冒険者ギルド3
俺達はゾランさんの店から出た。
【アンデットカースドラゴン】を倒すにあたり、とりあえず冒険者ギルドに行って話を聞いてみようという事になった。ゾランさんも冒険者の動向をそこまで詳しく知っていた訳でもないしな。
俺達は町の中を冒険者ギルド目指して歩いた。
その時に町中の景色も見ていくが小さな家や店が目立つ。もしかしてこれって。
「なぁ、ブラン。もしかしてこの町って大部分が地下に色々あったりする?」
「そうですな。先程のゾランの店の様に皆地下に部屋を作っております。そしておそらく地下は地表の町の2倍ほどの大きさがあると思いますじゃ。」
「なるほどね、だから行けばわかるって言ってたんだね。」
「この町のほとんどの者がドワーフですので皆土魔法を使って地下へ改築していきますのでな。」
それでもすごいな。魔法が使えても結局地下にスペースを作るとなるとそれを支える耐久度とか考えないといけなくなるよな。魔法で補強とかはするんだろうけど、ちゃんと計算とかもしてるんだろうな。ただやみくもに地下を広げて行っても上に乗ってる町ごと崩落したら意味ないし。この凄さはぱっと見ではわからない。
町中を歩いて冒険者ギルドを見付けた。ギルドはかなり大きい建物だった。グラントの城下町にあったぐらいの大きさをしている。この町に来る冒険者も多いからだろうか。とりあえず俺達はギルドの中に入ってみた。グラントの所と同じ様に1階はギルドと酒場のスペースになっていた。でも冒険者の数は少なかった。かなりの広さなのに数パーティしかこの場にはいないみたいだな。
俺は1つの受付カウンターに行った。そこには暇そうにしている若い女性が立っていた。ここもドワーフ族の人ではないんだな。
「いらっしゃいませ。本日はどんな御用でしょう?」
受付の女性が営業感丸出しの言い方で俺に聞いてきた。
「えっと俺達旅の冒険者なんですが【アンデットカースドラゴン】に詳しい方か、もしくはギルドマスターを呼んでもらえませんか?」
「はい?」
俺の言葉に受付の女性が首を傾げた。手っ取り早く話をしたかったんだけどな。
「俺達【アンデットカースドラゴン】の討伐を考えています。その為情報が欲しいんです。」
俺の言葉に他のカウンターにいた人たちもざわつく。
「え~っと、あなた達はAランクかSランクの冒険者の方々ですか?」
「いえ、全員Bランクです。」
「はぁ、冗談はほどほどにして下さい。今回出た【アンデットカースドラゴン】はAランク級の魔獣なんです。Bランクのパーティの方が手に負える様なものではございません。お引き取りを。」
「そう言われても。Aランクにするのが面倒なだけでしてないだけです。俺達はそれなりに強いですから問題ないと思います。」
俺はそう言って受付の女性にギルドカードを見せる。今回は【偽装】で俺のスキルは色々な魔法がレベル10にしてある。
「他の者も見せましょうか?皆大体レベル10のスキルを持っています。」
俺のギルドカードを見て受付の女性が固まる。その周りのギルドの人達がもっとざわざわしだした。
「少々お待ちください。誰かギルドマスターを呼んできて。」
受付の女性がそう声を掛けると誰かが奥にあった扉から中に消えていった。
「まったく、一体何だって言うんだ。人が折角寝てたのによぉ。」
しばらくしてそう悪態をつきながら1人のドワーフが扉の奥から現れた。
「ギルドマスター、こちらの方々です。」
受付にいた女性がそのドワーフに俺達の事を示して言った。
「ルドル、ルドルではないか。」
しかし次に声を上げたのはブランだった。
「ん?お前まさかブランか?」
そう言ってギルドマスターと呼ばれていたドワーフが反応して返す。なんだか知り合いだったっぽいな。
「まさかお主がギルドマスターをしているとはな。」
「いや、お前もな。冒険者になったという話は風のうわさで聞いてたんだけどな。久しぶりだな。」
「あぁ、何十年ぶりじゃろうか。しかしギルドマスターなんぞになっておるとはな。」
「俺も好きでなった訳じゃないけどよ。他に適任な奴がいなかったから仕方なくだ。」
2人は俺達をおいて何やら盛り上がっている。出来れば紹介して欲しいんだけどな~。と少しブランに視線を送ってみる。
「あぁ、そう言えばこちらがわしの今組んでおるパーティの仲間達じゃ。」
俺の視線に気付いたのかブランが俺達の事を紹介してくれた。
「それでな、少し折り入っての話があるんじゃが。どこかでゆっくり話は出来んか?」
「そうだな、分かった。付いてきてくれ。」
ブランがそう提案するとルドルさんと言うギルドマスターが了承してくれた。
ルドルさんが元来た扉の方へ歩いて行って、そのまま扉の奥へ消えた。しょうがないので俺達も後を追う。しかしギルドの中の皆の顔が何とも言えない感じになってるんだけど。そんなの気にしても仕方ないか。そう思って扉を抜け階段を下りていく。ここも地下に部屋があるのか。1階分ほど階段を下り、廊下を進む。前を行くルドルさんの後に続くと一番奥にある扉を開き中に入って行った。このギルドも一番奥がギルドマスターの部屋なのかもな。
俺達もルドルさんの後に続いて部屋の中に入らせてもらった。そこは他のギルドギルドマスターの部屋と同じような作りだった。そう言う決まりでもあるんだろうか。まぁ作る時決まってたら楽だろうけどね。
「とらえず座ってくれや。」
ルドルさんがそう言ったので俺達はソファの様な椅子に座った。椅子に俺達が全員座ることが出来なかったのでガイは立ったままだったけど。アリアとシータは小柄だし狭いながらも椅子に座れた。
「俺がこのギルドのギルドマスターのルドルだ。」
俺達が座ったのを見てルドルさんが自己紹介をしてくれた。
ルドルさんもいかにもドワーフと言った風貌をしている。グレーの髪で瞳も濃いグレー。髪の毛は短くしているようだが口周りの髭はブランと同じぐらいに生えている。目つきは結構鋭い。体格もブランと同じぐらいある様に見える。もしかして冒険者をやっていたんだろうか。
「俺はこのパーティ【ダイザン】のダイゴと言います。」
「ガイだ。」
「アリアと申します。」
「シータだよ。」
俺達も口々に自己紹介する。
「それでなんだ、お前ら【アンデットカースドラゴン】を倒そうって思ってるのか?」
「えぇ、ですから詳しい話をお聞きしたいと思ってこちらに来ました。」
ルドルさんの問いに俺が答える。
「しかしお前らBランクの冒険者なんだろ?あぁでもなんかスキルのレベルが10あるとか。」
「そうですね、俺達3人は大体のスキルがレベル10あります。こちらの2人は最近仲間になったばかりなのでまだそこまでのレベルじゃありませんがすぐにレベル10になると思います。」
「なんだそりゃ、どういうことだ?」
「えっと・・・。」
「ルドルは信用できますぞ。」
俺が説明しようか悩んでいるとブランが横から言ってきた。信用出来るから言っても大丈夫ってことだな。
「俺は勇者なんです。それで色んなスキルを使えるんで仲間もすぐに強くなるんです。」
「はぁ?なんだ?どういうことだ?」
そうルドルさんに言われたので、俺は師弟契約の話をする。奴隷契約の話はまだ伏せておいた方がいいだろう。別にあれは言う必要ないしな。
「という事で俺達はスキルのレベルが10あったりするんです。それで【アンデットカースドラゴン】も何とか討伐できるかなって思ってるんですが。」
「おい、ブラン。今の話はマジか?」
「あぁ、ドワーフの誇りに掛けて真実だと誓おう。」
俺の話を信用できなかったのか、ルドルさんはブランに聞いた。ブランもそれに真剣な表情で答えた。
「わかった。それで【アンデットカースドラゴン】の詳しいことが知りたいのか?」
「そうですね。討伐にあたっての注意点だったり、他の冒険者の動向も知っておきたいです。」
「そうだな~、他の冒険者って言ってももうこのギルドに残ってるやつで【アンデットカースドラゴン】に挑もうとするやつはいないだろうな。少し前にAランクのパーティが様子を見に行ったが慌てて帰って来てこの町を出て行ったからな。それを見た他の冒険者も誰もあいつを倒そうなんて考えちゃいないだろう。この町にはもうAランクの冒険者はいないしな。」
「そうなんですね。俺は【アンデットカースドラゴン】に詳しくないんですけどどうやって討伐するんですか?」
「なんだそんなことも知らないのに討伐しようと思ってるのか?」
「まぁ今まで誰かが倒したことがあるんだったら、倒す方法はあるかなって思ってますしね。」
「そりゃまぁ違いねぇがな。しかしこっちもそう言っても【アンデットカースドラゴン】がどんな奴かってのはあんまりわかってねぇんだけどな。」
「そうなんですか?」
「まぁ元々ドラゴンの死骸を使って自分を作るやつだからな。世界にドラゴンなんてそうそういねぇ。さらにその死骸だ。そんなもの数ある訳ないだろう?」
「そう言えばそうですね、そんなにドラゴンの死骸が転がっていたら、それだけドラゴンがいたってことですもんね。」
「あぁ、だから今までもはドラゴンって言ってもなりそこないだったり、亜種みたいなもんだったりの死骸に取り付いたりしてたんだよ。」
「なりそこないだったり、亜種がいるんですか?」
「そうだな。純粋なドラゴンっていうのはほぼいないとされている。今世界にいるのはそこから別のモンスターや魔獣に成り代わったやつだな。一説によるとドラゴンと別のモンスターや魔獣の子供だったり、ドラゴンの死骸の近くで生まれた別の魔獣がドラゴンの因子を引き継いだりとか言われてるな。ただどれも本当かどうかはわからねぇけどな。誰も調べたり解き明かした奴なんていねぇからな。
だから飛竜とか牙竜なんかの魔獣がいるんだけど一応系統としてはドラゴンの扱いだな。そいつらの死骸に取り付いたりするんだよ【アンデットカースドラゴン】は。
しかし今回は純粋なドラゴン、【ガイアドラゴン】の死骸に取り付いちまったからえらいことになってるんだよ。」
「なるほど、じゃあ今まで討伐されてきた【アンデットカースドラゴン】はそう言った飛竜や牙竜の死骸に取り付いたものだけだったんですね。」
「そういう事だ。まぁでも取り付いている【アンデットカースドラゴン】は変わりがないはずだしな。一応どういうものかっていうのは少しはわかっている。
まず奴はドラゴンの死骸に自分の核を入れるんだ。確か拳位の大きさって言われてるかな。真っ赤な宝石の様な玉だ。そこからドラゴンの魔素を取り込み自分の魔素と合わせてドラゴンの残った肉や骨を再構築するらしい。そして肉や魔素を補給する為に手当たり次第に生物を襲うらしい。
倒すのはその核である球を壊せばいいらしい。だから周りの肉や骨を吹っ飛ばしたりして削ってから球を壊すのが普通の討伐の仕方だな。」
「今回はその方法が取れないってことですか?」
「あぁ、その様子を見てきた冒険者が言ってたけどまず体がバカでかいからな。体が20m位はあったらしい。肉も骨も残っているんで核が見えるようになるまでどれだけ攻撃しないといけないのか。しかも今回のは【ガイアドラゴン】の力で土とかを身体に付けて身を守ってるらしいぞ。だから全く攻撃が通じているように思えなかったそうだ。少し削ったぐらいでは魔力で動かして別の部分の肉を削られた部分に充てるみたいだしな。
幸いなことに【アンデットカースドラゴン】は魔力で体を動かしているから動くスピードがゆっくりなんだ。だからその冒険者達は逃げて帰ってくることが出来たんだ。」
「なるほど、どうやって【アンデットカースドラゴン】の核に攻撃を入れるかが重要ってことですね。」
「そう言えば勇者なんだったら光魔法も使えるんじゃないのか?」
「そうですね、一応使えるとは思いますけど。」
ルドルさんに言われて俺は言葉を濁す。
この世界には光魔法と言うものがある。元の世界で漫画やゲームなんかでよくあった感じの魔法だ。勇者だったり一部の人が使えるとされる魔法。俺も一応使ってみたことはある。しかし使える感があまりなく使ってないんだよな。
俺の予想なんだけど光魔法は魔素に直接作用する系の魔法かなと思っている。光魔法を直接岩とかに叩き込んでも何も起きなかった。説明にはアンデット系に効果があるとは書いてあった。ただこれまで旅をしてアンデットのモンスターや魔獣には出会ったことがなかった。恐らくなんだがアンデット系のモンスターなんかはその死骸を魔力で操って動いているんだと思う。だから光魔法はその魔素を直接攻撃してダメージを与えるんだと思おう。無機物にも魔素は含まれるけどそこまでの量でもないし、魔獣とかに試してみた方が良かったけど他の攻撃が効くのにわざわざ試す必要はないかと思って試したことがなかった。また出会った時でいいかみたいな気持ちだった。そして今回出会ったんだけど、向こうは土魔法も使って体を土で覆ってるらしい。だとしたらそこに当たっても効果がないような気がするんだよな。魔法が貫通して効果があるかどうかもわからないし。流石に実践で試してみるっていうのも今回は怖いしな。何かやらかしたらこっちがやられそうなランクの魔獣だ。不確定なことはしたくないから別の方法を取った方がいいだろう。
「今回は相手が土魔法で体を守ってるかもしれません。そうなると光魔法も効かない恐れがあるので色々な戦い方を考えておこうと思います。
とりあえずお話は聞けたのでまた俺達で策を練ろうかと思います。後修練を積んでもう少し強くなってから挑もうと思います。」
「そうか、じゃあしばらくの間この町に滞在するんだな?」
「えぇ、修練も兼ねて依頼も受けようと思っているのでこちらのギルドにはお世話になると思います。」
「お前らがホントに【アンデットカースドラゴン】を倒してくれるなら、俺達の方がお前たちの世話になることになるな。」
俺はそうルドルさんに言った。さぁこれからやることは決まった。ザールに来てゾランさんに会って、笑顔でさよならという事にならなかったな。こういう運命なんだろうか。でも今は目の前のやることだけをやっていこう。
お読み頂きありがとうございます。




