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召喚された世界はスキルがものをいう  作者: 雷
いざ世界へ
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強襲

 大きな岩の壁を目指して進んできた。砦もどういうものか見えてきた。

 岩の壁の一部分を囲うように木製の足場や、塀、柵があった。。大きさは20m位の幅で高さは15mくらいか。門の様なものを支える感じに作ってある。門を守るために後から周りを囲って行ったら砦みたいになったのかもしれない。

 門は左右に開くタイプのものではなく大きな木の壁を上に持ち上げるタイプ、跳ね上げ式っていうのかなそんな感じみたいだ。今は開いている様で遠くからでも壁の向こう側が見える。何かあった場合は今上がっている門を下におろすんだろう。

 

 俺達はその砦の前にある町のようなところにやってきた。しかし町と言うか村というか。こういう場合ってなんて説明したらいいんだろう。

 とりあえず宿屋や武器屋、道具屋だったり酒場と一緒になった食事処はあるが民家っていう家が少ない。ここでは国境を超える為に準備をする人用の施設はあるが生活をしてるだけの人はいないんじゃないかな。そういう人たち用に商売をしている人が住んでるくらいなんだろう。でも人の姿は多い。冒険者や商人っぽい人がそこら辺をうろうろしている。宿場町っていうのが正しいんだろうか。立ち寄るだけの町ってことで。


 

 しかし何か空気感が今までに行った村や、街なんかと違った。こういう場所だからかと思ったけどブランやキースも違和感があるみたいだった。

 こういう時は情報収取をした方がいいってことで俺達は昼食を取るのと合わせて酒場兼飯屋に入った。

 俺とガイは普通にテーブルで飯を食っていたが、ブランとキースは酒を片手にいろんな人の所に話をしに行っていた。こういうことはブランやキースの方が慣れているだろうから任せた。店の人と話したり、酒を奢って他の冒険者から情報を聞いてたようだ。

 結構な時間が経ち2人は俺達がいるテーブルに戻ってきた。

 そして2人が持って帰ってきた情報を聞いた。



 なんでも最近この近くで魔獣の姿が見かけられてピリピリしてるという。

 ここには冒険者ギルドはなく防衛は砦にいる兵士の役目だ。

 壁のこっち側の砦にはグラントの、壁の向こう側にも同じような砦がありそちらはエルバドスの兵士がいるらしい。万が一の場合があった時は門を閉じて、その門を守るためにいる。それ以外にも国境を超える人を調べたりしてるらしいけど。というか普段はそんな事しかしてないからもし魔獣が来たら戦わなくてはいけないっていうプレッシャーでこんな空気になってるんだろう。ここにいる冒険者達も、もし魔獣が現れたら自分達も襲われることになるし、そんな兵士とかいても役に立たないだろうってことが分かってるんだ。

 姿が見かけられた魔獣は【アーミーインセクト】という。

 俺も本で見たことあるからどんなやつかは覚えてる。

 まず見た目はでっかい虫。外見は蟻みたいで体長1m位ある。ただ個体差が大きいらしく大きい場合は2mを越えるものもいるらしい。

 性格は非常に獰猛でなんでも食べるらしい。それだけなら魔獣とは言わないんだが、この魔獣は魔法を使う個体がいるという事。

 さながら軍隊の様な行動をするらしい。兵隊の役の奴が獲物に襲い掛かり、何匹かに1匹の割合で隊長クラスの奴がいる。その隊長クラスの奴は土魔法を使うらしい。そして結構な数で行動する。その数は100匹程にもなる。

 兵隊役の奴はそこまでの強さはなくて特殊な攻撃もしてこずに、噛みついたり引っ掻いたりする位で強さはランクで言うとFとEの間ぐらい。だが数で襲ってきて、恐怖心がないのか少しくらいダメージを与えても怯まずに向かってくるらしい。その為にもし討伐する場合はランクはCか場合によってはBくらいになるらしい。1匹位なら問題ないが数が多くなるほど討伐が難しくなるという変わったタイプの魔獣だった。


 その厄介なのが近くにいるかもしれない。確かにピリピリした空気になるよね。

 でも俺達が通り過ぎるまでどっかで大人しくしておいて欲しいもんだ。



 そう思ったら外でドーーーンッとバカでかい音が響いた。

 まさかと思って店の外に走って出て辺りを見回すと、先程まで開いていた門の前には大きな木の壁があった。跳ね上げ式の木の門を下ろしたのか?しかしそうしたってことはもしかして。

 俺達は慌てて閉じた門がある砦に向かった。



 木の門の前には何人かの冒険者と商人なんだろうか一般人ぽい人たちが兵士たちに言い寄っていた。

 門が閉じたことで何が起きてるか何となくわかってる者は逆に門から逃げる様に離れていっている。俺達が門に着くまでに大勢の人間とすれ違った。



「【アーミーインセクト】が出たんですか?」



 俺は1人の兵士を捕まえて聞いた。

 兵士たちはバタバタ焦っている様だった。自分たちはここから離れられないし気が気じゃないだろう。



「あぁ、でも出たのはエルバドス側だったんだ。だから門を閉じた。」



 兵士はそう言って少し安心したようだが、門を突き破ってこっちに来るかもしれない恐怖があるんだろう。笑みを浮かべてはいたが顔色は悪かった。



 そうか向こう側か。このまま何もしなければもしかしたらこちら側には何の被害も出ないかもしれない。だが、俺はキースとブランの顔を見る。二人はエルバドス出身だ。家族もそこに居る、ここからだと距離は離れているから家族には被害は出ないだろうけど、自分の国が魔獣に襲われてるのを聞いていい気持にはならないだろう。2人共表情が暗かった。だったら俺のすることは決まってる。



「すいません、俺達は門の向こう側に行きたいんです。門を少しだけでいいんで開けてもらえますか?」



 そう門番に言った。



「はぁ?そんなこと出来る訳ないだろ。もし開けてその隙にこっちまで奴らが来たらどうするんだ。」



 予想していた通りの答えが返ってきた。



「わかりました、じゃあ俺達は勝手に門の向こう側、国境を越えてエルバドスに行きますが問題ないですか?」



 俺は大声を出して聞いた。近くにいた冒険者や一般人がなんだなんだと注目してくる。



「出来るもんならやってみろ。今そんなこと出来るんだったら問題なんかあるもんか。」



 兵士は笑って答えた。良し言質(げんち)は取れた。周りの冒険者とかも今の話を聞いててくれただろう。

 俺は門の前から離れてぐるっと回って岩の壁の方に行った。

 あれだけの見得を切ってどこかへ行ったのを笑いに来たのか兵士も俺の後をついてきた。そして何人かの野次馬も来た。

 俺は岩の壁に手を付き唱える。



「【奈落の穴(アビスホール)



 俺の言葉に従って手を付いた岩の壁に大きな穴が開く。直径2m位の円形の穴が真っすぐエルバドス側に伸びている。

 俺が使ったのは落とし穴を掘る土魔法だ。岩にも穴をあけることは出来る。しかし普通は国境にある岩の壁にこんな穴を作ることは出来ない。この壁は魔力を使って補強されているからだ。表面には魔力の層があって魔法を受け付けないし、ハンマーで殴っても傷一つ付かない。

 ただそんなの俺には関係ない。土魔法は最高レベルだし魔力操作もお手の物、地の魔力自体も普通の魔法使いの何倍もあるんだ。だから俺より弱い魔法の力なんていとも簡単に突破できる。

 俺は合図をして後ろにいた3人を穴を通って向こう側に行くように指示する。

 そして俺も壁に空いた穴に入る。



「あぁ、俺達が通り抜けたら穴は塞ぐんで。」



 呆気にとられ言葉を失くしている兵士とその他の人にそう言って、俺は岩の壁の中をエルバドス側へ走り出した。走りながら【土の壁(アースウォール)】を作る要領でグラント側から穴を塞いでいった。

 その間に【索敵(レーダ―)】を使ってエルバドス側の様子を確認する。

 攻め込まれてからそんな時間が経ってないし酷い状況じゃなきゃいいけど。

 そう思いながら俺は目の前に見える少しの光に向かって走った。

お読み頂きありがとうございます。


次回防衛戦です。

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