第三章:懐かしの田園風景
(一体なんだったんだ...?)
澤村は全く状況が飲み込めないまま唖然としていた。
目の前には、ど田舎の田園風景で穏やかな世界が広がっていた...
俺は一体どこに来てしまったんだ?電車に乗って会社から家に帰る途中だったはず。乗った電車には人が誰一人としていなくて、、、ホームを見ると太っちょの男がニッコリとこっちをみて手を振っていた...
さっきの男が言うにはここはディネロ王都?とか言ってたっけな?
澤村は状況が飲み込めないまま目の前に広がる田園風景を見つめ、そこに吹き付ける爽やかなそよ風と樹々のさえずりを全身で受け止め大きく深呼吸をした。
(こんな綺麗な風景を見たのはいつぶりだろうか...)
そう心の中で思いながら目の前に広がる田園風景へと足を進めていくことにした。
それにしてもここはどこの田舎なんだろうか?全く見覚えもないし、ひとまず誰か探して聞き込みしなくちゃな。
歩みを進め、目の前の丘を登り切った先の光景に澤村は目を疑った。
(これは一体...!!!)
目の前にある村は緑に覆われ、カプセル型の建物が地上から高い場所に乱立し、中央部には大きな樹木のような建物が建っていた。
(こ、これが...ディネロ王都...!?これは確実に俺の知っている世界ではない。見たこともない建物に風景...)
この見たこともない風景を目にした澤村は、異様な高揚感と恐怖心で足が竦んでしまった。
澤村は丘を駆け下り、村の入り口であろう麓にたどり着き、そこで初めて人を目にした。目の前にはなんの変哲も無い人々が木籠を手に行き交って賑わった町並みを見せていた。
ーーこれがディネロ王都の第一都市、グラノ村ーー