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召喚された世界はスキルがものをいう  作者: 雷
【商業国家 エルバドス】編
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アンデットカースドラゴン

Aランク魔獣との初めての戦闘です。

 ここを抜けたら【アンデットカースドラゴン】がいる。そんなところの坑道で俺達は顔を見合わせている。皆Aランクの魔獣なんて初めて戦う。どうなるかわからない。少し不安な気持ちになるけど俺達だったら大丈夫と自分を励ます。

 全員の顔を見て俺は大きく頷く。何があっても皆の事は守ってみせる。俺は足を進めた。



 足を踏み入れたのは大きな空間だった。100m四方はありそうなスペースで、今までの坑道とは違ってそこは神殿を思わせるような場所だった。多分【ガイアドラゴン】の為に誰かがこういう場所にしたんだろう。壁には彫刻された柱が並び、空間の中心には大きな台座の様な物があった。

 その台座の上に【アンデットカースドラゴン】はいた。

 体長は30mはあるだろうか。一応は西洋での物語に出てくるような、体の部分が大き目なドラゴンっと言ったフォルムをしている。ただそれはフォルムだけだ。体の所々の肉はなく骨がむき出しになっている。腕や足の形もどこかおかしい。粘土をこねて無理やりくっつけた様な形をしている。顔は目玉がない、黒い穴があるだけだ。開いた口からは何かわからない液体が滴り落ちている。

 その虚ろな顔をしたドラゴンが俺達の方を見ている。目がないのにどうやって見てるのかわからないが俺達を認識したのは間違いないだろう。このまま(つら)を見合わせていたって始まらない。



「皆行くぞ。」



 俺は【念話(テレパス)】で皆に伝えて動き出した。



「【光の矢(ライトニングアロー)】」



 俺がそう口にすると俺の前には1本の大きな光の矢が現れる。光魔法の1つで名前の通り光を集めて矢にして放つ。光魔法が通じるかどうか確認の為に使ってみた。俺の前から光の矢が打ち出される。大きな図体をしているから適当に打ってもどこかに当たるだろう。そう思ったが進む矢の前に突然土の壁が現れる。光の矢はその土の壁に当たり弾ける。

 【土の壁(アースウォール)】を作って矢を防いだか。詠唱してるような感じはなかったけど。俺の矢を見てから防ぐってなかなかの魔法の使用速度をしている。

 しかしやっぱり光魔法も通じないか。基本的には光魔法は魔素を直接操って形にしたりしているからアンデットとか魔力で体を動かしているやつには効くんだろうけど、恐らく作った土の壁に魔力を込めていて、だから土の壁一つで防がれてしまうんだろう。今回奴が体にも魔力を込めた土でも纏っていたら多分今と同じように通じないだろう。やはり他の方法を考えるしかないな。

 でも俺は何本か同じ様に光の矢を作って放つ。他の皆に意識を向けさせずに俺に集中させる為だ。

 何本も同じように放つが全て土の壁に防がれる。ただその間に皆は【アンデットカースドラゴン】の周りを大きく周り位置取りをして行く。皆で【アンデットカースドラゴン】を囲む形だ。

 

 全員がそれぞれの位置に着いたのでそれぞれ攻撃を開始する。

 ガイは2本の剣で剣撃を放つ。いくつか土の壁に防がれるが、【アンデットカースドラゴン】に当たった剣撃が体の肉を削る。しかし削ったと思ったら、その周辺の肉が寄せ集まって削られたところを修復していく。

 ブランは斧を持って直接【アンデットカースドラゴン】に突っ込んでいって斧を振るって肉を削いだりしている。だが同じ様に削っても元に戻るようだ。

 シータはププに頼んで風の刃を作って【アンデットカースドラゴン】に向かって放っていたがこちらもそんなにダメージを与えられていない様だ。こういった閉鎖された空間では風の精霊はあまり力を振るえないらしい。そこまで大きな魔法は使えない様だ。

 アリアは俺が教えた【凍る槍(フリージングスピア)】を放っている。何本かは体に当たって肉を凍らせるがそれだけだ。【アンデットカースドラゴン】は凍ったその部分を自ら切り離して再生していく。

 やっぱりなかなかの相手だ。何とか核を攻撃しない事にはどうにもならないか。



 俺達がそれぞれ攻撃を始めたので【アンデットカースドラゴン】は俺達個別に岩の塊を放ってきたり、足元から岩の槍を生やして来たりしている。しかし俺達は全てをかわす。俺は魔素の動きを読むことが出来るのでどこにどういう攻撃をしてくるのかが分かる。俺が察知した内容を【念話(テレパス)】を使って皆に伝える。ほぼノータイムで伝えられるのでそうそう攻撃を喰らう事はないだろう。

 【アンデットカースドラゴン】も攻撃してもかわされるのが分かり、何かしようとしたのか今までとは違った別の魔力を感じた。



「全員一旦【アンデットカースドラゴン】から距離を離すんだ。」



 俺は【念話(テレパス)】で皆に伝える。俺の【念話(テレパス)】を聞いて皆が【アンデットカースドラゴン】から距離を取る。

 【アンデットカースドラゴン】は体を震わせて体から黒い何かを噴き出した。その黒い何かはドロドロとした液体の様で【アンデットカースドラゴン】の近くに溜まっていく。【アンデットカースドラゴン】を中心に黒い液体の水溜まりの様なものが出来た。これが【死の沼】か?どういう効果があるかわからないから迂闊に近づけなくなった。

 仕方がないので遠距離からの攻撃を続行するがやはりあまり効果がないような気がする。


 【アンデットカースドラゴン】は俺達が近づいてこないし、土魔法で攻撃してもかわされるので次の手を考えたようだ。何故か体から自分の肉を切り離し、それが地面に落ちる。するとその肉が動き長細く形作る。出来上がった姿は体長1m位のミミズの様だった。しかし頭に当たる部分には何本もの細い触手の様なものが付いていた。それが何体も出来上がり俺達の方へ体をくねらせてやってくる。かなり気持ちの悪い光景だ。

 これが【従者作成】のスキルで作った従者なんだろう。皆【アンデットカースドラゴン】への攻撃を一中断して迫ってくるミミズの様な従者を相手にする。ガイやブランは持ってる武器で攻撃し、アリアとシータはそれぞれ魔法を使って従者に攻撃をする。従者の体に攻撃が当たると体は弾けて動かなくなる。これも多分自分の肉を一部分だけ別けて、魔力によって動かしているんだろう。与えた魔力の分しか動けないみたいだから再生したりはしないようだ。ただ弾けた従者の肉は【アンデットカースドラゴン】が腕などを伸ばして回収して、また新しい従者を呼び出してくる。

 しかし俺達もそれぞれが簡単に従者に対応している。従者の動きも遅いし遠距離の攻撃を持たないみたいだからうぞうぞと近づいてくる前に全て叩き潰している。


 その光景に業を煮やしたのか【アンデットカースドラゴン】の体が少し膨らんだような気がした。その後体に軽い衝撃が襲う。多分【咆哮】を使ってきたんだろう。でも俺達の体の周りにはププが空気の障壁を張ってくれている。恐らく空気の振動を攻撃とする【咆哮】は、今ある障壁には効果がない。事前にどういうな障壁を張っておいてもらうかきっちり説明しておいてよかった。多分この障壁じゃなく単純な壁みたいな障壁だったら周りから空気の振動が伝わって耳をやられていたかもしれない。それ以外の何らかの効果もあるかわからない。混乱とかの効果が付いてたら厄介だしな。この世界そう言った特殊効果が付いた攻撃とかあってもおかしくない。俺達も周りの音が聞こえなくなるっていうリスクはあるけど相手の攻撃一つ防げるようになるんだったら安いもんだろう。


 これで【アンデットカースドラゴン】の持っている攻撃は全て確認できたかな。

 じゃあこっちの真打を登場させても問題ないか。



「よし、皆作戦を決行するぞ。」



 俺は【念話(テレパス)】でそう皆に伝える。

 すると皆懐や袋から一辺が5cmほどの四角い箱を取り出す。俺も同じように【倉庫持ち(アイテムボックス)】から箱を取り出す。真っ黒な石のような質感の箱だ。表面にはこの世界の言葉でいろんな文字が彫ってある。俺以外の4人はその取り出した箱を地面に置いてその場から下がる。

 俺はその箱を手に持ったまま魔力を流し込んで起動させる。



「第一、(せん)。」



 俺の言葉がトリガーになって手に持った箱が白く光る。それに伴って皆が地面に置いた箱も白く光り出す。そしてその光は線の様になってそれぞれの箱同士をつなぐ。地面に箱から出た光で正方形の様な形が描き出される。



「第二、(へき)。」



 俺の言葉で地面の光の線から壁が出来て【アンデットカースドラゴン】を包む。



「第三、(へい)。」



 その言葉で壁から光が伸びて立方体の天井を作る。光る面の立方体で【アンデットカースドラゴン】を囲んだようなものだ。



「第四、(はん)。」



 そう言うと【アンデットカースドラゴン】の体から光る粒子の様なものが出て来て、光の壁に吸い込まれていった。



「第五、退魔結界陣発動。」



 俺が最後のトリガーを口にすると光の立方体は少しその光を抑えた。別に出力を弱めえた訳じゃない。その証拠に中にいる【アンデットカースドラゴン】が苦む様に体をよじらせる。

 これが今回の俺の作戦の(かなめ)となるオリジナル魔法具【退魔結界陣】だ。

お読み頂きありがとうございます。

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