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異世界転生推奨キャンペーン中。

俺は部屋に入ってきた女神に驚きで硬直していた。




地面に付くかと思うほどの長い金糸のような金髪。軽くウェーブをかけた髪形で、微発光しているんじゃないか?なんて神々しいんだ。


長いまつげに、こちらのすべてを見通すかのような、深い金色をした眼。



背も高く、すらっと伸びた足に目が奪われる。


あぁ座ってしまうと足が見えない!




すばらしいボディに目が釘付けになっていたが、はっと正気を取り戻し、


もう遅いかもしれないが、営業スマイルを発動。




女神も笑顔で答えてくれた。そしてうれしそうに話し始めた。


管理者ということで、あまり受付までは出てこないのではなかろうか、純粋に会話がしたいという雰囲気をまとっていた。





そういえば。バイト中にも居たなー、永遠に会話が止まらないお客様。


マシンガントークをあしらうコツは、ちゃんと話を聞いてあげることだ。


曖昧な返事は逆に相手の気分を高めてしまい、悪化して止まらなくなる場合がある。


しっかりと内容を理解した返事を返してあげて、たまに自分のエピソードを合いの手で挟んでやるとより効果的だ。


話を聞く側にもなってもらうことで、相手の気持ちも想像してもらう。

それで、あぁ迷惑かなっと罪悪感を多少与えれれば、話は途切れるのだ。


ただ、逆効果の場合もあるので注意だ!



なお、今回は俺自身に深く関係があるので、軽くあしらうのではなく、真剣に聞き出していきたい。





「異世界転生を推奨、ですか」


「はーい♪」


と、とてもうれしそうに返事をしてくれた。





女神の説明によると、



現代の日本では徳を積むことが難しい。


そりゃそうだろう。


まず、日本で犯罪は起こっても、個人で解決に挑むのは間違いである。


逃げるか、警察を呼ぶのが正解だ。




なお、職業として人助けでは、使命感やありがたさなんかが損なわれてしまい、うまく徳のポイントがたまらない。


さらに押し付けがましい人助けは、相手の感謝の気持ちが陰ってしまい、


感謝を受けない助けは、偽善となり、それは徳とカウントされない。だそうだ。



「なるほど、徳を積むのは難しそうですね」


「でも0ポイントは相当ですわぁー♪」


「うぐっ」


女神の直球な言葉に地味に傷つきつつ、俺は笑顔は崩さない。




徳の積む人間が少ないので、


次第に、日本の輪廻転生の定数が減ってしまい。


人類の急速な少子化が起こり、果ては人類は滅亡になるという。



そこで、神々が出した解決策が、異世界転生なのだとか。



個人の力量で、犯罪に立ち向かう必要がある異世界に元地球人を送り込んで、


徳を積んできてもらい、再度、転生しなおして地球の輪廻転生に戻るという計画。




不安定で、犯罪が蔓延している異世界、さらには剣と魔法があり、魔物がいる。


確かにそんな世界ならば俺も否応なく生き残るために、隣人を救うために人助けを行うだろう。と思う。たぶん。





ただし、向こうで一定以上の徳を積むことができなければ。再度日本に転生することができずに、


異世界の輪廻に巻き込まれることになる。らしい。




なお、異世界転生の条件とは


・徳がマイナスではない。


・徳を1500以上ではない。(1500以上は天国行き確定らしい)


・転生を望んでおり、異世界に興味がある。


・異世界で生きていく才能がいくらかある。


・このままでは、来世か再来世で人間ではなくなってしまう人間。



とのことだ。



俺はギリギリ条件に当てはまったようだ。







「しかしー、困りましたわぁ♪」


女神は鼻にかかる声で、さらに、語尾を延ばすという口調で、俺に語りかけてきた。


普段、そんな言い方をしてくるヤツがいたらムカッとするだろうが、しかし、女神は美声であった。


むしろ、もっと聞いていたくなり、女神の話に耳を傾けた。



「0ポイントではぁ、スキルが手に入れられなくー、すぐ運命に殺されてしまうわ♪」


「なるほど、難題ということで対応に女神様が来てくださったのですね」


「いえー、ジャスト0なんて面白そうだから、変わってあげただけですの♪」


面白そうだからって・・・


「ほんの少しでも徳を積めば1ポイントはあるはずなんですけどぉ、奇跡的な打ち消し合い。針の上に立つバ

ランスって感じですね♪」


(褒められてるのか、貶されているのか判断に悩む。)


「まぁわたくしなら対処できるかもしれないぃ、とは思いましたが」


なんと!


「それはありがとうございます!早速相談に乗っていただけますか!」


「そうね~♪おねえさんにまかせなさーい!」


女神さまは頼られたことで、ご機嫌な表情になり、得意げにその豊満な、おっ・・・胸を張った。





こういうとき『おねえさんじゃないだろ』っと考える人間はまだまだ若い。


38才にもなると、お姉ちゃんボーダーはそれは無限大に広がっている。


年上であればお姉さんは当たり前。年下だろうがお姉さんになりうるのだ!


たとえ、12歳でも、50超えた当たりでも容姿が整えば、許容範囲なのだ!






女神様は、容姿も女神様なのである。


つまり美人だ!




身に着けた白い衣にも負けないような、透き通る肌に、


理想的なボディバランスに限界ギリギリで収る、大きな胸。すごい!


くびれは内臓本当に入ってるのって思うくらい細い!


お尻はここからは見えないが、きっとそこも女神様なのだろう!


くうぅっ!!



それに、女神様なんだぞ!人間ではないのだ!実年齢なんて、気にする必要がどこにあるというのだ!!



俺はポッっと頬を赤らめて、女神様に期待のまなざしを向けた。




女神様はニコニコと暖かい目線を向けてくる。


その視線に一瞬、背筋が震えた。


それは、美しさのあまりなのか、不吉な予感なのか。




あ、もしかして神様特有の《心の声が聞こえる》系のスキルとか、そういうの・・・お持ちではありません・・・よね?




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