ストーンフロッグ
「とりあえずはやることが少しはっきりした気がします。
まずは私たちは魔獣の討伐に向かいます。討伐終了後、街の外に畑を作り外壁を構築します。
私の商会設立の承認は、それらの確認取れてからでも結構です。」
俺はそう3人に告げる。
「ダイゴさんがそれでよろしいのであれば、私は問題ありません。」
ヒューイさんがそう言ってくれた。
「私は今の時点でも承認するつもりですので問題ありません。」
ケビンさんも続けてそう言ってくれる。
「俺はそれだけじゃ納得できねぇな。魔獣を討伐しに行くんだったら俺も一緒に行かせてもらおう。お前らがホントにそんな力持ってるのか見極めてやる。」
ロイドさんは何やら納得されていない様子。一緒に行くのは構わないけどね。もう色々とやろうと決めてるんだし、俺達の実力がバレても問題ないだろう。
「わかりました。では今から討伐に向かいますか。」
俺はそうロイドさんに言った。
「はぁ?今からだと。」
「えぇ、私達は特に準備も必要ないので問題はありません。あっ、ギルドに行って依頼を受けた方がいいんでしょうかね?」
「そんな必要はねぇ。俺がギルドマスターなんだから、それくらい俺の権限で後からでも依頼を受けてたことにしてやるよ。じゃあ旅の冒険者様とやらの力を見せて貰おうじゃねぇか。」
ロイドさんは立ち上がって俺のところまできて、下から舐め上げるかのように見て言ってきた。どこぞの輩かお前は。
「では街を出て討伐に向かいましょうか。そこまで時間はかからないと思います。」
「上等だ。おい、ケビン誰か冒険者ギルドまで走らせろ。ギルドのもんにもうしばらく戻れないと伝えさせろ。」
話もまとまったしさっさと【ストーンフロッグ】倒しに行きますか。まだまだやることは山積みだしな。
俺達は言った通りケビンさんのお店から直行して、そのまま街の外まで出た。
あっ、しまった。ガイとブランにこのこと伝えてなかった。
思い出した俺はすぐさま【念話】でガイとブランに連絡を取った。
「ガイ、ブラン聞こえる?」
「えぇ、主聞こえてますぞ。どうかされましたかの?」
ブランが答えてくれた。
「えっと、今から成り行きなんだけど【ストーンフロッグ】の討伐に行ってくる。」
「えっ?わしらも合流した方がよいのですか?」
「いや、今回はキースもいるから俺達2人で行ってくる。1人余計なのが付いて来てるけどね。」
「はぁ、まぁ主がそうおっしゃるのであれば問題ないんでしょう。」
「うん、大丈夫。そんな訳でそっちに合流するのが遅くなるかも。適当に過ごして貰っててもいいかな?」
「了解しました。隣でガイも頷いておるのでこちらは気になさらんで下され。」
そう頭の中でガイとブランに伝えた。
「それでどうするんだ?目撃された情報だと色んな所に出没するらしいぞ、奴は。」
俺が【念話】で話す為立ち止まったのを見て悩んでいるのかと思ったのか、ロイドさんが声を掛けてきた。
「あぁ、それなら問題ありません。どこにいるかはわかっています。」
俺はそう言って、いつもの様に【索敵】を使って【ストーンフロッグ】を探す。そしてアッという言う間に見付ける。もう慣れたもんだなこの作業。
「行きましょう。」
俺は2人に告げ歩き出す。
「おい、待てよ。どういうことだよ。」
ロイドさんが不服そうな声をして聞いてくるが無視する。んなもん簡単に教えるかってんだ。
キースの方を見ると無言で、なんだか思い詰めた様な表情をしていた。
う~ん、緊張してるのか。それとも親父さんをあんな目に合わせた【ストーンフロッグ】に怒ってるんだろうか。今回はキースにやらせてみようか、そんなことを考える。
俺達は街道を進み、途中から道を逸れ平原を進む。そしてピタリと足を止める。
「おい、何でいきなり立ち止まるんだよ。」
ロイドさんが俺に言った。
そりゃ当然【ストーンフロッグ】を見付けたからに決まってるだろう。
俺達の大分先に小さいピンポン玉の様なものが見える。それが【ストーンフロッグ】だ。
ここからは普通の人はほとんど姿を確認できないだろう。だが俺は【千里眼】があるし、キースも【遠視】のスキルを持ってるからこの位置からでもしっかりとその姿を確認できる。これだけ距離が離れていれば【ストーンフロッグ】がこちらに気付くことはないだろう。さてどうやって討伐するかを考える。
【ストーンフロッグ】の事も俺は本で読んだから、どういう魔獣かは知っている。
見た目はカエル、そうバカでかいカエルだ。この世界の生物は元いた世界と似た生物が結構いる。しかしサイズが違うんだよな。【ストーンフロッグ】は大体体長が2mくらいあるのが普通だ。そんな名前をしているが肌は固かったりしないらしい。灰色の体で、その表面には絶えず粘液が流れ出てる。その粘液は良く滑るみたいで、剣や矢で攻撃してもヌルンと受け流されるらしい。魔法も効きづらく決定打を与えるのが難しいとのこと。
そして一番の特徴が口から触れたものを石に変える粘液を出すという事。この攻撃がある為【ストーンフロッグ】はBランクの魔獣として扱われている。
その粘液を対象の足や腕に吐き掛けて石に変えて、攻撃出来なくしたり動けなくする。それからゆっくりと捕食するんだと。そしてその粘液に対抗するのがなかなか大変なんだ。掛かったものを問答無用で石にする、その場合は粘液を全て避けきるか防がないといけない。避けるにしてもかなり広範囲に大量に吐き出したりするみたいだから全て避け切るのは難しい。防ぐのも魔法で盾を作って防ぐか、普通の盾なら一度防いで使い捨てにするかぐらいだ。一応石化を防ぐ魔法や、装備はある。ただ魔法は支援魔法の中でも上位のものだし、装備もかなりレアな装備だ。普通の冒険者だったらそんな魔法使えないし、装備も持ってない。
倒し方だが本には書いてなかった。Bランクの魔獣なんて滅多にでないし、倒すとしてもBランクの冒険者パーティがいつくかか、Aランクの冒険者が挑むなどになる。BランクやAランクも滅多に倒すようなことがない魔獣の倒しかたなんて一般には伝わってこないんだ。そこまでの高ランクの冒険者になれば、他の人とは違った戦い方が殆どでそれを広く伝えるとは思えない。要するに倒す場合は自分で考えろってことのようだ。
さてどうするかな。
俺には色々と倒し方が浮かんでる。遠くから魔法で倒してもいいし。接近戦になっても俺は【異常状態無効】のスキルも使えるし、支援魔法を使ってキースを石化しないにも出来る。ただ2人共基本的には遠距離攻撃がメインだ。わざわざ近づくこともないだろう。それに今回はキースに任せようかなっと思ってるし。
「どうするキース?お前がやる?」
そうキースに聞く。
「はぁ?何の話だよ。」
俺の言葉にロイドさんが反応するが無視する。
「兄貴、俺に出来ますかね?」
「あぁ、出来ると思うよ。」
キースが不安そうな顔をしているので、俺は笑顔で答える。
「俺やるっす。親父の受けた痛みをあいつに返してやるっす。」
キースはそう言って自分の【倉庫持ち】から弓と矢を取り出して構える。
その行動をみてロイドさんは驚いていたが、自然と空気を読みとって黙ってキースを見つめる。
俺は支援魔法から【筋力強化】、【集中力強化】、【武器強化】をキースに使う。キースの体と弓に薄い光の膜が出来、覆う。
「確か【ストーンフロッグ】は顔の所はほとんど粘膜に覆われていないってことだった。目と目の間、人で言う眉間を狙えば一撃で倒せるんじゃないかな。」
「わかったっす。」
俺はキースにアドバイスをする。
キースは弓に矢を番えたままゆっくり深呼吸をする。
そしてフッと軽く息を吐いた瞬間に弦から指を離した。すると普通の目では捉えられないスピードで矢が放たれた。矢は少し放物線を描き、一直線に【ストーンフロッグ】の眉間に吸い込まれるように刺さった。矢を受けた【ストーンフロッグ】はそのままベタンと地面に広がる様に倒れた。【千里眼】に【鑑定眼】を付けて確認する。ちゃんと倒したみたいだ。
「やったな、キース。」
「はい、兄貴。俺やったっす。」
「やったって何を・・・。まさか!?」
「そのまさかです、【ストーンフロッグ】を討伐しました。」
ロイドさんが何が起こっているのかわからないといった感じだったので教えてあげる。
「とりあえず見に行ってみましょうか。」
俺はそう言って歩き出す。渋々ながらもロイドさんは俺達の後をついてくる。
いた場所から数百メートル歩いて【ストーンフロッグ】の死骸のある所に到着する。
「まさか、ホントに・・・、さっきの矢だけで倒したのか。」
ロイドさんは信じられないようなものを見た顔をして言った。
「そうですね、キースの矢の一撃で倒しました。目の前のこれが証拠です。
私が言った通り、余裕で【ストーンフロッグ】を倒せましたね。さぁ街に戻りましょうか。」
俺はそう言って【ストーンフロッグ】を【倉庫持ち】に入れ、街に戻る準備をする。
「消えた!?もしかして【倉庫持ち】の中に入れたのか。」
「えぇ、そうですよ。このまま放置するわけにもいきませんしね。」
「本当にお前はCランクの冒険者なのか?」
「間違いなくCランクですよ、ギルドカードお見せしましょうか?」
「そんなの信用出来るか、こんなのCランクの冒険者が出来ることじゃない!」
「出来る出来ないは今実際に出来ることをやって見せましたよね。それにCランクの冒険者が強いとおかしいんですか?別にギルドのランクを上げなくても強くはなれるはずですが。」
「それはそうかも知らんが、やはり異常だ。」
「先程私は強くなる方法があるとお教えしましたよね?」
「あぁ、その方法でここまで強くなれるのか?」
「本人の努力次第の部分はありますが、強くなれると思いますよ。」
「私の言葉に少し興味を持って頂けましたか?
ただこんなところでお話しするのもなんだし街へ戻りましょう。」
俺はそう言って呆気に取られているロイドさんをおいて街へ向かって歩き出した。
色々とムカついてたから後先考えずにやっちゃったっぽいな。もうちょっとちゃんと立ち回った方が良かったかな~。なんか俺変なキャラになってる気がするんだけど。慣れないことはするもんじゃないな。
お読み頂きありがとうございます。
まさかのBランク魔獣が一撃です。しかもキースが。
キースに活躍の場を作ってあげたかったんですけど一瞬にして終わってもた。




