12.5
真琴より黒曜の方が常識人なんじゃないか?と思い始めました。
黒曜サイドの話です。
何故、こうなったんだろうな…初めはただ惹かれただけだったのに。世界の系譜に刻まれた時から様々な表情を知っていき、真琴をとことん甘やかし、我が居ないと生きていけない位…愛したいし愛されたいと思い始めてる…。
いや、本当に何故こうなった…。
だが、我は神だ。なのにも関わらず、ただ一人の人間を好ましく、そして愛しはじめる事により、世界を歪め始めているかもしれない…と、おもう。
そして、我は…我に関わる者により、3柱の女神を神界から奪うかもしれない…本当に。
いや、確かに3柱の女神達は、我のことを魔王と呼び、創世神から引き離す為に常にわーわーと姦しく騒いでたのは鬱陶しかったが…。それも、我と創世神が世界を一通り創り終え、ある程度管理神を据えた事で、隠居も出来るようになった。これ幸いと、終焉の地に塒を変え、隠居することで煩わしい女神達から離れられたと云うのに…。
なーんで、自ら消される様な事をするか…
我を怒らせれば、必然的に創世神も怒る。アレは我を自身の息子だと言い我を害する者が等しく嫌いだ…。アレは、我より荒神だぞ…。我が終焉の地に隠居する時も、我を迫害する女神達を消す!物理的に消す!と、飛び出そうとしたのを止めたのは我だと言うのに…。
そして、今は嫁が…嫁が…………
3柱の女神達には、是非とも逃げきってほしい。我は、神という同種の死は望んでいない…。本当に。
真琴は見た目からは信じられない程、的確に相手の弱点を突くのが上手い。
それは、この王都に来てから顕著だと思う。
自身が困る度に、相手の最善を見抜き、一番欲しいであろう言葉を紡ぐ。それは、今までの生活環境や、共感性などに元つく真琴が意識せず手に入れた能力なのだろう。
だが、魔王と呼ばれてるのは我で在ろう。と、報告した後の真琴は本当に怖かった…。
真琴は人間だが、我と結婚した事により、現人神へと俗に言う「じょぶちぇんじ」した。
現人神と言えども、我に連なる者だ…世界を消そうと思えば消せる…。そんな事は、真琴に言わないが…。否、言えない。
だって…怒った真琴は、創世神より恐ろしい…。
顔は微笑っているのに、目が目が…。
普通にしてても綺麗な真琴が、完全に魔王女みたいになっている…。
そんな真琴に、現人神情報を言えば確実に3柱の女神達を消す。この娘は物理的にも社会的にも消す…。本能が伝えてる…。
だが今も、物理的には無理でも社会的には抹殺する位の勢いで脳内しみゅれーしょんしている筈。だって。嬉しそうな顔し始めたからな…。
「お風呂行ってくるね〜!」
真琴は、粗方方針を固めたのだろう…。良い笑顔でさっぱりして来る!と湯浴みに向かった。
真琴が部屋を出て暫くすると、母君が部屋にやって来た。
「あら?黒曜ちゃんは真琴ちゃんとお風呂入らなかったの?」
「なっ!?母君何を!?」
「あらあらまぁまぁ、ふふふ。黒曜ちゃんは初いのねぇ。私ね、ずっと諦めてたのよ?娘を持つの。なのにね、真琴ちゃんと黒曜ちゃんが私の子になってくれて本当に嬉しいのよ?」
「母君…」
「だから、次は孫を抱きたいわ!!!真琴ちゃんと黒曜ちゃんの子供だもの!絶対可愛いわ!!!男の子でも女の子でも良いのよ?だからね、早く次はおばあちゃんにしてね?真琴ちゃんが、お母さんになったら聖母の如しねぇうふふ」
「は、母君…そ、その布団は…?」
「早く孫を抱かせてね!」
脱兎のごとく部屋を出て行った母君…。
彼女もまた、次元の狭間に迷い込んだ一人だ。此方の世界に来て100年以上一人でいた、心優しき女性。
我は心は読めぬが、真琴の事を好ましく感じ、真琴もまた彼女を大切に思っているのは分かる。
だが、この布団は些か刺激が…。隣り合わせの布団。
ココに真琴と我が…?あ…、鼻血出そう…。
我は、あまりの刺激に居間に移動し、足を抱え、鼻を押さえ、布団に背を向けた。
あの布団に真琴が包まれ、笑顔で…けれど少し不安そうに「黒曜…来て…?」何て言われたら…言われたら…!!!
白いシーツに真琴の艷やかな黒髪が広がり、白い肢体をほんのりピンクに…あっ!いかんいかん!!!鼻血が…!!!
「母君…我はまだ母君の期待には応えられぬ様だ…」
あまりの刺激と、自分の妄想に小さくなりながら震えてると、風呂上がりでほんのり頬をピンクに染め、胸元が見えそうな浴衣?というものを羽織…
もう嫌だ…真琴が我の自制心を試してる…泣けてきた…
震えてる我を笑いながら布団を離し、寝ようと促す真琴。
もう我は立てない…、四つん這いで布団に移動し、余りの恥ずかしさと戒めの為、頭まで布団を被り横になった。
どの世も女は強い…。我なんぞ勝てぬ…。
「真琴との子…」
ポソっと呟き想像したら、また恥ずかしくなり、朝まで起きたり寝たりを繰り返す事になった。
翌日から、純白な嫁がバーサーカーに成り果てる様を眺め、違う意味でまた涙目になるのだが、我はまだ知らない。
「やはり、真琴には敵わぬ…」
自分の心が真琴に染まっていってるのを感じ、真琴の一挙一動に反応しているのに驚いてる。
今まで、こんなに表情筋を動かした事があったか分からず、思わず破顔してしまう。
「あぁ、これが愛か…」
我は、心に灯る温かなモノに幸せを感じていた。
黒曜さん真琴にぞっこんラブになりつつあります。惚れた方が負けです。




