巨人
俺は1人急いで街まで帰った。
そしてガイ達と合流して弟子たちの帰りを待った。俺から遅れること1時間程の時間で弟子たちが街へ帰還した。戻ってきた弟子たちの顔は誇らしそうにしていた。俺達は弟子たちの功績を称えた。まだ何匹か【ストーンフロッグ】は残っているが今回の事もあり、後の奴らも直ぐに退治できるだろう。弟子たちが得たものは大きい。
それから俺達と一緒に弟子を分けて【ストーンフロッグ】の討伐に向かった。全ての【ストーンフロッグ】を任せても良かったんだけど流石に時間がかかり過ぎると思った。時間が経ってまた増えたりすると厄介だしな。でも俺達は一緒に行ったがそこまで手を貸す必要はなかった。弟子たちが【ストーンフロッグ】を倒したことによってレベルも上がったりしていたし、スキルレベルも上がったからだ。倒せば倒すほど弟子は強くなるのでドンドン倒すのが早くなっていた。
そして街の近くにいたすべての【ストーンフロッグ】を討伐することが出来た。卵とかも残ってないかちゃんと調べた。もう卵はないみたいだ。これで【ストーンフロッグ】が沸いてくることが無くなったかと思う。もしかしたらまた自然発生で出てくるかもしれないけど弟子達も成長して自分達だけでも倒せるようになったから大丈夫だろう。
こうして何とか行商隊の護衛メンバーを育て上げることが出来た。ちょうど一月位だった。
そして一月経つと【ソルトプラント】も出来上がる。アンダーソン商会の人達が実を収穫して中の塩を取り出して袋詰めしていく。今回で結構の量は取れた。でも実も増えたから次回から収穫量はもっと増えることになるだろう。
そんな時に丁度ヒューイさんが街に戻ってきた。
ヒューイさんはエルバドスの首都リグファーレにある商業ギルドの本部へ行っていた。先日話した【ソルトプラント】が作った塩を商業ギルドとして認めて貰う為に話し合いに行っていたんだ。本当は俺が行った方がいいんだろう、商会の代表になって商品を売り出す立場なんだから。ただ俺が行くと色々聞かれて帰れなくなる可能性があると言われた。それに行商隊を鍛えないといけなかったしな。そこでヒューイさんが行ってくれるという話になってお任せした。
俺はヒューイさんに呼ばれて商業ギルドを訪れた。商業ギルドはどちらかと言うと冒険者ギルドよりもアンダーソン商会の方が近いという作りだった。まぁ冒険者と違って商会ギルドに登録していても、そんなにギルドに訪れることはないしな。一階は元の世界の銀行みたいな感じだった。カウンターがあってその奥で皆机を並べて働いていた。少し違ったのが買取の窓口とかがあった。持ち込んだ商品を買い取ってくれるらしい、主に一般の店で買い取って貰えないような魔法具とからしいけど。
2階に上がってギルドマスターの部屋へ行く。ここら辺は冒険者ギルドと変わりない感じだった。入ったギルドマスターの部屋もそう大差ない。
部屋に入った俺はヒューイさんの前に座った。
「今回はお手数をおかけしました。それでいかがでしたでしょうか?」
「いえ、こちらとしてもなかなか楽しかったですよ。【ソルトプラント】を見せた時の反応と言ったら、皆目を見開いて驚いてました。お偉いさんのそんな姿が見れることってそうそうありませんしね。」
ヒューイさんはそう言って笑っていた。
「それでちゃんと【ソルトプラント】は商業ギルドに認められて、商品として問題ないとお墨付きを頂けました。」
「そうですか、それはありがとうございます。」
「いえ、ただやっぱり条件を付けられました。」
ヒューイさんが目を細めていった。
「そうですか、考えていた通りですね。」
ヒューイさんが本部へ行く時に条件付けで認められるかもしれないと言っていた。その時に俺も詳しい話は聞いている。
「今回は出来た塩の3パーセントをギルドに収めよという事でした。」
商業ギルドは元々商人たちの互助会に近い。
商人たちが自分達でお金を出し合って作り、自分達の為になる様に運営している。保険の様なものもそうだし、商品の安心性を認めたり、価格を決めるのも自分達の商売をしやすくする為だ。だから商業ギルドは基本的には自分達では商売はしていない。一応商人にお金を貸したり、商品の買取をしていたりするがそれは儲ける為ではない。だが商人たちが出したお金だけでは到底運営してはいけない。そこで唯一の商売相手が国なんだ。
商会などが取り扱っている商品を商業ギルドがいくらか収めて貰い、国に売っている。国はそれを違う国に売りつけて外貨を得ている。他国独自の品物と物々交換になる時もあるようだけどね。
だから今回の【ソルトプラント】の塩を売るとなっても商業ギルドにいくらか収めないといけなくなるだろうと言われた。俺は最初【ソルトプラント】の種や栽培法を全部寄こせと言われるのかと思っていた。だが商業ギルド自体は生産したりしないし、それぞれの商人から商売する物自体を奪うことはしないと言われた。
そういえば、そうか。商業ギルド自体は儲けようとはしていない。1人の商人が売ろうとしてるものを独占したら、その商人は商売できなくなってしまって儲けれない。それでは商業ギルドの意味がない。1人1人の商人が安全に商売をする為にみんなで作ったものなんだしな。だからいくらかの塩を商業ギルドに収めるという話は良くある話なんだ。聞いていた話だし問題ない。
「まぁ妥当な数字だと思います。ただですね、もしかすると商業ギルドではなく国からの打診があるかも知れないという話でした。」
ヒューイさんがため息を吐きながら言った。
まぁこれも考えてた話だな。
商業ギルドは俺が素晴らしい商品を作れば、それを収めて貰って国に高く売れギルドとしても運営しやすくなるから得なんだ。しかし国はわざわざ商業ギルドにお金を払わなくても、【ソルトプラント】を国の事業として行っていけば外貨を獲得しやすくなる。だから俺を直接誘って国仕えにしたいんだろうってことだ。それだけの価値のあるもんだとは自分でも思うけどね。国仕えは面倒なんだよな、多分。もしかしたら俺の商会が国仕えになるだけかもしれないけど、結局それもどういう話になるか実際の所分からない。商業ギルドとしてはこのままの方がいいっていうのと、国の為に貢献はしたいっていうのとがあるんだろう。これも今考えても仕方ないか。
「そこら辺は申し訳ないですが、ケビンさんとヒューイさんにお任せしてしまおうと思います。
一番はこの街の人が幸せに暮らしていって貰えることなんで、それが出来るのであればどういう形になっても俺は問題ないです。ただ俺がどこかにずっといないといけないとかは勘弁してほしいですけどね。」
「そうですか、では私達も頑張ります。
そう言えばこれで売る商品も問題ないという事になり、行商隊も出来たんですよね?
商会として登録してもいいかと思いますよ。
商会の名前はどうされますか?」
ヒューイさんに聞かれた。
そうか商会の名前か、別に俺の名前を付けなくてもいいんだよな。
パーティ名がダイザンだから同じ名前の商会があったらそこの人間だってバレるかな、別々にしておいた方がいいかな。
「えっと、そうですね。
じゃあ【タイタン商会】でお願いします。」
こうしてやっと俺は商会を作ることが出来た。
お読み頂きありがとうございます。
経済の話は難しいです。




