水を得た転生者。魔法無双、夢想。
夏と思わしき、気温の高さのおかげで、服を脱いでも大丈夫だ。やっと鼻で息ができる。
服を雑巾のように絞り、水分をある程度取り除くことに成功した。
臭いが気になり、もう一度、水のポーションを発動して、水洗いした。
うぉ、MPがだいぶ減ったせいか、体が重くなった感覚に襲われた。
しかし《疲労耐性》によって無視して体を動かせる。
それにこれ、水球の大きさ調節できないんだな・・・
飲み水に用に、もう一度発動したかったけど、仕方ないな。
体をぬぐい、もう一度絞って、服を着た。
不快感が高いが、しょうがない。
臭いも無くなったわけではないが、ある程度ましにはなった。
これ、悪臭耐性みたいなの手に入らないということは、前世で経験がなかったってことだよな。
《凝り固まった現代経験》のデメリットで、新しい経験でスキルは芽生えない。
つまり今世で、今後どれだけがんばっても悪臭耐性はつかないということか・・・はぁ
《スラム育ち》の称号がこんなにも頼もしく感じるなんて。
ほかの転生者ではまず、ありえないだろう。
ゴブリンが走り去った方向と別の方向に、開けた場所が見えたので、そちらに進んだ。
そこで太陽が傾き始めていることが始めて分かった。あと1時間もすれば日暮れだ。
森の夜は、夜行性の獣が跋扈していると考えたほうがいい。
夜を歩くわけにはいかない。先に寝床を探したほうがいい。
最悪水分は取れるのだから、食べ物が見つからなくても大丈夫だ。
今日は走り回って、スタミナを使いすぎた。散策は明日に回してもいいだろう。
俺は《隠密行動》と《忍び足》を発動して、一夜を明かせそうな場所を探した。
結果。俺は木の上にいる。
日が暮れて周りが暗くなって焦っている中、何とか時間をかかったが、
大ぶりの枝にまたがることに成功したあたりで、力尽きた。
木に垂れ下がったぼろ布に擬態して、隠密行動で気配を殺す。
前世で、習慣的に木に上った経験なんてあるはずもなく、スキルは手に入らなかった。
ステータスはほのかに発光しており、光源となった。虫が集まってこないんだがこの森には虫がいないんだろうか。
ステータスを眺めていると、MPが自然回復することに気がついた。
MP:26/50
となっていたところ、およそ10分で1回復した。回復量少なくない?
およそ500分、8時間で全快、と考えるとまぁ普通か。
うーんほかの冒険者もこの程度の回復なのか?最大MP参照の可能性が高いな・・・
となると俺は一生このMP回復量なのか・・・?
たまったMPを、腕を枝の外に突き出して「水ポーション」を発動した。30cmの水球が生まれる。
それを両手をお椀のようにして汲みうけ、袖を大いに濡らしたが、
飲み水として飲んだ。常温の水だ、しかし、うまい。
ぷはぁ!
のどが潤った。生きてる実感がした。
手のお椀で受けられる水の量は少ない。大半は木下に捨てられた。
もっと飲みたいけど、そうするとMP回復が追いつかない。水を受けるものが欲しい。。
それにMPは別に使いたいものがある。
「汚水ポーション」と腕を目いっぱい伸ばして発動した。
汚水は木の上から地面にたたきつけられ飛沫を上げた。
あたりに悪臭が広がる。
獣の魔物がいた場合、俺が上れた程度の高さの、木の上が安全かは正直怪しい。
木の上で生活する動物も前世でいた。
そういった生き物を避けるために、臭いを撒き散らした。
その結果。
うげえええええええ
悪臭により俺の睡眠は失われた。
ほっと一息つけたことは事実。
俺はステータスをにらめつけた。
《ポーション生成》
・水:消費MP10 熟練度3/10
・汚水:消費MP10 熟練度3/10
一度使うごとに熟練度が1されるらしい。あと7回ずつで熟練度がたまる。
そうすることで次のポーションが開放されるのだろうか。
そのとき、
(《魔法知識》lv4を手に入れました。)
とアナウンス
おぉ、異世界小説オタクしていたおかげだ。この知識はうれしい。
前世の知識が役に立つのは、前世が無駄ではないことを証明されるようでうれしい。
効果は、魔法の熟練度に2倍ボーナスがつく。
よし、ポーション生成は、これで4回ずつになるな。
さらに、この世界での知識が頭の中に流れ込んでくる。
あぁこのパターンの魔法基礎なんだな。実験せずに把握できたのはうれしい。
魔法とは
火・水・風・地・光・闇・無と属性が分かれている。
それぞれに生まれつき、得手不得手があり、得意以外の属性は、著しく覚えが悪くなる
無属性はまず使えない人はいない。3種以上使えれば優秀、4種で天才。
異世界転移・転生者は全属性適正があるらしい。
はは、俺は新しい魔法が覚えられないんですけどね。
憶測だが、水の中に氷、風の中に雷が内包されていそうだ。
色々、思案と知識の反芻をしていると、
(《徹夜耐性》lv3を手に入れました。)
眠気がなくなったように感じ、集中力が増す。ありがたい。
前世も人並みに徹夜はしていた。その回数が10倍になったと思うと人知を絶する回数だぞ。
それでlv3か。5になるためには、数百の数の徹夜をしないといけないのでは?
(《暗闇慣れ》lv4を手に入れました。)
コンビニは夜勤が多いものでね。これも高レベルで頂いた。
暗闇時、視力強化、聴力強化、と非常に助かるスキルだ。
夜が明けるまでの時間は、周囲の観察や、水分補給、今後の計画を立てている間に過ぎ去った。