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召喚された世界はスキルがものをいう  作者: 雷
【商業国家 エルバドス】編
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報告2

 俺達は【デモノプラント】の残骸を集められるだけ一か所に集めた。

 そこを俺が【水の壁(アクアウォール)】で囲んで、その中に火魔法の【獄炎(ヘルファイア)】を放った。【獄炎(ヘルファイア)】は対象が燃え尽きるまで消えない炎を出す魔法だ。俺はこの炎の中に見付けた死体一緒にも入れておいた。あのまま放っておくのもなんか嫌だったし、モンスターに食われたりするかもしれないしな。火葬した方がまだいいだろう。

 炎が完全に消えてからは念の為の【デモノプラント】探しをしてみた。変なところで増えていても後が大変だしな。【索敵(レーダ―)】と【探索(サーチ)】をくまなく使って調べた。するといくつか小さな気配を見付けた。その場所に行ってみると小さな子供の手程の【デモノプラント】が咲いていた。もうすでに自分の分身を作り始めているみたいだ。近づいても特に何もしてこなかったが成長したらあんな風になるのかもしれないので全て同じように掘り返して燃やした。

 これで何とか片付いたかな。やっと町に戻れるな。【デモノプラント】を倒すよりも、事後処理の方が時間がかかったような気がする。



「全部終わったようだから町に戻ろうか。」



 俺はみんなに声を掛けて町へ歩き出した。歩いて行く内に思い出してアリアとシータに声を掛けた。



「そう言えば魔獣を倒したからレベル上がってるんじゃないか?確認してもいい?」


「えぇ、構いませんわ。」

「シータも。」



 2人から了承を得られたので、俺は【鑑定眼(アナライズ・アイ)】で2人のステータスを確認した。



「凄いな、2人共レベル結構上がってるな。アリアが7上がって、シータは12も上がってるな。

 アリアは支援魔法のレベルも上がってる、しかも2も。」


「えっ、そんな簡単にスキルのレベルって上がるものですか?」


「普通は上がらないけど、今契約を2重でしてるからね。」


「こんな方法があるなんて・・・。他の方に知られたらなんて言われるか。」


「まぁね。だから俺もあんまり言ってないんだよね。奴隷契約の方は特にね。師弟契約の方は広めてもいいかなって思ってはいるんだけどね。元々高レベルの人が師匠にならないと意味ないから。まず師匠になれる人が世界に少ないんじゃないかな。」


「そうですわね、スキルレベル10の御仁なんて今までお会いしたことありませんでしたわ。」


「そう言えばアリアって水魔法も使えるんだよね?」


「えぇ、ただ使えるというほどのものでもございませんわ。」


「俺が教えようか?だったら大分早く習得できるはずだよ。」


「それは是非!」



 俺とアリアは町へ向かう帰り道にそんな話をしながら帰り、体内の魔力の練り方と水魔法の使い方のレクチャーをした。シータはなんかブランに懐いたようで一緒に話しながら歩いている。ガイが1人になっちゃってるけど仕方ないか。むつかしい顔してるけど。



「ガイどうしたの?なんかあった?」


「いや、なんだか最近このパーティだと俺が全然役になっていない気がしてな。」



 あぁ、そういう事か。まぁどちらかと言うと皆魔法とかメインで戦っちゃってるからな。ガイは剣撃を飛ばすくらいしか遠距離攻撃ないしな。ガイにも魔法を憶えさせるか?いや、気質的に合わない気がする。だったら。



「だったら必殺技とか編み出したら?」


「必殺技だと?なんだそれは?」


「俺のいた世界にあった技なんだけど。普通の剣技よりも威力が高かったり、致命傷を与えたり、広範囲を攻撃出来る攻撃の事だよ。」


「ほう。」


「例えばなんだけど、ガイって剣に気を纏わせて放つよね?遠距離攻撃の(かなめ)になるけど遠くに行くと威力が落ちる。そこでまず縦に斬った時の剣撃を目の前で止めて、更に横にもう一度斬る。その時も剣撃を出して、先程縦に斬った時に目の前で止めておいた剣撃と十字に合わせて放つんだ。そうすると十字の形をした剣撃が放たれて倍の威力で普通に放つよりも広範囲の攻撃になる。そんな技の事。」



 俺はいかにもゲームとかにありそうな技を言ってみる。俺自身剣撃なんてだせないから思い付きを適当に言ってみただけだけど。



「なるほど。」



 でもガイはそう言って剣を抜いた。



「こうして、こうか。」



 そして俺の言った通りに剣を振るって本当に十字型の剣撃を放った。



「なるほど、確かに威力は上がってるな。」



 出来上がった剣撃の行方を見てガイがそう言った。

 えぇ~っと、なんで出来るんだよ?冗談のつもりで言ったんですけど。何となくこういうのどうかな~って思っただけでホントに出来るとは思ってなかったんですけどね。



「他にもあるのか?」


「えぇっと、まぁそうだな。後は当たった瞬間にその場所で気が弾けるようにして・・・。」



 そんな話をしながらみんなで楽しく町まで戻った。

 今回は全員ギルドカードを持ってたからすんなり町には入れた。



「シータ、お腹が減った。」



 町に着くなりシータがそう言った。

 そう言えば朝食べてから買い物してギルド行って、魔獣倒してと色々あって昼ご飯を食べてなかったか。ギルドに行くと話とかすることになるだろうし先に食べておいた方がいいか。

 そう言う事にして俺達はご飯屋に行って昼食を取ることにした。しかしそこでのシータが凄かった。量を食べるだろうなとは思っていたが1人で軽く15人前は食べた。



「ここはアリアが払ってくれるんだろうな?さっきシータに美味しいものご馳走するって言ってたよな?」


「いえ、あれは量より質の意味で、もう少し美味しいものを少量召し上がって頂くことにいたします。」



 はぁ、ホントにうちのパーティのエンゲル係数がぐっと上がりそうだ。シータを養うために依頼をこなす様になったらどうしよう。

 ご飯屋さんから出て、露店で売っていた果実の様なものをアリアが買ってシータに食べさせていた。約束はちゃんと守るらしい。



「そう言えばシータはあれだけど、アリアってお金持ってるの?」


「えぇ、まぁ一応は。神官をしていてお給金は貰っておりましたしね。これからはそうですわね、回復魔法が使えますし。冒険者ギルドで回復魔法をかけてお金を頂くという事で稼いでも良いかもしれません。そう言った冒険者さんがいらっしゃると聞いたことがあります。」



 アリアが答えてくれる。そっか、そういう商売みたいなのもあるのか。回復魔法って使える人少ないし、教会とかまで行かないといけないしな。冒険者とかって怪我したりすることが多いし、そんなことしている冒険者もいてもおかしくないな。



「だったら俺もそうしてみようかな。」


「あら、ダイゴ様もなさるんですか?」


「何か問題でも?」


「いえ、私教会にいた時には大変好評だったんですのよ。特に殿方には。大した怪我でもないのに私に治して欲しいと結構な人数がいらしたんです。

 でもダイゴ様はお姿は、ほら、あまり冒険者の方が回復魔法をかけて貰いたいと思われる容姿をなさっていらっしゃらないかと思いまして。」


「あん?」



 なんだ、さっきの飯屋の仕返しか?

 確かに冒険者もごつい感じのおっさんタイプが多い。アリアは一見美少女だし。俺はどう見てもごつい冒険者だし。

 あれ・・・?ホントだ。一緒に並んでやってアリアの前だけ人が並んで俺の前に誰も来なかったらどうしよう・・・。考えたらめっちゃ悲しくなってきた。



「すいません、言い過ぎましたわ。」



 俺が泣きそうな顔していたらアリアが謝った。



「その、世の中には物好きな方もいらっしゃいますし。」



 アリアが全然フォローになっていない事を言う。ちくしょう、絶対俺の方が回復魔法上手いのに。絶対に俺の方が癒せるのに。タイプだったらちょっとした傷でも【復活(リヴァイブ)】使うのに。

 止めよう、世の中には理不尽な事が溢れかえってるんだ。

 きっとその内俺に治して欲しい、癒されたいって人が出てくるはずだ。いや、出てきたらいいな。1人位、きっと。

 そんなことは良いとして早くギルドに行くか。



 俺達は冒険者ギルドに向かった。

 ギルドの中に入ると人はやっぱりガンドロさんしかいなかった。



「どうだった?」



 俺達の姿を見たガンドロさんが急いでカウンターから出て聞いてきた。心配してくれてたんだろう。何故か嬉しくなる。



「無事討伐しました。」


「おぉ、そうか。良かった、お前たちも無事の様でホントに良かった。」



 討伐の報告をしたらガンドロさんは我が事の様に喜んでくれた。俺達も喜びたかったけどまだ伝えないといけないことがある。



「座ってお話してもよろしいですか?」



 俺はそうガンドロさんに告げる。



「えっ、あぁ。分かった。」



 ガンドロさんがそう言って出かける前に着いたテーブルと椅子の方へ向かう。俺達も後に続いて全員でテーブルに着く。



「まずは報告なんですが。森にいた【デモノプラント】は討伐しました。ただどの部位を持って帰っていいかわからず、また増殖する可能性があったので死骸はその場で全て焼却しました。」


「そうだったのか、まぁそれでいい。俺もどの部位が必要かは知らなかったからな。」


「周りを確認するとすでに小さな【デモノプラント】が発生していたので、それも全て焼却しました。

 これでまた【デモノプラント】が発生するという事がなくなったと思われます。」


「そんなことが・・・。あぁ、助かった。」


「それで部位を持って帰ってこれなかった代わりではないんですが、【デモノプラント】の所に人の死体が幾つかありました。その遺品を持って帰ってきました。」



 俺はそう言って【倉庫持ち(アイテムボックス)】から持って帰ってきた武器や装飾品をテーブルに出して並べた。

 ガンドロさんはその並べられたものを目で追い、ある所で目線を止めた。

 そして並べられた中の物から1つの首飾りを手に取った。そしてその首飾りを見つめ涙を流した。



「あぁ、これはマイカの。マイカの物だ。」



 ガンドロさんはそう言って止めどもなく涙を流す。俺達はその光景を黙って見ていた。



「すまない。」



 しばらくしてガンドロさんは落ち着いたのか俺達に謝った。



「いえ、お知り合いの方だったんですか?」


「俺の妻なんだ。」



 俺の質問にガンドロさんが答えてくれた。



「マイカとは冒険者のパーティで知り合ったんだ。それで意気投合して結婚した。そしてこの町に来て落ち着いたんだ。俺達は冒険者だったからそのままこのギルドで働きだしたんだ。そして年月が経って俺がギルドマスターになってあいつはここで受付をしてたんだ。」



 ガンドロさんの話を俺達は静かに聞いた。感情が抑えられなくて誰かに聞いて欲しいんだろう。



「そして5日ほど前に【デモノプラント】が森にいるという話が流れてきたんだ。そしたらマイカが様子を見てくるって。俺は止めたんだ、でも他の冒険者だけに見に行かせる訳にもいかないって言い張って。だったら俺が行くとも言ったんだが、ギルドマスターが行く必要はないって言って何人かの冒険者と一緒に森に行ったんだ。でも次の日になっても帰ってこなかった。その次の日もだ。何かあったのはわかった。でも俺は動けなかったんだ。ギルドマスターの仕事があるとかじゃなくただ怖かったんだ。マイカはBランクの冒険者だったんだ、そんなあいつが帰ってこれないなんて。俺もBランクだ、そんな俺が行っても一緒じゃないか。どうにもならない。そんな事ばっかり考えてた。

 そしたらお前達が来た。(わら)にもすがる思いだった。こいつらならマイカを見付けて来てくれるんじゃないか。【デモノプラント】を倒してくれるんじゃないかってな。そしたらホントに倒してくれて。マイカの物も持って帰って来てくれた。ありがたいと思う、心から感謝してる。だが思うんだ、なんでもっと早くこの町に来てくれなかったんだ。もっと早く来てくれてたらこんな事にはならなかったんじゃないかってな。」



 ガンドロさんが泣きながら叫ぶ。ガンドロさんの気持ちもわかる。大事な人の死を受け入れられないんだろう。誰かのせいにして自分の持ってる罪悪感を晴らしたいんだろう。



「お主の気持ちわからないではない。」



 ブランが口を開いた。



「しかしわしはお主の様に(めと)った妻もおらんし、そこまで大事に思う者もおらん。じゃから大事な人を失くしたお主の気持ちを全てわかってやる事も出来ん。

 だがな、聞いておればお主はああすれば良かった、こうだったら良かったと全て過去の事ばかりを話しておる。過去はどうやったって変わらんよ。そして一番はお主自身が何もしなかった自分を許せないんじゃろう。

 自分で自分を許せないのは辛いぞ。他の誰も許してくれる者などおらんからな。

 でもな、結局自分を責めたってその先はないんじゃ。いつまでも許せるはずがないんじゃ。

 わしから言えるのは1つだけじゃ。これからはやりたいことをやる、それだけじゃな。

 今回のお主の様にやりたいことをしなかったことで抱く後悔と違い、やりたいことをしての後悔だったら諦めがつく。全てはどう思い、何を成すかじゃ。

 わしから言えるのはそれだけじゃよ。後は自分で考えるんじゃな。お主から聞いた話は全て、お主の中での話じゃしな。わしらは何も解決できん。」



「自分を許せない・・・・。どう思い、何を成す・・・・。」



 ブランの言葉にガンドロさんは自問自答を繰り返してるようだ。



「まぁわしの言葉も(あるじ)の受け売りじゃがな。」



 いや、俺そんなカッコいいこと言ってないと思うけどな。やりたいことをやるっていうのは言った気がするけど。



「皆さん、見苦しい姿を見せてすいませんでした。」



 ガンドロさんが頭を下げて言う。



「今の言葉で俺も目が覚めました。ここでずっと泣いたり、皆さんを責めても何もならないってことに気付きました。亡くなったマイカにも顔向けできなくなるところでした。

 俺もエデバラに行って鍛えてきます。また同じようなことが起きても今度はやりたいことが出来るように強くなります。身も心も強くなってみせます。」


「きっとガンドロさんならなれますよ。今ここで決断できたんです。きっと前を向いて行けます。」



 ガンドロさんに俺はそう言った。一番悲しい時にそんな決断が出来るんだからきっと強くなれる、俺はそう思った。

お読み頂きありがとうございます。

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