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目が覚めると、側には黒曜も白曜も居らず、ジークとオウちゃんも何処かに行ってる様だった。
それに、寝かされてた寝台は黒曜の神殿には無い物で、此処が黒曜の神殿ではない事しか分からない。
「なーんか寝てる間に大切な事を見てた気がするのよね…何だっけ?」
サッパリすっかり頭から抜け落ちてしまった、「大切な事」を思い出せず、寝台でウンウン唸っていた。
「なんか、ここ最近こんなのばっかりね。」
記憶力に定評のある私は、不服に思いながらも身体を起こし伸びをする。うん。結構寝てたな。身体バキバキ。
こっちに来て直ぐ数日寝込み、三馬鹿に制裁して…どれ位寝込んだのか…。取り敢えず、はっきりしてる事は、寝過ぎたわ…。
黒曜も白曜もジークもオウちゃんも居ないなんて…結構寂しいものね。
目をさませば、黒曜がとろける笑顔で私を眺めて居ると思ったのに…。いつの間にか、私は黒曜が居て当たり前だし、私の事を愛おしそうにしてくれてると思い込んでた…。
そんな事あり得ないのに。そもそも、スタートがハプニングキスからの婚姻。それなのに、何でこんなにも黒曜は私の事を愛おしそうにしてくれてると確信していたのか…。
黒曜は「私」を見て、「私」を愛してくれてると、何時から妄信していたのか…。
「私」は…
◇
「真琴起きたか?」
黒曜の優しい声が響く。深紅の瞳が私を捉え優しく弧を描く。
整った顔は喜びと愛おしさでとろけんばかり…。私と目が合うと、頬を薔薇色に染め上げ、照れを隠す様に笑みを深める。
「これで、愛されてないって言ったら、私どんだけ被害妄想の塊?」
やめやめ!ネガティブやめ!と叫ぶ私を、驚いた表情で見てくる黒曜。うん、突然叫んで奇行をする嫁はさぞかし驚くだろう。
「黒曜、私はどれ位寝てた?」
「創世神の社に来て数日は経っているな。珍しくあ奴も慌てておったぞ。嫁御が目を覚まさない!力で強制的に起こすか!?って」
クククッと可笑しそうに笑いながら黒曜が教えてくれる。
悪戯好きそうなその表情も、非常に好物です!
「あ奴は分かってないのだ、真琴は自分で考え、自分で立ち上がれる芯の強き人間だと。力もあるのに、ただニコニコ笑って、やり過ごす様な卑怯で弱い人間ではない。真琴は、弱い自分さえ受け入れて立ち向かう…我の愛すべき妻だと言う事を、あ奴も理解して欲しいものよ。」
一気に…、いや途中吃ったけど、黒曜が力説してくれた。
あぁ、この黒龍は、何も言わなくても私が戦ってた事を分かってくれてたのか。
地球に居たときから、私は「私」になる為に努力していた事を、何となくでも察してくれてたのか…。
察した上で、何も聞かず、何も言わず、私のやりたい様にやらせてくれてたのか。
この黒龍は、なんて優しいのだろう。
黒曜は、なんて素敵な夫なのだろう…。
「黒曜、私自分の気持ちに気が付いたわ。」
「ん?」
甘い甘いとろけんばかりの微笑みを、私に向ける黒曜。
こんなにも整った顔して、それなのに照れ屋で可愛くて、たまに凄く格好良くて、なにより、私を「私」にしてくれる最高の男。
「私、黒曜の事を多分、お金よりも愛してるわ。」
その時、神界が黄金に光り輝き、時が止まった…。
◇
「ねぇ、日下部 真琴…。黒龍の花嫁…。」
ん?またこの声…。あぁ、私を呼んだ…
「君は、もう気が付いてるんでしょ…?私が、もう壊れそうなのを…。」
知ってるよ。自我が生まれ、君は受け止めきれなくなったんでしょ?
「黒龍の花嫁、どうか私を………止めて…………」
分かってる。本当はもう消えたいのも知ってるよ…。君は、私を怒らせようと必死だったからね。
「……もう私は私を止められない…。呑まれてしまった………女神達の残留思念………生まれてしまう…魔王…」
あぁ、本当にあの3馬鹿は碌なことしないな…。
良いよ、止めてあげる。ついでに魔王も救ってあげる。
大丈夫だよ。黒曜達が、私にそう出来るだけの力をくれたから。
「黒龍の花嫁…、ありがとう…。」
良いって!気にしないで。私が忘れたくて必死に隠してたもんも見せてくれたけど、許してあげるよ。
その代わり、殺さないよ。消さないよ。
君も、私の愛する黒曜の大切な子供だ。
「……………ホント、黒龍の花嫁は…甘いね…」
甘いのは黒曜だよ。メイプルシロップより甘いよ!
私は、そんな黒曜の上澄みより甘くないよ!好きな様に生きてるだけ。それを許してくれる夫が居るからね!
「ふふ…、待ってる…崩壊だけは…止めるから………待ってる……」
あいよ!任せて!
ねぇ、世界良かったね。
呼んだの私で良かったね。
良かったね
私に気付いてくれた黒曜がいて。
良かったね
ハプニング結婚があって。
沢山の色々が、偶然だったのか、必然だったのかは分からないけど、結果最高よ?
私は、私の大切な宝物を守るわ。宝物が大切なモノも守るわ。
だからきっと、最高のハッピーエンドしか無いと思ってて良いわよ。
「私が、救うって決めたなら、既に救われてるのと一緒よ。だって、私は黒龍の花嫁よ?」
クライマックスに向けて競歩で突き進みます。
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