第二十二話 紫、美夏、夕子と精霊
美夏は、夕子の部屋で見つけた同じ神社のイラストを紫の部屋で見つけた。
「あれは?」
「あれですか」
「そう、あの絵」
「あれは、駅前の本屋さんで最近見つけて買ったイラストね」
夕子のは下書きだったけど本物のイラストは鮮明だった。
美夏は、夕子との前世の契りの印を紫に説明した。
「三日月形の痣が契りとしても
ーー私のはうなじになりますが」
「そうね・・・・・・」
美夏は言葉失い考え込む。
その時、三人の頭の中で声が聞こえた。
[前世の契り、見つけて]
夕子が心の中で尋ねる。
[あなたは、誰なの?]
[三日月の精霊]
三人は、同じ声を聞いた。
夕子が紫に唐突に質問する。
「星乃先生、失礼ですが、二の腕の裏側に痣がありませんか?」
「えええ、痣ですか?」
「多分、左腕の裏側」
星乃紫は、大きな鏡の前に移動して腕を上げてみた。
「よく分からないわ・・・・・・」
美夏と夕子が諦めかけた時、紫が声を上げる。
「あああ、これ何かしら」
夕子と美夏が近寄り、痣を見て、二人の痣を紫に見せた。
紫が再び驚く。
「そっくりねーー 偶然かしら」
「星乃先生ーー そんな偶然などありませんよ」
「朝霧先生ーー そうね、確かにないわね」
三人の腕の裏側に刻まれた三日月形の痣が、その時、金色に輝く。
光の中から精霊が三人の目の前に現れる。
「双子の三日月と未来、前世の契りを見つけたね」
精霊は、すぐに消えて光になった。
三人は、目の前で起きた奇跡に呆然として佇んだ。
「星乃先生が三日月で、朝霧先生が三日月と分かったわね」
「意味がわからないわ」
「三日月は双子の姉妹なの
ーー 竹取物語のかぐや姫が双子の姉の三日月なの。
ーー 帝はかぐや姫の死を隠すために未来に御伽噺を書かせたのね。
ーー 未来は、双子の妹の従者だったのよ」
夕子の話を朝霧が受け継ぐ。
「三日月の姉の従者が妹で、妹の従者が未来だったのよ
ーー 未来は作家で今も作家をしているわ」
星乃紫は、聞かされた朝霧の話に驚きながらも納得していた。
「と言うことは、私が三日月なの
ーー でも、姉か妹かは分からないわね」
「きっと、さっきの精霊が知っているわ」
その時、再び、精霊の声が聞こえた。
[三日月の姉の印はうなじの痣・・・・・・]
「星乃先生、聞こえたわね。
ーー 先生が姉よ」
三人の脳裡に前世の光景が甦る。
大きな宮廷の廊下にいる双子の三日月と未来の姿。
近くには帝もいる。
「朝霧先生、今、見えたわ、前世の記憶が」
「星乃先生も見たのね」
昼間夕子、朝霧美夏、星乃紫の三人は手を取り合い再会を喜ぶが・・・・・・。
夕子がポツリと疑問を漏らす。
「ミステリーの真相は分かったけど・・・・・・。
ーー 再会のあと私たちどうなるのかしら?」




