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お母さん尊い!マジで女神!と一人拝んでいると、黒曜にここに座れと、居間に呼ばれる。
懐かしのちゃぶ台に、備え付けの茶請けが眩しい…!本当に癒やし空間!今時の殺風景な部屋も嫌いじゃなかったけど、「私」は、こう云う部屋が好きだ!大好きだ!
っと、話ね。話。改まってする様な話って何かあったっけ?
「真琴、先程喫茶店で話した事だが、今大丈夫か?」
あぁ、魔王居ない説の説明ね!なる程、それは気になるわね。バチコイよ!
「勿論、何か知ってるなら教えて頂戴。」
黒曜が何か言いたそうにしたが、華麗にスルーする。
「魔王の事だが、我の事であろう。」
は?
は?
「え?だって黒曜はドラゴンだし、神様なんでしょ?え?ってか、付き従うような仲間居ないじゃない」
まぁ…とか、うっ…とか言ってるけど無視。
第一、こんなハプニングキスしただけで真っ赤になったり、嫁をひたすら蕩けそうな笑顔で見てる男が魔王だったら、私は覇者になるどころか笑い者よ!
「100歩譲って黒曜が魔王だとして、この世界を滅ぼす気は?」
「皆無だ。そもそも、この世界は3番目に創世神とあーでもない、こーでもない言いながら創ったからな。滅ぼすなら、新しく違う世界を作る方が有意義だ。」
まぁ、チートですもんね。滅ぼすならあんな所に閉じ篭もる前にやるわよね。
「なら、何で黒曜が魔王とか言われてるのよ。」
「この世界を統べる女神達は、我のことを魔王と呼んでいた。我が、創世神と様々な世界を創った事や、四六時中一緒に居た事に対する嫉妬であろう。煩わしくて、姦しくて、終焉の地でやり過ごす程度には我はウンザリしていた。」
あ~、いるいる。そう云う無駄に嫉妬して、自分が無能なのを棚に上げ、自分の力量を計れない馬鹿って何処にでも居るよね。
それが、神界ってか神にも居るって云うのが本当に残念だわ…。
ってか、その残念嫉妬女神達は、お母さんを見習った方がいい。本当に。
「で、どうするの?」
「どうもしない。だが、肝心の魔王が居なければ真琴は困るのであろう?」
「ん?別に?魔王が居なくても、迷惑な魔物は居るだろうし、それを倒しまくるとか、私は元々諜報部隊だから、この国にとっての宿敵とか居るなら、情報収集してベルツ様に売るとか色々あるし。ただ、然るべきタイミングで魔王は居ないよって云うのを伝えないといけないから…それは神託したバカ女神にやらせないとね。」
「た、逞しいな…」
文武両道なんて、乙女の嗜みだし…逞しくはないわ。そもそも、私はお金が稼げれば何でもいいしね。
「取り敢えず、今日は休んで、明日王都の外を探索してみましょう。本当に魔王復活でないなら、たいした魔物は居ないでしょ。」
「ふむ。真琴の好きな様にしろ」
◇
さーって、お母さんから此処には大浴場があるって聞いたし、お風呂でも入りますかね!
変な時間にパンケーキ食べたからお腹も空いてないし、ひとっ風呂浴びて、明日に備えますかね。
「うわーぉ!広々お風呂!」
ぶっちゃけ、こっちの世界の大浴場なんて銭湯くらいの大きさだろうと高を括ってた私を許してほしい。
全然そんなこと無い。シンプルだけど、凄い広々としてるし、何より清潔感がある。
桶も洗い場も完備されてるし、かなり拘って作ってあるのが伺える。
「風呂にうるさい日本人が、此処を建てたなら当然かぁ。素晴らしい!」
私以外にも何人か日本人が此方に来てると云うことは、日本とこの世界に何らかの力が行き交っているのか…。
もしくは、同一の神の仕業か…。きっと、力の発現条件は「死にかける」事だとは思うのよね。
ただ、日本人が居るのは分かったけど、なら他の国の地球人は?
日本限定なら、日本固有の神の慈悲なのかもしれないし…其処は気になるわね…。不本意ながら中々上位の神の嫁になったなら、キチンと把握して、お母さんみたいに悲しむ人を減らさなきゃ。
湯船に浸かりながら、寿命延長の事も考察するが、無難な所で死にかけた人間に対する慈悲。もしくは、重力の負荷的なもの。うーん…慈悲だろうなぁ。
「お風呂はそーんな難しい顔して入らないの。真琴ちゃんは真面目ねぇ」
背後から突然話しかけられて、思案の森から心臓コンニチハ!
「おっ!お母さん!!!ビックリしたよ!」
「あらあらまぁまぁ、私の娘はビックリしやすいのねぇ」
コロコロと楽しそうに笑うお母さん。うん、めっちゃ可愛い。
「今、何で私達日本人が、この世界に呼ばれるのか考えてたのよ。」
「うふふ、真琴ちゃんは真面目ねぇ。私なんか、諦めて生きて来たわよ…。」
お母さんが、横に入って話かけてきた。
目元は悲しげで、私まで悲しくなってしまった。
お母さんは、もう100年以上一人辛いとか悲しいとかを抱えて生きてきたのだ。その時間を思えば、何かしてあげたいと思うじゃないか。
「コレからは、私も黒曜もいるから!私達が、必ず幸せにしてあげる!」
「あらあらまぁまぁ、私は真琴ちゃんと黒曜ちゃんが私の子になってくれて、お母さんって呼んでくれるだけで本当に幸せなのよ?」
お母さんは、本当に幸せそうに微笑んでる。
も〜…私、この笑顔に弱いわ…。何でもしてあげたくなる。
「お母さん、私達明日から冒険者として活動するわ。暫くは此処を拠点にして、一月程したら旅に出る。必ず成果を上げて帰ってくるから。」
「あらあらまぁまぁ、寂しくなるわね。」
お母さんは、ニコニコしながら私の頭を撫でる。本当に優しい人だ。
「私達を謀ろうとした愚か者達に鉄槌を下す為にも、情報が命!頑張ってきます!」
お母さんの笑顔を守る為にね!
次回、冒険者活動本格始動です。




