シャドーハウス
思ったよりしっかりした面白さだと思う。なろうのタイプとは全く違う。むしろなろうの方が特殊。観客型と自己投影。これ本当にわかりやすい。どういう違いがあるか?と言うと、ホラーの扱いがものすごく難しい。本当に命の危機を感じる恐怖体験をしたいか?と言うと多分大半の人はしたくない。
どうやって命の危機を感じずにそれに近い恐怖を味わうか?その辺りホラーの心理ってかなり難しいと思う。
この作品そこが無関係じゃない。ホラー、サスペンス、ミステリーが一番近い面白さだと思う。こてこてのゴシックホラーの典型のような世界観。すぐにエドガーアランポーの世界や欧州の同時代の世界観に近いなと感じた。特にファンタジーと現実が交じり合うポーの世界観はものすごく似てる。
単純な探偵ものとかじゃないからかなり奇妙に見えるけど、こてこてすぎないって意味では意外と王道の物語作りだと思う。最初はただの変人一族。あれに似てるかと、アダムスファミリー。だがどうも人形の扱いがかなりエグイ。この存在良くわからない。人形扱いされてる人間なのか?それとも人間に限りなく近い人造生物なのか?
そこが良く分からないけど、とりあえず飯を食ってケガもする。本当にこれ人造のものなんだろうか?って疑問に思ってくる。はっきりいってこれが人なら人権無視過ぎる。そこがなんとも気持ち悪い部分。ファンタジーならホムンクルスって存在とよく似てると思う。この気持ち悪さ谷崎純一郎の春琴抄を思い出す。ただしエミリコ達だけど。
気持ち悪さを持った一族の秘密って部分の開示する展開の流れがうますぎる。これは本当に見事。