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少年は大航海へ旅立たない

少年は大航海に旅立たない -4.95-


船の上で少年少女がにらみ合っている。


すると、遠くから聞き覚えのない重低音がすることに少年が気づいた。


「カナエさん、何か聞こえない?」


「何かって何よ。」


「なんか、”ぼぼぼぼー”みたいな」


「え、どうかしら……」


二人で黙り込んでいると、重低音はどんどんと音を増していった。


「あ!聞こえた!聞こえたわよ!」


「……一体何の音なんだろう……」


タクヤは後方を双眼鏡で覗いた。


「あっあんた、いいもん持ってるのね。それ、ちょっと貸してよ」


「やだよ。父さんから貰った大事なものなんだ。貸す訳にはいかない」


「何よ、ケチね」


タクヤが小さくなった住んでいた町を背景に黒い物体が水しぶきを上げながら、こちらへ向かってきているのを目撃した。


それはカナエのマネージャーで間違いなかった。


「うわぁ、あのバイク水の上を走れるのかよ」


タクヤが双眼鏡を目から離すと、カナエが右手を口元に当てて、不安げな表情を浮かべている。


カナエは救いを求めるようにタクヤへ視線を送った。


タクヤは何とかしてやりたい気ではあったが、バイクの速度を考えると取れる策は思いつかなかった。


「うーん、無理だろうね。絶対追いつかれちゃうよ」


「何とかしなさいよ!」


「……うーん、何とかって言われてもなぁ……」


どんどん迫って来るバイクにカナエの焦りは目に見えてひどくなっている。


タクヤは何とか頭を捻らせた。


「……追いつかれるのは確定だ。ここで出来ることは、”カナエさんがこの船に乗っていない”と見せかけるぐらいかな…….」


「できるの、そんなこと?」


「出来るかは分からないけど、やれるだけやってみることにしよう」







少年は大航海に旅立たない -4.95- -終-

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