ここで
「ケホッ!ケホッ! 無茶苦茶だ!」
瓦礫の中から身を乗り出しすロウ。
「フンッこんなもんは無茶でもなんでもねぇよ。 いい加減に慣れやがれ」
瓦礫はヴァルドレッドをを中心に、広がっていた。
彼女は魔物の体内で、なんの躊躇いもなく、フルパワーの出力でプルートを振るったのだ。
自身の状況も考えず、側にいるロウの事も厭わず。
半月状に描かれたプルートの剣線は、たちまち赤雷の巣と化し、周囲の全て灼き、壊し、吹き飛ばす。
だが、赤雷がロウに傷を負わせる事はない。
ヴァルドレッドが、器用にも枝分かれしながら走る赤雷の一つ一つを制御しているのだ。
まさに歴戦の騎士の御技である。
しかし、周囲に広がる衝撃波だけはどうする事もできず、結局ロウは巻き添えを喰らって、瓦礫の下敷きになってしまったのだ。
唯一、ガラス片や鉄屑などがあまり散らばっていない場所へ飛ばされたのが、僅かながらの幸運と言えるだろう。
「やれやれ、毎回生きてるのが奇跡だと思いますよ」
煤で汚れた衣服を手ではたきながら、ロウは愚痴をこぼす。
「………ふん。 まぁとにかく、これで一件落着だ。 早く別の宿を探すぞ」
持っていたプルートを腰の鞘へしまい、町の方面へと足を運ぶヴァルドレッド。
幸いにも、所持金は全て彼女の懐の中だ。
「部屋、空いてるといいんですけどねぇ」
とぼとぼと、先が思いやられると言いたげな顔をしながら、ロウは彼女について行く。




