理由
「俺はその【師弟】と言う契約を行商隊に入る人にして貰って強くなってもらおうと考えてるんです。
そう言えば紹介するのを忘れていまいしたが俺のパーティのガイとブランです。」
俺はそう言ってケビンさん達に紹介するのを忘れていたガイとブランを紹介する。
「ガイは剣術のスキルレベルが10で、ブランが身体を強化する気功術と言うスキルがレベル10なんです。それにキースも弓術が高レベルなのでそれぞれの師匠になって貰おうかと思ってます。俺は魔法の師匠になってもいいかと思ってます。」
「剣術のレベルが10だと!?そんなのAかSランクの冒険者ぐらいでしか聞いたことないぞ。」
ロイドさんが驚いて言った。そうなのかやっぱりそこら辺のランクになるんだろうな。
「そうなんですね、とりあえず俺達が師匠になって教えたら一月でそれなりの強さにはなると思います。後は弟子になる人のやる気次第なので絶対にとは言えないんですが。」
そう、結局は教わる方の努力次第の部分が大きい。いくらきっちり教えてもやる気がなかったりしたら結局身に付かない。
「冒険者ギルドでも冒険者の方を鍛えようとするんだったらこの方法を取ったらいいと思いますよ。」
「そうか、ただ俺のギルドにはそこまで高ランクのスキルを持った奴はいない。俺でも剣術のレベルは6しかない。」
「でしたら、俺達が行商隊を作る時に一緒に参加してもらうとかでしょうかね。」
「いいのか?」
「えぇ、やる気があるんでしたらこちらとしては何人弟子をとっても同じなので。」
「ならそうしよう、ギルドで働いてるやつに声を掛ける。
しかしこんな方法があるならもっと世に広めたらどうだ?」
「そうなんですよね、それは考えたんですけどまだまだ試作段階なんです。作ったばかりのものなんでまだまだ改良の余地がありそうで。冒険者ギルドでこういう強くなり方があるって広めて貰ってもいいですよ、ロイドさんが考えたいう事にして貰って。」
「なんでそこで俺が?ダイゴが世に広めたらいいだろうに。」
「その、あんまり目立ちたくないんですよね。
そう言えばケビンさん達に聞きたいことがあったんです。」
「なんでしょう?」
「さっきここだけの話にしてくださいと言いましたが、俺が勇者であること普通に言った方がいいのか、隠した方がいいのかってことなんですけど。
なんかグラントでは勇者を外交の道具にしようって感じがあって、もしこの国の偉いさんに俺が勇者であることがバレたらこの国でもそんな風な感じで扱われるのかなって思ったんです。正直俺はそんな風に扱われるのは勘弁してほしいんですよね。」
「それは、難しいところですね。」
ヒューイさんが答えてくれた。
「人々の代表として勇者を全ての国が同じ様に支援していこうという事であれば問題ないと思うんですが。グラントが自国が召喚したのだからどうやって勇者に動いてもらうかを決めるなんてことを言いだしたら、恐らく他の国も勇者を抱き込んで同じような立場に立とうとしたりするでしょうね。
私はしばらくの間は隠しておいた方がいいと思います。勇者が今のこの世界にとってどういう立場なのかがはっきりするまでの間は。
グラントもどうするかを決めかねていて勇者を表に出さないのかもしれませんね。」
「そう言えば、召喚された時俺はスキルで勇者であることを隠したんですけど、その時に勇者は3人いるのはわかっていて1人足りなくなったんですよね。それで勝手に別の国が召喚したんだろうってことになったんです。その他の国がどう立ち回るかが分からないから勇者を表に出してないってこともあり得るんですね。」
「そうですね、そんなことがあったのでしたら、グラントがそう考えても不思議はないですね。」
「私もとりあえずはあまり口外しない方がいいと思いますよ。言ってしまった後は取り返しは付かなくなりますが、後から伝える事も出来ますし。」
ヒューイさんに続けてケビンさんもそう言った。
「そうだな、旅の冒険者を続けたいんなら言わない方がいいだろう。」
ロイドさんも言わない方に賛成みたいだ。
「しかしなんで冒険者なんてやってんだ?色んなスキル使えるんだったらどんなことしても暮らしてはいけるだろうに。」
「それは、まぁ、俺も勇者として召喚され、魔王と戦わなくちゃいけなくなるかもしれないんで強くなっておかないとって思いました。
グラントの城にいた時も一応訓練とかはしてたんです、でもなんか違うなって思ったんです。実際に鍛える以外にも強くなる為には必要なものがあると思いました。
この世界の事を好きになりたかったんです。
この世界の色んなものや、いろんな人を好きになってそれを守りたいと思えるようになりたいなと思ったんです。人は守りたい物があると強くなれるって、俺はそう思ってるんです。城にいる時は皆ただ勇者だからって媚びたり、勇者という自分達を守る道具だみたいな扱いだったり、どうしても好きになれそうになかったんです。だから旅に出ていろんな経験をして、いろんな人と出会ってみたかったんです。冒険者になったらモンスターと戦ったりして強くもなれそうでしたし。
だから旅の冒険者としてやってきて、これからもそうしていきたいんです。」
「なるほどな。」
質問したロイドさん以外の人も頷いている。ガイ達もなんか頷いてる、そう言えば好きになりたいうんぬんの話はみんなにもしてなかったかも。
「でしたらこの件はやはりここだけの話にしておきましょう。」
「そうですね。それがいいでしょう。」
ケビンさんとヒューイさんが口々に言う。
「お話を聞いて、ダイゴさんが自分の儲けは考えていない商会を作ろうとしたのか、やっとわかった気がします。
人を好きになって、守りたい物を作りたい。そんな思いがあるから普通の人では考えない商会を作ろうと思ったんですね。儲けるのが目的ではなく、この街を、そしてそこに暮らす人を守ることが目的なんですね。その思いにいたく感動しました。」
ヒューイさんがそう言った。
「いや、そんな、そこまでの事を考えてるというと違う気がしますけど・・・。」
やっぱり面と向かって感動したとか言われると恥ずかしいな。
「えぇ、私もそんなことを考えていらっしゃったとまではわかりませんでした。
私だったらそんな考えにはならないでしょう。素晴らしい考えの持ち主だと思います。」
ケビンさんもそう褒めてくれる。う~ん、俺はただこうしたいなって自分で思ってるようにしてるだけなんで褒められることは何もしてないと思うんだけどな。
「そうだな、この世界の俺達の方がそれは考えるべきはずの事なのにな。それを呼ばれたお前が考えてるだなんてな。大した奴だ。」
ロイドさんまで・・・。
なんかこういうことを言うのって恥ずかしいな。でもなんか認めてくれたっぽい気がして嬉しい。
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