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異世界に咲く一輪の黒花〜黒龍の花嫁〜  作者: 唯月
クライマックス編
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30



 空に昇った2柱の龍が見えなくなり、止まっていた時間が動き出す。


 ほぼ枯れていた湖は、徐々に水位を増し、水底で輝いていた星の核が見えなくなる。


 そういえば、星の核は、黒々とした瘴気が消え、コドモドラゴンから、蜥蜴に戻り?湖の底へ消えたそう。

 元々白曜と黒曜が星を創る時は、自分達の姿に似せた形の核にするらしい。


 なんか、管理も創り出すのも楽らしいから。

 だとすると、白曜に似せた核は蛇になるのかしらね?


 まぁ、この星の核は、当分の間休息するでしょう。沢山頑張ってまた頑張ったら、過労死だわ過労死。


 そして、変化は続く…、湖の周りの枯れていた木々は、徐々に青々と茂りはじめ、鳥たちが寄ってくる。


 魔物に変化があるのかどうか分からないが、世界の瘴気が晴れた様に澄んだ空気になる。


 湖の周りに、白の綺麗な花が咲き乱れる。

 その花についた露から、精霊が生まれる。


 今、この星の中心では、星が生き返っていっている。



「最高のエンディングを迎えられそうね。」


 私の呟きを聞き、ジークとオウちゃんが飛び出てくる。


『真琴!真琴!凄いニャ!』


『加護とか関係なく、神を従わせるの真琴位…。』


 ん?聞き捨てならないな。従わせてない、お願いしただけだ。


「お願いしただけよ?だって、星が居なくなる方が困るでしょ。」


 そうよ、そもそも私は私の肉体を使った動きは分かるけど、加護とか超人的な力とか分からないのよ。


 第一、加護があろうが無かろうが、無理だったら剣で戦う予定だったし。

 こんなに上手く行くとは思ってなかったしね。


 まぁ、何はともあれ、大成功で大円団迎えられそうよね。










「真琴…何してるんだ…?」


「あ、黒曜おかえり」


 戻って来た人型の黒曜に聞かれる。

 何してるって…精霊と元魔物達と戯れてます。


「この子達が、湖の周りの花についた露から生まれた精霊達で、この子達が、あの気持ち悪いウネウネした触手を生やしてた狼だった狼?」


 私がそう言うと、黒曜は額を抑えて唸っている。


「ハハ嫁御は愛され体質なんだな!」


 ニュルンと、私の背から首元に顔を出した白曜。

 あんたは、いつまでヘビ龍モードなのよ。


「愛され体質?違うわ!!!私が愛してるから皆も愛してくれるのよ!」


 私が大きな声で言えば、私に精霊と元狼の魔物達が群がる。

 ジークとオウちゃんも私の頭に乗っている。


「嫁御は、何か吹っ切れたのか?出会った時より良い顔をしてるな。」



 この白蛇よく見てるな…。

 

「まぁ、肩肘張るのをやめたのよ。ありのままを受け入れたの。」


「そういうもんか。」


「そういうもんよ。」


 私の答えに、白曜は納得したのかしてないのか、ニュルンと人型になると、私に群がっていた精霊達、元魔物達と戯れ始めた。

 精霊達も、白曜の気を感じてか、嬉しそうにまとわりついている。手持ち無沙汰になった私は、側で額を押さえ続けてる旦那に声をかける。


「で、黒曜はいつ迄頭を抱えているの?」


 黒曜は、顔を上げると、情けない様な、苦々しい様ななんとも言えない表情をしてコチラを見てくる。


「真琴は、我以外には沢山触れさせるのだな…。」


 へ?どういう事?


「我だって、真琴からほっぺにチューされたいし、頭だって撫でられたい。あわよくば、真琴から…うう…」


 真っ赤になって蹲っちゃったよ…。


「ねぇ黒曜?相手はちっちゃい精霊だし、狼よ?犬みたいなものよ?黒曜は、何を呻いてるの?」


「真琴…我だって男だ。それに、真琴が好きだ。」


うん、それは分かってる。じゃなきゃ、私のとんでもないお願いだって聞いてはもらえないだろうし、何より背に乗せたりしないだろう。

 黒曜の名前のもとにもなった、美しい黒曜石の様な鱗に覆われた巨体。

 力強い翼、紅のルビーの様な紅玉の様な美しい何もかもを見通す瞳。

 どれもが、私の心をくすぐる。


 だが、一番素敵だと思うのは、どんな私でもいいと受け入れてくれる、深い深い優しさに満ち満ちたその心だ。いや、勿論、ドンピシャなイケボや、どこに出しても受け入れるだろうイケメンな所も素敵だとは思うのよ?

 けど、そんなものだけでは、私はここまで惹かれなかった。


 私が、話すまで待ってくれたその心。そして、言わなくても伝わるような安堵感。私の欲しかった全てを与えてくれた。



「ねぇ黒曜?私は感謝しているのよ?」


「感謝?」


「感謝。黒曜が居たから、私は私になれた。私は私で良いんだって自信を持てたのよ?これって凄い事だと思わない?」


 私が微笑みながら黒曜を見上げる。黒曜は、蕩けるような笑みを浮かべ、私を見つめる。


「真琴は、この世界の救世主だが、真琴の救世主は我という事か。」


 黒曜は、それは嬉しそうに私の頬に手を添え、甘く微笑む。


「みんな、誰かの救世主になれるのよ。こんな風にね。」


 私は、甘く微笑んでいた黒曜にキスをする。


「ハプニングでキスした時と、今のキス、どっちが幸せ?」


 黒曜は、一瞬驚いた表情をした後、真っ赤になって倒れた。



 倒れた。


 

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