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「……」
「…花嫁…黒龍の花嫁……」
何か聞こえる。様な気がする。
「花嫁…!」
花嫁って誰よ…!私は日下部 真琴よ!花嫁って名前じゃないわ!
そもそも、女性は結婚したら花嫁って…おかしいわよね。
結婚しても子供を産んでも、私は私だし、それ以外の固有名詞で呼ぶのは失礼よ。そうじゃない?
「真琴!」
あぁ、はい。私です。なんですか〜?
すみません、エキサイトしてしまいました。
「…真琴、ありがとう。」
えぇ、まぁ、基本、私は何でも出来ますからね。で、どちら様ですかね?私何かしました?
出来れば、引き抜きとかは止めてくださいね。今結構、充実感凄いんで。
「そうじゃないの」
そうじゃないとな!?
なら、スカウト?
いや、まぁね、コレだけ美人だとそれなりにスカウトもありましたけど、今人妻?なんで、出来れば他に当たってください?
「違う!助けてくれてありがとう!」
助け…?
あぁぁぁ!!!!世界を助けたんだ!
完全に呆けてました。そうね、私、世界を星を守りに戻って来たのよね。
「真琴は、自分のトラウマとも向き合って、私の事も助けてくれて、優しいね」
んん?優しいのは周りよ?
私は、あれこれ指示しただけだからね?そもそも、トラウマも黒曜が私の事を受け入れてくれたから、どうでも良くなったのよ。受け入れてもらえるって大事ね。
だからね、優しいのは私じゃなくて、周りのみんなよ。
「けど、私を残してくれたのは真琴。望んでくれたのも、真琴だから…。ありがとう…。」
うーん、ならそれでいいわ。
感謝は受け取っとくわ。
「けど…ごめんなさい…私の憎み…消え去らなかった…」
良いよ、私が何とかするよ。ここまで来たし、やってきたんだもの。途中で放り出したりはしないわ。
あなたは、ゆっくり休んで。沢山頑張ったんだから、沢山休みなさい。
「ありがとう」
◇
なんか、沢山感謝されて、良い気分で目覚めた。
私は、黒曜の背に乗せられゆらゆら良い気分。
良い気分だし、もう全部まとめて終わらせようか。
「黒曜、私が魔王になっても愛してくれる?」
黒曜は私を見つめ、ニヤリと笑う。
「真琴なら何でも良い。」
ほら、黒曜は受け入れてくれる。
どんな私でも、受け入れてくれる人が居ると思うだけで、こんなにも心強く、心地良い。
なら、もう全部まとめて引き受けてやるわ。
「黒曜、星が抱えてしまった憎みや恐怖とか全部私に頂戴。他の人が抱えてしまっら、その人が魔王になるわ。」
黒曜は、私の意図が分かっていたのか、軽く頷くと苦笑し、私に話し掛ける。
「真琴、真琴のおかげで、星の核は正常に戻った。星が抱えてた感情はまとめてあるから移すことも可能だ。」
うん、だから移せってお願いしてるんだけど…
「だが、真琴忘れてないか?」
「忘れる?」
私が何を忘れてるのよ…
「我は、有を無にする事が出来る。むしろ、得意だ。」
「と、いう事は、」
「負の感情も勿論消す事が出来る。」
な!?
「ついでに、無から有を生み出す事も可能だ。湖も元に戻せる。」
な!?
「星の核は、真琴に感謝し、また深く星の中心へ戻してやったからな…。真琴が望むなら、この星の人に関係しない自然物の回復は創世神にやらせてもいい。」
へ?
「幸いにも、真琴の指示でこの世界は時を止めている。やるなら今だな。」
えぇ〜…
「黒曜がチートだって忘れてたわ…」
「チート?我はただ出来る事はやろうと思ってるだけだぞ?真琴が、この世界を1から作り直すのを止めたんではないか。我等は、無から有を、有から無にするのは得意だが、一つの個を細かく戻すのはやや苦手だからな。」
そうだ、黒曜も白曜も最初は、全部創り直すつもりだったのだ。それを止めて、なるべく現状維持のまま世界を平定するように行動してたのよね。
もう星は落ち着いた、なら、負の感情や、自然物の回復ぐらいお願いしてもいいのかしら。
うん、良いと思う。だって、それは悪い事何もないし。
「黒曜は、そういう男よね。なら、お願いしようかしら…、動植物に何も手を加えず、自然物の回復と、星が抱えてしまった負の感情の消去を。」
黒曜は、極上の微笑みを私に向けると、空に高く昇って行った。
それに追従する様に、白く長い綺麗な龍も空に昇って行く。
「綺麗…」
私は、結構呆気無い問題の解決に、空に昇って行く2匹?2柱の神を眺めながら、微笑みつぶやいた。




