」
「お邪魔します」
「三日月、ビール飲む」
「えええ、いいの?」
「どうぞ、ナッツしかないけど」
「喉が渇いていたから助かるわ」
夕子は、今見ていた夢の断片を三日月であった美夏に話す。
「とりあえず、乾杯ね」
「未来の夢は、いつもリアルよね」
「夢だけど」
「姉を失った私が帝の側室ね。筋は通るわね」
「今、三人は生まれ変わっているのだけど
ーー 役者が一人足らないと思わない?」
「そうね。帝がいないと変よね」
「帝も生まれ変わっているかもしれないわ」
「だとしたら、誰かしら」
「多分、変な夢を見ていた、あいつじゃないかしら」
「まさか、あのヒメ」
精霊が二人の耳元で囁く。
[そうよ。ヒメね]
「三日月、今、聞こえた?」
「ええ、聞こえたわ」
「神聖学園が転生学園になって来たわね」
「えええ、四人も同じ時代の人が集まればそうね」
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三日月未来




