リヴィジョンズ
谷口監督は癖があると思う。映画の研究をたぶんしてる。ただここまで顕著じゃなかった。何故この作品だと気になるのか?
妙にこの作品忙しい。落ち着いて見れない。ある意味悪いに突っ込むほどのギリギリで創ってるからすぐに気がつく。例えば群像劇で視点をころころ変えて登場人物の中心を絞らせないのはかなり悪い創り方になる。何故主人公がいるのか?で脳の処理と合ってるからだ。必ずしも群像劇が悪いわけじゃないが、シンプルに見れないのは確か。
この作品は群像劇じゃない。場面展開が速すぎるんだ。それで群像劇の悪い作り方のようになってる面があるが、それが悪いとならない。良い意味で受け手の思考力を奪う。何度も書いてるが、頭をあまり使わない物語こそ多数派に受ける部分になる。何度も書いてるが大衆が馬鹿だからとかそういう幼稚な話じゃない。多くの大衆はそれぞれに専門の仕事を分業で持っていて、それ以外となるととたんに子供の様な思考力になる部分がある。
娯楽と言うのは大体そういった部分に入ってくる。それが違うのがマニアックな趣味になるわけだ。これらは馬鹿なのではない、高度に分業化された社会構造によるものが大きい。
ちょうど適度なぐらいで上手く思考力を奪うスピードで展開していくので、妙に心地良いリズムになる。
こういったつくりが何故映画研究か?と言うとスピルバーグの初期の作り方がまさにこれだからになる。激突って映画がそのスタートなのだが、あれストーリーって呼べるものがかなり適当。スリリングなトラックの追いかけられる恐怖を連続させる事で展開させていく。最後その正体すら分からない。あれこれ何か?に似てない?そうJAWASとそっくりなんだ。
あれは、最初主人公の警察官が信じてもらえないって事から事件が起こったらがらっと変わるざまぁって王道のストーリーはある。だがそれ意外は大体激突の展開と同じだ。そんなに考えなくても退屈させない。それだけで面白いと言う結果を導き出せる。大事なのは、どうこうという理屈の面白さじゃない。面白いって体験時間がそこにあれば良い。
だからこそ、頭をあまり使わない物語ってのは、いざ評価するときになるとその価値を簡単には言語化できないんだ。