表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
5/29

転生の間、門の前で。そして転生特典は。


しゅっしゅっ



「ようこそいらっしゃいました。ここは異世界をつなぐ、ゲートでございます。あなたは異世界転生に同意なされましたね。」



厳格な雰囲気で天使様が語る。



天使様は頭の上に輪っか、大きな翼が折りたたまれており、足首くらいまで長さがある。


髪は肩にかかる程度の長さで、顔立ちは中世的で、声を聞くまでは男か女か分からないという風だ。



ここは巨大で豪華な門の間だ。その前で俺は、それなりの地位であろう天使様の前に来ていた。


閉じている門は凱旋門を髣髴とさせる大きさだ。簡単に開きそうにない。


それ以外のものは何もなく、地平線の果てまで真っ白な空間。ザ・天界っという印象だ。


この真っ白な空間で、まるで後光のような光を受けている天使様は言葉を紡ぐ。




「あなたはこの先、危険な目にも会うでしょう。」





しゅっふっふっ・・・






天使様は高圧的にならないよう笑顔で語りかけてくる。


異世界転生しようとしている人は、緊張していたり、


自棄気味になっている場合もあるのだろうか。






俺もバイト時代に後輩の育成に苦労したのを思い出す。


30代でバイトしているというのは、学生バイトから見ると失笑ものだろう。


そこで舐められると、今後の指導に影響が出る。最初の業務連絡は、一番難しい。






「勇者に生まれるわけではありません。あなたが物語の主人公となれるかどうかは俺にもわかりません。そのことも理解していますでしょうでしょうか。」




その点、この天使様はかなりの話術が長けている。


長年、指導係を務めたのだろう。






ふっふっふっ・・・・・・!




「あなたの目的は徳を積むことです。異世界を満喫するのも結構ですが、人助けをするということを忘れないでください。」


最後の説明で転生者の気を引き締めてあげるなんて優しい人だ。





「あ、世界の危機を救うことができれば転生ポイント10000pです。まぁそういったことはめったにないでしょうけどね。」


天使様はこちらに顔を向けて微笑みかけた。


ちょっとお茶目なことを言って、場を和ます術も見事!



男にも女にも見える中性的な美人天使様の、とても穏やかな笑顔だった。




10代20代の学生が受けたら恋に落ちてしまっただろうか。


同姓の場合だったら性癖を歪められた危険性があっただろう。


まっ30代の俺には効きませんがね。








ふっふっふっ・・・!






「・・・・・・」







ふっふっ・・・!






「50っ!」ふっふっ・・・!






「・・・・・・・あのーーー」


天使様は申し訳なさそうな顔で、しかしながら笑顔を崩さず、おずおずと声をかけてきた。





「はい?」ふっふっ・・・!




「何なさってるんですか?」












ふっふっ!「スクワットです!ふっ! 天界にはないのですか?」ふっっ・・・!


天使はスクワットしないのかもしれない。ひょっとしたら腕立て伏せもないのだろうか?













天使様は困ったような笑顔で


「いやありますけど・・・何で今、やっていらっしゃるんでしょうか・・・?」


と質問を返してきた。








「ら・・・・・」ふっふっ!


「ら?」


天使様は聞き返してきたので、元気に答える。
















「乱数調整ですっ!」ふっふっ!



















女神様に貯めたポイントでもらったものはそれは、


・天界製スキルガチャチケット×2枚


それと助言。


『転生の門の前でー、スクワット100回してから引いてくださいぃー♪』







「はぁはぁはぁ・・・!」ふっ!ふっ!




「あなた、そんなの信じたんですか・・・」


ついに、天使様は笑顔じゃなく、本当に困ったといった顔になった。








スキルを調整して俺が手に入れたポイントは[1390p]だ。


1枚300pのガチャチケット2枚で、


残り790p。




それで俺が手に入れたのは、


《運命神ミラ様の祝福》(3/5)である。




祝福を得るのに550p


そのスキルレベルを80p、160pと振って、3まであげたのだ。




スキルレベルは信仰によってあげるそうのだが、ポイントを振ることによってもあがる。


本来なら数十年間、折り続けたことによる祝福をすでに手に入れることができたのだ。






運命の!


女神様の!!


祝福だぞ!!?


それもレベル3の!!!






そんなん!ガチャでいいもん引けるに!決まってるやん!!!!!



そう女神様はおっしゃったのだ!努力を怠るなと!



スクワット100回出来ない奴が!異世界で成功するわけないやん!!



何で関西弁になってんねん俺!!







「そうですか・・・」





「100っ!!はぁはぁ・・・よし、引くぞおおおお!」


まずは手を合わせて祈りのポーズ。目を瞑る。





「1つだけ。よろしいでしょうか?」


「何でしょうか?今ガチャを引くのに集中しているんです・・・」




天使様はおずおずと語る。


「女神様の信仰値ってノルマがあるんですよ。それが溜まると、しばらく働かなくてよくなります」





「うんうん・・・うん・・・?」


精神統一している俺は聞き流していたが、ふと何かが引っかかり、目を開ける。









「ミラ様は先ほど長期休暇の申請を出しに行かれまして」













「・・・・・・ほーん」


あれ、転生ポイント騙し取られた?






評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ