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ちょっとだけイィお話しかも

作者: 雑彩多色

大型ショッピングモールでのこと……


友達のM君とお喋りしながら下に行くエスカレーターに乗ろうとしたら、彼は僕の一つ開けた後ろに足を乗せた。

そのエスカレーターは大人2人が横に並んでも充分なスペースのあるエスカレーターだったけど……


そしてまたお喋りしながら店内をうろうろして、また下の階へ行くのにエスカレーターに乗った。

今度は彼が前。

お喋りしてるけど彼は振り返らなかった。

その途中後ろからダダダっとエスカレーターを降りてくる人の音がしたので僕はとっさに左によけた。

でも彼はよけずに真ん中に立ったままだった。

そのため後ろから来た人は彼の前で静止するしかなくて…

降りると同時に彼に舌打ちして急ぎ足でどこかへ去って行った。

僕はM君に少し怒り気味に「なんでそんな意地悪するの?」って聞いたけど、彼はニコニコしながらも少し悲しげに「意地悪かぁ…」って言った。


彼がそんな意地悪するのは意外だった。



その夜の食事の後、リビングでくつろいでる父にそのことを話した。

そしたら父が「M君が正しい」と言った。

そして父はこうも言った「エスカレーターでの事故は実はとても多いんだよ。エスカレーターの構造上、真ん中に立つのが正解なんだ。もちろんお子さんと一緒に乗るときは横に並ぶこともあるからダメってわけじゃないけどね。でもエスカレーターを走ることなんてもってのほかだよ。それによけて譲るものじゃない。それでぶつかった拍子に転倒して大怪我したり物を落として誰かに怪我させたりなんてこともあるんだから。」

警察官の父の言葉だけにズシッと心に響いた。

そして同時に自分がとても恥ずかしくなった。

M君は正しいことしてたのに……

それに今思えばM君の前には親子がいた。

あの横を通り抜けようとしたなら確かに危ない。

それを彼は阻止したくてよけなかったんだって今頃気がついた。



次の日、学校に着くなりM君に近づいて昨日なんでよけなかったのか聞いたら、やっぱり父の言う通りの理由だった。


そしてなんであの場で理由を言わなかったんだろうと頭をよぎったけど、僕の意見を尊重したんだってことに気がついた。


M君てなんて良い人なんだろ。




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