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召喚された世界はスキルがものをいう  作者: 雷
【商業国家 エルバドス】編
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デモノプラント

 俺達は依頼を受けることにした。ただ俺は【デモノプラント】の詳しいことを知らない。だからここのギルドマスターに教えてもらうことにした。

 ギルド内には一応テーブルと椅子があったのでそこにみんなして座る。



「俺はここのギルドマスターのガンドロだ。【デモノプラント】の話をしたらいいのか?」



 そうガンドロさんが話したので俺達は頷く。



「えぇ、俺達は【デモノプラント】の事に詳しくないので、どれぐらいの大きさかとかどういう点について注意するべきかを教えてもらいたいんです。」


「大きさか・・・。そうだな、それはあんまりよくわかってないんだ。」


「そうなんですか?」


「あぁ、【デモノプラント】の本体って言うか大本は地中の中にあるでっかい球根なんだ。地中の中にあるからどれくらいかわからないんだ。そして地表にあるのが蔦や花だったりする。それを見たらどれぐらいの大きさの奴か判別は付くかもしれない。でもそれもちゃんと確認が出来てないんだ。花から幻覚を見せる花粉を飛ばすせいで近寄れないんだ。」


「なるほど、【デモノプラント】の一般的な大きさとかはわからないんですか?」


「そうだな、元々【デモノプラント】も深い森の中か、山の中にしか出ないはずなんだ。この近くの森ってそんな大きさじゃないんだが今回現れて驚いたんだ。だから正直俺もそこまで詳しくはないんだ。すまない。」


「そうなんですね。」


「一応ギルドの中で魔獣についての知識は広まっているから、今回もその中の事位しか俺も知らないんだ。実際に確認に行った奴は帰ってこなかった・・・。」



 そうなんだ。まぁ相手は植物っぽい感じだから、どうやって獲物を感知しているか普通のモンスターとも違うかも、偵察するだけでも難しいかもしれない。



「わかりました。じゃあ俺達で作戦を立てて討伐に向かいます。」


「あぁ、頼んでおいてなんだが無理はしないようにな。」



 ガンドロさんが心配そうな顔をして言った。良い人っぽいな。こういう人からの頼まれ事だったらこちらもやる気が出るのにな。

 俺達の話し合いに邪魔になるかと思ったのかガンドロさんは席を離れてカウンターに戻っていった。



「じゃあ、とりあえず作戦どうしようか?」


「いつもはこういう時はどうされてきたんですの?」



 俺が質問するとアリアが聞いてきた。



「う~ん、行って、見て、倒す。そんな感じ。」


「良くそれで今まで問題なかったですわね。」


「そうだね、俺達のスキルも相当のもんだし特に苦戦はしなかったからかな。」


「でしたら今回もその様に?」


「それを悩むんだよね。アリアとシータが入ったばっかりだし連携とかどうしようかと思って。

 折角だし2人も戦闘に参加してもらってレベルを上げた方がいいかなって思ったんだけど。」


「危険がなければ私はそれで構いません。ただ私の場合戦闘と言っても補助ぐらいしか出来ませんし。」


「そっか、支援魔法か。それを俺達にかけてもらって、俺達が倒したらレベル上がるのか。

 だったらまだ楽かもな。そうなるとシータだよな。」


「ん?」



 自分の名前を呼ばれたシータが反応する。 



「そう、どれぐらいの力を持ってるか俺達も把握してないし。ガイもブランも直接戦闘が主だから魔法を放って巻き込まれても困るしな。」


「ププに言えばちゃんと避けてくれるぞ。」


「あっ、そういうこと出来るんだ。そりゃそうか。精霊にも意思はありそうだしな。」


「うん、ププはシータのいう事聞いてくれる。」


「じゃあ決まりかな、さっさと倒してザールの街へ向かおうか。」


「Bランクの魔獣相手にするっていうのにえらく軽い感じなのですね。」


「大丈夫、ガイもブランも強いから。」


「もちろん、ダイゴ様もお強いんでしょ。」



 話がまとまったので俺達は【デモノプラント】を狩りに出かけた。本当に最近こんなのばっかりになってきたな。モンスター狩るより魔獣狩る方が多くなってきた。高ランクの冒険者ってこんなもんなんだろうか。



 俺達はギルドを出て町の外に向かった。そしてガンドロさんから聞いた【デモノプラント】の住む森を目指して歩いた。



「そう言えばアリアって異常状態を防ぐ支援魔法は使える?」



 俺は歩きながらアリアに確認した。



「えぇ、使えますわ。それを今回使用したらよろしいのですわね?」


「そうだね、基本はそれと万が一の回復かな。他の支援魔法も使ってもいいけどMPが持つかどうかわからないしね。」


「そうですわね。でしたら使うタイミングを教えて下さいませ。」


「わかった。そう言えば師弟契約もしておこうか。」


「なんですの?師弟契約とは。」


「俺が作った契約なんだけどね、奴隷契約とは違って選んだスキルだけを大幅に習得しやすくしたり、レベルを上げたりできるようになるんだ。俺は回復魔法も支援魔法も使えるから、俺が師匠になったら多分その2つはもっとスキルレベルを上げやすく出来ると思う。」



 そう言えば師弟契約を作ってから奴隷契約をした人と師弟になったことがなかったんだよね。ガイとブランは作った時にはもう大分強くなってたし。一応師弟契約を作った時にガイには協力してもらったけど、少しだけしか実験してなかったからちゃんとした効果まではわからないんだよね。重複で契約したら、かなりスキル習得良くなると思うんだけどな。



「そうなのですか?私はダイゴ様にお任せいたしますわ。」



 そう言われたので俺は【刻印術(ルールメイカー)】のスキルを付けてアリアと師弟契約を結んだ。今回は俺はアリアの魔法の師匠という事にした。



「シータは?」



 俺達が師弟契約をしてるのを見てシータが聞いてきた。



「シータはな~。俺は精霊魔法を使えないからな。元々精霊魔法もレベルがないみたいだからそれ以上育てることが出来ないみたいだし。どの武器を使うか決めてもないからまたザールについてからかな。」


「むぅ~。」



 俺がそう言うとシータは面白くなさそうな顔をして頬を膨らませた。こういう姿、見る人が見たらたまらないんだろうな。



「まぁ可愛らしい。シータさん、お姉さんが町に帰ったら何か美味しいものをご馳走しますので、機嫌を直して下さいな。」


「本当か!約束だぞ、姉様。」


「ふふっ、本当に可愛いですわ。」


 

 アリアの言葉でシータは機嫌を直したようだ。



「しかし、アリアもシータを見て可愛いとか思うんだな。」


「あら、私をどの様に思っていらっしゃるんでしょう?」


「いや、まぁ、なんて言うか。」


「可愛らしいものは素直に可愛いと思いますわよ。ダイゴ様は他の方があの表情されている方が可愛いと思うのでしょうけど。」



 アリアに言われて考える。ブランが拗ねて頬っぺたを膨らませている所を想像する。うん、可愛いな。何時間でも見てられる。そして俺も何とかご機嫌取りたくなるな。はっ!そう言う事か。こういう気持ちだったんだな。



「何をお考えか大体予想が付くのですけど。私の方がまだ少しましの様ですわね。」



 閃いたような顔をした俺を見たアリアがそう言った。



「シータさんの事可愛いとは思いませんの?」



 アリアに言われた。可愛いか・・・、まぁ一般的にみて可愛いんだろう。確かに俺も可愛いと思う。でもどちらかと言うと子犬とか、子猫を見て可愛いという感じに近い気がする。ペット感覚とか大分失礼な気がするな。でもまぁそういう事なんだろう、シータを可愛いって思うのって。



「もういいですわ。ただもうちょっと女の子の扱いを考えた方がよろしいかと思いますわ。」



 考えてる俺を見てアリアが言った。怒られてしまった。でもそうか、最近女の子と関わることがなかったから気の使い方を忘れているのかもしれない。ちゃんとしよ。


 そんなことをしながら俺達は歩いて大分町から離れてきた。そして街道を逸れて林に入って進む。あれ?この道って。



「あれ?この道って通らなかったっけ?シータを見付けた時に。」


「そうですわね。もう少し行けばシータさんとお会いした場所ですね。【デモノプラント】はそのもっと奥にいるらしいですけど。」



 俺の問いにアリアが答えた。今言った通り昨日ここへきた。その時はシータをさらった男達に気付いた時点で気配を探るのを止めてたから、この先のことまで調べてなかったな。もう少し男達が違う道を進んでいたら【デモノプラント】とかに襲われていたかもしれない。アリアが直ぐにでも行かないと間に合わなくなるって言ってたのはそう言う事だったんだろうか。

 とりあえず俺は【索敵(レーダ―)】の範囲を広げて様子を探る。確かに結構奥の方に【デモノプラント】の気配があるな。



「確認したけど、ここらから奥の方に行ったら確かに【デモノプラント】がいるみたいだ。慎重に進もう。アリアは支援魔法を掛けたらどれぐらい効果は持つ?」


「MPを大幅に割けば結構な時間は持つと思いますわ。もう使った方がよろしいですか?」


「そうだね、その花粉ってのがどの程度の範囲届くかわからないからね。」


「わかりましたわ。」



 アリアはそう言って支援魔法を詠唱し出した。



「【清浄の守り(ピュアスクリーン)】」



 アリアがそう唱えると薄い緑色した光る膜が俺達の体を包む。支援魔法の中では中級レベルの異常状態を防ぐ魔法だ。これで幻覚効果のある花粉は問題ないだろう。



「【天狗の隠れ蓑(ヒドゥンマント)】」



 俺も支援魔法を使う。俺のオリジナルの支援魔法だ。昔使った【隠れ蓑(ブランドマント)】の上位版にあたる。【隠れ蓑(ブランドマント)】は姿も完全に消えずに出した音や匂い、気配なんかは消えない。【天狗の隠れ蓑(ヒドゥンマント)】はその全ても隠すことが出来る。それをアリアとシータに掛けた。これで2人が【デモノプラント】からいきなり攻撃されるってことはないだろう。広範囲に無作為攻撃を掛けられたら別だけどな。2人の姿は見えなくなったが魔法を使った俺には見えるようになっている。



「これって姿が消えてるのですか?」



 アリアの声がした。自分の手とかを見て透明になってるのが分かったんだろう。



「あぁ、俺のオリジナルの支援魔法だよ。これで【デモノプラント】からいきなり襲われたりしなくなったはずだから。ただ広範囲に攻撃されたら防御的な魔法じゃないから防げないから注意してくれ。」


「えぇ、しかしこれは姿が完全に消えてますわね。これを使えばもしや・・・。」


「俺にはちゃんと見えてるからな。後自分で使えるようになっても俺は見付けるスキルもあるからな。」


「ちっ。」



 アリアが舌打ちで返した。お前の考えてることぐらい読めるんだよ。透明人間になって何をするかなんて、俺が考え付くのと同じ考えをしたってバレるに決まってるだろ。



「準備も出来たし【デモノプラント】の所へ向かうぞ。」



 俺はそう言ってまた木々の中を進み始めた。

お読み頂きありがとうございます。

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