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カンティニ編4




 部屋でしばらく待っているとギルドマスターと思わしき人物が出てきた。


 少しだけ、驚いた。


 そのギルドマスターは女だったのだ。



 今までギルドマスターは男しか見たことがなかった。しかしそれは致し方ない事であると言える。


 男と女では体の構造上大半は男の方が身体能力は勝る。


 ギルド全体を束ねるギルドマスターは基本的に戦闘能力や功績によって選ばれるため男性が選ばれることが殆どなのだ。



「君がフリージアくんか。私はここのギルドマスター。ニムルだ。気軽にニムルと呼んでくれ。」



 ニムルと名乗る銀色のポニーテールとエルフ特有の尖った耳が特徴的な女。


 反射的に鑑定を使う



-----------

名前:ニムル

種族:エルフ

Lv28

体力:5000/5000

魔力:1000/1000

物攻:3800

物防:2000

魔攻:1200

速度:1500

精神:1000

スキル

魔法:風魔法Lv3

武術:射撃Lv5

   短刀術Lv3

格闘術Lv4

特殊:気配察知Lv5

   看破Lv3

エクストラスキル

統率者

称号

ギルドマスター 弓の達人 脳筋

-----------



統率者:SR

集団を統率する立場にいる時、その集団全体に物防・精神が上昇(小)

また、集団全体の士気が上がりやすくなる。



ギルドマスター...カンティニのギルドマスターに任命された者

特典:精神に+100


弓の達人...弓の扱いが達人級に達した者

特典:弓を射る時に標準に微調整


脳筋…全ての物事の解決に決闘を絡める者

特典:物攻+300



 おお、中々強いな。

 俺のステータスと比べると弱く見えるがBランク中盤程の実力は持っているだろ。


 ステータスはギルドマスターに選ばれる程じゃないので他の分野で多大な貢献をしたか、余程下のヤツらをまとめる能力が秀でているかだな。


 エクストラスキルを見る限りは後者のようだが。



〈脳筋……〉



 時雨が敢えて俺が触れていなかった称号に口をだした。

 まあ、なんだ。特典は強いんだけどな…。


 スカビオサが他人のステータスを勝手に見るのはマナー違反だと言っていた意味がわかった気がする。

 普段の振る舞いというか性格がモロバレだわ。



「じろじろ見てどうしたんだ?」



「ああ、いやなにも。」



「?まあいい。

 ところで、君が持ってきた魔物って言うのはこれのことか。」



 そう言ってマッドアイタイガーに目をやる。



「な!!ふ、フリージアくん。これは一体どこで?」



「ここから1時間ほど歩いた所にいたぞ?」



「そ、そうか……」



 そう言ってニムルは何かを考え始めた。



「と、取り敢えず換金の件なんだが……

 白銀貨20枚と金貨70枚でもいいだろうか?」



「は?」



 白銀貨20に金貨70だって??



「いや、そうだな。少なすぎる。

 済まないが白銀貨30枚で手を打って欲しい。」



「いやいやいや。多すぎるだろ!?

 Aランクつってもたかがマッドアイタイガーだぞ?せいぜい白銀貨3枚程度だろ!」



 白銀貨30って3000万リンだぞ??!


〈フロー…リンってさ、1リン1円ぐらいだよね……?〉


 そうだ。だから地球で言ったら3000万円だ!


〈えええええぇぇぇぇ!!たった1匹で3000万円?!高すぎるよ!〉



「白銀貨3枚だなんてとんでもない!!

 それに今のは私の聞き間違いかい?!マッドアイタイガーだって…!Sランクで伝説と呼ばれている化け物じゃないか!!」



 そう叫んでニムルはマッドアイタイガーの死体に駆け寄り調べ始めた。



「…確かに至る所に目がある。てっきりAランクのマッドネスタイガーかと思っていたが…


 フリージアくん!白銀貨30なんて言って申し訳なかった!白銀貨80枚を渡そう!

 済まない。これでも足りない位なんだがこれ以上は直ぐに用意出来なくてね……」



 おいいい!なんか上がっちまったぞ!


〈フロー!どうするの!貰っちゃっていいのこれ?!〉



「いや、だが。」



「いいかい!もし君がこの魔物を倒してくれなければ尋常ではない被害が出ていたのは目に見えているんだよ!

 ここで貰ってくれないとギルドマスターの名が廃る!どうか受け取ってくれ!!」



 物凄い勢いで白銀貨80枚が入った袋を渡される。



「それに私からランクアップの推薦状を書いておこう!マリーくん彼は今何ランクなんだい?」



 マリーと言うらしい呆然としていた先程の受付嬢が狼狽えながら答える。



「え、あ。Fランクです」



「Fランク?!それは本当かい?」



「は、はい。フリージアさんは先程登録したばかりですので。」



「ダメだよ!Fランクだなんて!

 よし!じゃあ今からAランクにしよう!」



 …時雨。不味いぞこいつ。大金どころかAランクにするとか言い出してるぞ。


〈登録初日にAランクなんてなったら目立つ所の話じゃないよー!〉



「に、ニムルさん。決まりで3ランク以上の飛び級は出来ないですよ!」



「む、そうか…。」


 ニムルは心底残念そうな顔で振り向いた。


 フリージアくん。誠に申し訳ないがCランクまでしか上げれないようだ。」



 おし!ナイス受付嬢!初日Aランクは避けられたぜ!


〈Cランクでも十分目立つと思うけどなぁ〉




 その後、わちゃわちゃしながらもやっと開放されたのだった。







――――――――――――――――



 現在ギルド掲示板前。


 収納した白銀貨80枚と銅のギルドカード。

 これもうギルドに行く意味なくね?資金調達完了したぞ。



 そう思っていると、ギルドの扉がバンッと勢いよく開いた。


 俺を含むギルド内の何人かが目を向けると息切れしたアベルとアリンが立っていた。



「あー!見つけたぜアリン!」


「ほんとっち!やっと見つけたったよーー!!」



 そう言ってダッシュで俺の方によってくる。



「おいおい走るなって。」



「だって気付いたら門から消えてたからすっげえ探したんだぜ?」


「置いていくなんてひどいっちよ!!

 門番に聞いたら10分ほど前に行かれましたよ?って言われて焦ったっち!」



 あれから10分もやってたのかよ。


〈喧嘩するほど仲がいいってことだねー。〉




「おい、あれって[鬼のアベル]と[風魔のアリン]じやねぇか?」


「本物だ。なんであんな新人と仲良くしてんだ?」



 アリンとアベルの登場に周囲がザワつく。どうやらかなりの有名人のようだ。

 …これ以上騒ぎになるのは嫌だな。ちゃっちゃと話を流して外に出よう。



「それはまあ悪かったよ。にしてもお前ら結構知られてるんだな」



「鬼のアベルなんて周りが勝手に付けただけなんだけどな。

 Bランクまで達してるやつが少ないからこういう二つ名みたいなのは勝手についちまうんだよ。」



「風魔女ってあんまり可愛くないっち。ニムルンみたいにAランクになってもっと可愛い二つ名が欲しいっち。」



 どうやら本人達はあんまり乗り気ではないようだ。

 というか、ニムルってAランクだったのか?あれで?



〈知将時雨……〉



 ん?なんか言ったか?



〈なっなんでもないよー!それよりニムルってAランクだったんだねー。

 やっぱりこの世界全体的な戦闘レベルが低いみたいだよー!〉



 そのようだな。



「取り敢えずギルドから出るぞ」


「あ、じゃあ近くの広場で一段落つくっち!」




―――――――――――――――――




「……てなふうに、さっき俺が倒したマッドアイタイガーなんだがギルドで換金しようとしたら騒がれた」



「やっぱあれってマッドアイタイガーだったのか……そりゃあ騒ぎになるに決まってるぜ。

 逆にその程度の騒ぎで済んだのが驚きだ。」



「マッドアイタイガーっていったら伝説の魔物っちよね。確かSランクだったっち。白銀貨80枚も納得っちねー。」



 やはり認識がズレている。



「ちなみにマッドネスタイガーは何ランクなんだ?」



「あれはAランクだな。もし俺達が襲われていたのがマッドネスタイガーでもあの時死んでた気がするぜ。」



「マッドネスタイガーもBよりのAランクだけど、それでも十分な被害を出すようなやつっちからねー」



「てか、フリージアって本当にそこら辺の知識ねぇのな。本当に田舎から来たんだな。」



「魔物百科辞典はお古でいいなら上げるっちよ?」



「助かる。

 ところで2人はこれからどうするんだ?」



「そうだなぁー。なんっも考えてねぇわ!」



 ワハハと能天気に笑うアベルを呆れ顔でいていたアリンは少し真面目な顔で話す。



「私はしばらく休んでからダンジョンに潜ろうと思うっち!」



 …ダンジョンか。



 ダンジョン。それはある日突然出現した塔型の建物のこと。

 中には魔物が徘徊しておりそれぞれの階に火山地帯や森林、水辺など様々な空間が広がっている。



 ダンジョンの内と外で決定的に違うのはダンジョンの中には生態系が存在しないこと。

 ダンジョン内の魔物は進んで捕食活動をすることは無い。

 さらに、一度倒した魔物は一定時間経つと生き返る。これをリスポーンと読んでいる。


 しかし、倒せばその体は消えるがダンジョンの外の魔物からはぎ取れる物と同じ素材を落とす。


 そのため解体という時間のかかる工程を省くことができる。なので冒険者がこぞって挑戦しに行くのだ。



………とスカビオサの記憶にある。




「ダンジョンかー。久々に行ってないし俺も行くか!」


「ついて来るっちか?」


「だめか?」


「べ、別にダメとは言ってないっち!」


「おー!やったぜ!フリージアもどうだ?」



 尋ねるアベルの後ろからの視線が痛い。…アリンが何かを訴えるような目でこちらを見ている。


 あいつはこの状況で俺について行くと言う選択肢を選ぶと思うのか?



〈これが巷で噂の鈍☆感ってやつだね!

 アリン頑張ってー!〉



「……いや、俺は取り敢えず宿を探すとするよ。他にもやることがあるしな。」



「了解っち!じゃあパパっと魔物辞典とって来るっち。」




 そう言って僅か3分で帰ってきたアリンから辞典を受けとり、その場でペラペラと捲りながら時雨と今後について話していた。



〈まだ全然時間はあるんだし、僕達もダンジョンに行ってみようよ!フローも行ったことないんだし!〉



 そう、実は俺はダンジョンというものに挑んだことがない。と言うよりそもそもスカビオサの記憶で初めてダンジョンの存在を知った。



〈フローの記憶からかなり食い違いがあるよね。ちょっとした変化どころじゃないくらい。〉



 ああ、このままじゃまた知らず知らずのうちに目立ってしまうかもしれない。



〈だったらいっその事、いくら目立っても問題ないような格好になればいいんだよ!〉



 ……目立っても問題ない格好?



〈そう!まあ僕に任せといてよ!

 じゃあまずは服屋さんにゴー!〉





2つ名について


2つ名はランクBから付けられるようになります。

そしてAランク、Sランクとランクが1つ上がっていく事に別の2つ名に変わります。


ちなみに2つ名を付けているのはギルドマスターとそのギルドがある国の重要人物が集まって決めています。.........暇そうですね。

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