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あー、駄女神様・・・。  作者: 陸海 空
6/17

エピソード 出逢いから

今回は女神様とユリウス(ユウ)の出逢いからの一生迄です。


※投稿後に気付きました、R15指定にしてありましたが

今回の内容に戦争の話があります、後れ馳せながら

苦手な方がいましたらすいません。

m(._.)m


※2/8 改稿しました

『アクユリナに仕事をお願いしたいのだけど、』

 ヘルメース神がアクユリナ(この頃はまだ眷属でも、聖霊から神への試練の途中です)を呼び出し

『本来私の管理しているのは河ですが、少し気になる場所があって。

 そこの湖畔を少しの間お願いします。

 何かあったら、すぐ知らせてくれれば対処に向かうので。』

 この頃のアクユリナは、まだ自信もなく弱気だったので小声で『はい』と言い、その湖の湖畔に向かった。


 そこには名も無い少年が、木の陰から湖の上に浮かぶアクユリナを見ている。


『あなたが落としたのは、この金の斧ですか?それとも銀の斧ですか?

 違うというのですか?それではこのてちのおにょ・・、かんじゃった・・・、はぁ。』

 どうやらアクユリナは練習中らしい・しかも人見知りっぽい。

 それを見ていた少年はそーっと近づくとアクユリナ様の見えない方からわざと転び、持っていたナタを湖の中へとす。

 アクユリナ様は慌ててそちらの方に現れ、


『大丈夫ですか少年?・・・、はっ!』

 どうやら少年は、アクユリナのドストライクな顔立ちだった。

『だ・だいじょぶそうですね、あぁ少し顔が汚れてしまって、今お顔を綺麗にして差し上げましょう。

 はい、これで良いですわ。』

 アクユリナが少年にいそいそと尽くすと少年は、

「綺麗にしていただいてありがとうございます女神様、ところで私が転んだ時に落としてしまった鉈をご存知ありませんか?」

『わかります、あなたが落としたのはこの金の斧ですか?それとも銀の斧ですか?』

「いいえ違います。」

『ではこちらの鉄の斧ですね?正直なあなたにはこちらの鉄の斧に金銀の斧も差し上げま?す・・・??』

 アクユリナ気づく!これは斧ではない、鉈だ!!思わず顔が赤くなる。

「女神様、これは鉈ではありますが・・・、最後まで噛まずに言えましたね。」

 アクユリナは気付く、この少年はきっと先程噛んでしまった自分を知ってわざと転んでこの様な真似をしたと。

 恥ずかしさと騙された感と切なさでアクユリナは激オコだった、少年をニラんだアクユリナ。

 だが、少年のあちこちの体の転んだ擦り傷や傷から出た血を見て、何故か憎めなくなってしまった。

『何故こんな事をしたのです、自分の体を傷付けてまで?』

「女神様がこの様な処で何かなさってましたので、こんな私でもお役に立てればと。」

 少年の言葉に、アクユリナは嬉しくなってしまった。

 普段あまり神様や他の眷属、精霊や人等と話す機会もないボッチだった為、こういう事に免疫がなかった。


『私はまだ女神様ではありません、今修行中です。』

 少年にそう言い、

『ですので私の事は、アクユリナと呼んでください。』

 と顔を赤くして言った。

「アクユリナ様ですね!わかりました、お名前を教えていただいて嬉しいです。」

 本当に嬉しそうな顔にアクユリナは少年に名前を訊ねた。

「僕には名前がありません、両親もいませんし名前を付けてくれる人も傍に居ませんでした。」

『もし宜しければ、私があなたの名前を付けましょうか?』

「アクユリナ様に付けていただけるのですか?有難う御座います。」

 少年は喜んだ!もの凄く喜んだ!!少年にとってアクユリナ様は初恋だった。

 その様な方に名前をいただけるなんて。

『では私の名前から2文字使って、ユリウスはどうでしょう?』

 「ユリウス!有難う御座いますアクユリナ様!!ユリウス・ユリウス。」

『私はあなたをユリウスと呼びますので、私の事もアクユリナと呼び捨てで読んでください。』

「それはいくら何でも・・・、」

『私がそう呼んでほしいのです、お願いです。』

「・・・、わかりました、アクユリナ、呼ばせていただきますね♪」

 女神”はうっ”と吐息をもらし、もんどりを打ち倒れそうになる。

 よほどの破壊力

(ユリウスのウィスパーがアクユリナのハートにジャストミートでラブパワー注入デース)

があったのだろう。


 そんなこんながあって、アクユリナとユリウスは度々この湖畔で会って話していた。

 しかし、アクユリナが良かれと名前を付けたことが・・・。


『何か変わったことは無かったかい?アクユリナ。』

 ヘルメース神が訊ねたので、アクユリナはユリウスの事を話した。

『・・・、君が名前を付けたのかい?』

『はぁ、他に名前を付ける人が居ないとの事だったので。』

 アクユリナは何かマズい事でもと思ったのだが、まるで分っていなかった。

『いいかいアクユリナ、まだ眷属とはいえ君にはもう神の力があり、その者が人に真名を与えたのだよ。

 真名とは他の者に悟られてはならないもの、まして君が与えれば魂にも君の力が働く。』

 アクユリナ、顔が真っ青だ。

『どうなるのでしょうか?』

『もし彼の名が他の者に知れれば、彼の名前を口にし命令すれば彼の意識に関係なくその通りに実行する。

 しかも君の力を受けた彼は、君の眷属同様だ!まだ力は無くともそれなりの事をしでかしてしまうかも知れない。』

 アクユリナは下を向いて大粒の涙を流した。

『私が迂闊な事をしてしまったせいで・・・、』

『まだ手が無いわけでは無い、今からその湖畔に向かおう。

 彼とは連絡取れるのかい?』

『わかりません、もう夜も更けていますので・・・、』

 ヘルメース神とアクユリナはとりあえず湖畔に向かう。


 湖畔に現れたヘルメース神とアクユリナ、そこにはユリウスが湖に向かって立っていた。

『ユリウスこんな時間にどうしたの?』

「僕は・・・、すいませんアクユリナに逢いたいなって思ってたら此処に。

 アクユリナはこの様な夜更けに何故此方に?あと其方のお方は??」

『初めましてユリウス君、私はヘルメース神・アクユリナの上のものだよ。』

 そう告げるとユリウスはすぐに土下座する、マッハだ!

 ちなみに、アクユリナはユリウスの事を真っ直ぐに見れず照れながらモジモジさんだ。

『お立ちなさい、そんなに畏まらなくて良いよ、それに君に話がある。

 ユリウス君、君人間辞めてくれないかな?』

 ユリウス、きょとんになる。

『ヘルメース神様、それでは何の事か解らないのでは?』

『いや!ユリウス君は理解できるよな?もうその知恵と力は徐々にいき渡って来ている筈だから。』

「僕がアクユリナの眷属として魂を高めていくという事ですね。」

『そうなんだが一つだけ違う、君には僕の眷属になってもらう。

 しかし、今の君では僕の力は強すぎるのでこのままアクユリナの眷属状態で高めていき、然るべき時に僕の眷属化を図る。

 それまでは辛いだろうがアクユリナの事は魂の中で封印させてもらうよ。』

「僕への気遣い有難うございます。

 それでも僕の魂の中にはもうアクユリナの事が刻み付けられています。

 アクユリナの事が思い出せなくても、忘れる事はありませんので頑張れます。」

『君は相当出来が良いな、期待しているよ。

 僕の読みでは700年位先だが、その間頑張って魂の徳を高めてくれ。

 その間アクユリナも記憶を封印しておくが、あれは放っといても大丈夫だから。』

 笑いながら、ヘルメース神はユリユスとアクユリナに処置を施した。

 処置の最中にヘルメース神はユリウスに

『ユリウスの名前は使用禁止!誰にも教えてはいけないよ。

 君の容姿は生まれ変わっても同じ様になるから。

 知識としての記憶は引き継げるようにしてあるよ。

 最後に、その時が来たらアクユリナを頼むよ。』

 と付け加えた。

 アクユリナは既にその場に居なかった、ヘルメース神が記憶を縛って送還したのだ。



 ヘルメース神・アクユリナと別れた後の人生では、名前をユーリーと名乗っていた。

 まず人が多い所に出て様々な雑務をこなしていた。

 雑草取りや掃除・街中のお手伝い等々をしその後、薬屋の助手になって薬草の知識や配合を学ぶ。

 そして、魔法の勉強を始め回復魔法・防御魔法・生活魔法を学ぶ。

 生活魔法というのは生活に役立つというだけの分類で、水系・火系の初歩の魔法の事だ。

 そうして、人々の役に立ちながら様々な知識や技術を学んだ。


 ユーリーが46歳の時、本人の意思で志願兵に出た、衛生兵だ。

 この戦争はユーリーの住む国と隣国の戦争なのだが、事の発端はどちらの国でも無い。

 お互い共同盟国からの依頼での参加で、その同盟国2カ国は当に滅びている。

 しかも、国民を残してどちらの国の王族貴族共に逃げ出したのだ。

 こんな押し付けられた隣国同士の戦争が何故止まらないのか??

 ユーリーはその場で感じてみたかったのだ。


 皆おかしくなっていた、これが戦争なのかと思った。

 殺さなければ殺されてしまう、見捨てなければ生き残れない。

 気が付けば横の顔見知りが屍と化す、死臭がたちこめる。

 ユーリーは叫んだ!「ちがうだろー!!」

 誰にも届かない、失意の念が襲ってくるがそんな物に吞まれている暇はない。

 ユーリーは直ちに救助活動に入る、救護テントではなく戦場で。

 負傷者を見ては負傷者の着ている服を引き裂き、止血バンド代わりにする。

 少しでも窪んだ所に連れて行き、後続の攻撃が防げるように置く。

 そんな事しか出来ないと分かっていても、やらないよりはましだった。

 喉の渇きには魔法で水を出す、出血が酷い時には少し止まる位の回復魔法。

 全部の魔法を使い切ったら助けられる確率がぐんと減ってしまう。

 一人でも多くと頭におくユーリー、薬草も魔力ももう少ししかなかった。


 戦場のど真ん中、ユーリーはそこまでたどり着けた。

 前にいる負傷した指揮者、相当まずい状態だった。

 ユーリーは最後の薬草を使い水を飲ませ回復魔法をかけたその時。

 後ろからユーリーに矢が刺さる、口から血を流し後ろを見ると今にも倒れそうな敵の負傷者が最後の力を振り絞って矢を放ち、倒れた様だ。

 周りの同国兵が、ユーリーを打った相手を打ち取ろうとしたがユーリーが止めた。

 ユーリーはその敵兵に最後の魔力と生命力を使い回復魔法をかけた。


「何故俺を助けた?俺は大将首だ、これで戦争が終わるんだぞ?」

「貴様はこの兵の言いたい事がわからないのか?わかっているのだろう、本当の心の奥では!!」

 そう話したのは、矢を受ける前に助けた負傷者・将軍であった。

「こいつは衛生兵だ、本当なら救護テントで大人しく治療してれば良い奴が何故此処に居ると思う?

 武勲が欲しいなら衛生兵にはならん。」


 ユーリーはポツポツと話した。


「この戦いに正義は感じられません、むやみな死は必要ありません。

 何故他国に頼んだのに、逃げ出した国々の為に我ら隣国の同志達が死ななければならないのでしょう。

 僕の命一つで他の兵の方が少しでも生き残れるならと此処まで来ました。

 どうか、どうか・・・、」

 そういうとユーリーは体から力が抜けたようになり、最後に一言

「アクユリナ・・・」

 と呟き息を引き取った。


 両軍の将軍とその周りにいた兵達は全員立ち、ユーリーに向かって黙祷をささげお互いを見合う。

 両将軍は口を揃えてこう言う。

「この戦争は止めだ!今から全ての負傷兵の救護活動を行う。

 遺恨は残すな!此れより俺達は隣国の同士だ、文句のある奴は大臣だろうが捻り潰せ。

 大体、当事者が居ない戦いだ、もう同胞の死はたくさんだ。」

 といい、同国兵の将軍はユーリーを「此奴の死は絶対に穢させない!此奴が居なければ我等の国々も滅びていたかもしれない。

 救国の衛生兵を置き去りにはしない。」

 と連れ帰った。


 後に両将軍は全軍を引き上げ国王へ謁見を行い和平にこぎつけた。


この後からカツキとユウの特訓が始まっていく予定です。

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