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その二十五 水の巫女

巫女巫女看護婦

 ――

 ――――


「後はここでしょうか? ここがホプキンスの部屋になります」


 メリンダと二名のメイドがある扉の前に立っていた。

 メイド二名の調べでは、最近はソニアと執事のホプキンスが一緒にいる事が増えていることが分かっている、しかも時期的に水の巫女候補が決まった辺りから、一緒に行動することが増えたようだ。

 メリンダの手引きによってソニアの部屋を調べたが、有力な証拠は見つける事が出来ずホプキンスが管理してるのであろうという結論に達し、今に至る。

 メイド二名は頷き部屋に入る


 しばらく部屋の中を調べていると、三〇センチ四方の金属製の箱が出てきた。

 箱には鍵がかかっておりいかにもな外観をしていた。


「これね」

「おそらく」


 二人は箱の鍵をピッキングし開ける。

 一〇分ほどで鍵を開け終えると、中からは数枚の紙が出てきた。

 さっとメイドが確認すると、どうやら中身は目的のものであったようだ。


「なんと……」

「これは、貴族たちの情報が記されているな」


 メイド二人は頷き、メリンダの方へと向かう。


「ありましたか?」


 メリンダの問いに二人は頷くと急いでホプキンスの部屋を後にした。


 ――

 ――――


 僕が夜自室でくつろいでいるとノックの音が聞こえた。


「誰かな?」

「王子、よろしいですか?」


 レンスターの声だった。


「大丈夫だよ入って」

「失礼します」


 レンスターとセイラさんが入ってきた、二人が来たと言う事は、ソニア関連の事だろう。

 しかもこの二人が直接来たと言う事は、ついでにとんでもないものでも見つかっちゃった?


「二人が来ると言う事はソニア関連の事だね?」


 僕がそう問うと、二人は静かに頷いた。


「ええ、王子に言われてさっそくメイド二名を送った所、やはりといいますか……」


 セイラさんが途中で言葉を切ると、レンスターが手に持った封筒を差し出してきた。


「王子も確認してみてください」


 僕はレンスターから手渡された封筒から紙を取り出しそれを読む。


「……想像以上にエグイ内容だねこれ」


 エレンツ侯爵家名義で支援している貴族たちのデーターが並んでいた。

 ヒーロイから聞いた名前、そして拾ったメモに書いてあった名前もいくつか載っている。

 印の押してある紙も数枚、要するに借用書だエレンツ侯爵家の印もあるから、これに逆らえる貴族は少ないだろう。

 そしてこれが決定的だ。水の巫女になるまでと、なってからの計画書とでもいうべきか?

 中身はソニア以外の水の巫女候補の排除計画などになっている。


「この紙にクレアの父親に濡れ衣を着せ、クレアを精神的に追い詰めて辞退させる。とか書いてあるし、水の巫女候補は辞退出来るものでもないんだけどなぁ」

「おっしゃる通りです、ですがこれだけの証拠があれば何かあった場合でも有利に動けます」

「ああ、エレンツ侯爵家は直接かかわっていないが、ソニアとホプキンスとかいう執事の企ては国家反逆罪ともいえる内容だったね」


 想像以上に大掛かりな計画で僕自身も驚いている。

 ヤバイ部分の計画自体はまだ何も動いてないが、前段階の水の巫女候補排除これだけでもかなりソニア達の動きを封じる事が出来る、あとはソニアが水の巫女にさえならなければソニアとの婚約破棄も可能だ。

 もしソニアが水の巫女になってしまっても、最悪の事態は避ける事が出来るだろう。


「後は巫女選定の日まで待つだけかな、ソニアのヤツが大人しくしていればいいのだけど」

「難しいでしょうな」

「だよねぇ」


 きっと、この紙が無くなったことに気付けば、最後の抵抗をしてくると思う。

 ただ、ソニアもまだ巫女候補であるから、直接他の候補を攻撃するようなことはしないはず、しかし間接的に来たとしたら?


「レンスター、学園と街の警備を増やせるかな? 巫女選定まででいいんだ」


 僕はレンスターに尋ねる、レンスターは難しい顔をする。しかし巫女関連となると無視も出来ない。


「そうですな、新兵になってしまいますが総動員させて警戒させましょう」

「ああ、頼むよ」


 レンスターに頼んでおいていうのもなんだけど、ぽんと決定しちゃうレンスターって何者?

 しかし、これで僕たちの出来る事はほぼやったというべきだ。


「王子、メイド二名は機を見て引き揚げさせますね」

「そうだね、おおむね目標は達成したから時期はセイラさんに任せるよ」

「はい、了解しました」


 これからの事というか念のための保険の事を少し二人と喋った後、二人は僕の部屋から出ていった。



次回は24日です

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