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第十二話 契りと夕子の思惑

 昼間夕子は汗だくになって自宅のマンションの自室に戻った。

夕子は、両親と同居していない。


 シャワーを浴びたあと、夕子は鏡の中の自分を見ている。

いつもの自分のプロポーションにうっとりしている時だった。


「未来、契りあるでしょう」


「三日月なの」


「未来、契りあるよ」


声は消えた


 ドライヤーで髪の毛を乾かそうと左手で髪の毛を上げて見た時。

鏡に映り込んだ二の腕の後ろに薄い赤い(あざ)が見えた。

夕子は、今の今まで、痣があることを知らなかった。


 よく見ると、その痣は小さな三日月の形をしている。

夕子は、三日月にテレパシーで質問を試みる。


「三日月、契りって、この痣なの」


「未来、それが契りの跡よ」


「未来、三日月の契りを探して」


「三日月、探すって、どうやって」


「未来、同じ契り、見つけて」

声は、いつものように途絶えた。



 同じ契りのあとを見つけてと言われても、どうすればいいのかさっぱりわからない。

夢乃兄妹と日向黒子をプールに誘って見るかと夕子は考えた。


 週に一度、夕子が部室に顔を出すと、お目当ての部員が顔を揃えている。


「みんな、聞いてくれ」

「文化部の文芸部は運動に縁が無くて涼しい思いが出来ない」


「そこでだ、文芸部もプールで心身をリフレッシュしたいと思う」

「先生、素敵な提案をありがとうございます」


「日向も、そう思うか」

「猛暑が続き、水浴びすれば何か良いアイディアも浮かびそうと思いました」


「夢乃兄妹は、どう思う」

「ヒメ兄は、運動音痴ですから水浴び程度と思いますが」

「真夏ほどじゃないが、少しは泳げるぞ」


「少しって何メートル?」

「プール幅だから十五メートルかな」

「ヒメ兄、何いけしゃあしゃあと言ってんのよ

ーー 泳げるって言うのは五十メートル以上よ」


「そうね、五十メートル出来ないと校内水泳大会も無理ね」

日向黒子だった。


「先生は、泳ぐより水浴びでいいと思うよ」

「ほら、先生が、水浴びと言っているじゃあないか」

ヒメが反撃して、部員は笑っている。


「とにかく、みんな、水浴び賛成の人、挙手してください」

ヒメを除いて全員が挙手した。


「ヒメ、どうした」

「だって、男、僕だけだし・・・・・・」


「なるほど、先生のナイスボディに照れる訳も分かるな」

「先生、そんなことありませんが、文芸部の男は一人なんで」


「まあ、無理強いはしないが、気が変わったら、妹の真夏さんとおいで」

「ヒメ、水浴びだから心配ないよ」


「真夏が言うなら・・・・・・」

ヒメのシスコンぶりに部員たちが呆れている。


「まあ、学園のプールだから問題ないだろう。

ーー じゃあ、来週の部活の曜日までにプールの使用許可を取って置こう」



 昼間夕子は、プール当日の戦略を考えながら部室をあとにして笑みを浮かべている。

プールの使用許可は()()()()にお願いしてみよう・・・・・・。

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