キースの修行
翌日俺達は宿を引き払いリステルの街から出発した。
この街から乗合馬車にでも乗ろうかと思っていたのだが、それは止めて徒歩で旅を続けることを選んだ。一番の理由はキースを強くすること。
乗合馬車だと移動は早く済むが他の人の目があってなかなかスキルの訓練とかが出来ない。徒歩であれば適当な場所でモンスターを相手にしながらでも出来るだろうと思って俺が提案した。
三人に異論はなく俺達は歩いてリステルの街を後にした。
一応昨日の夜にキースがどう強くなりたいかを確認したんだが、特にキース自身に特に考えがあった訳ではなく俺に任せると言われた。
それならばと後方支援を出来るようになって欲しいと頼んだ。ガイもブランも前衛で真っ向から敵に向かっていくスタイルなので短剣持って一緒に突っ込まれても戦いにくいと思ったからだ。
それに俺には考えがあった。
だからキースには遠距離でも戦えるように弓を使って強くなってもらうようにした。
リステルを出る前に街で弓と矢を大量に購入した。
そして旅の途中途中で立ち止まっては弓の練習をした。
俺が【弓術 LV.10】を付けてキースに教えるといった方法だ。的を作ってひたすら狙った。俺は【弓術】以外にも【命中率アップ LV.10】とかもつけて訓練していたので面白い様に的の真ん中に矢が刺さった。キースも特に戦い方に得意不得意がなかったようで直ぐに弓も使えるようになった。器用な方かもしれない。
ある程度弓も使えるようになってからモンスターを2人で狩りにいったりもした。遠くから狙うんだが面白い様に急所に当たりEランクのモンスターも一撃で倒せるようになった。
それから気付いたことなんだが俺はキースと狩りをする時にモンスターに気付かれない様にと【千里眼】や【隠匿】を使っていた。そうしていくとキースは【遠視】と【気配遮断】というスキルを憶えた。どうやら俺が強いスキルを使っているとその下位互換の様なスキルを憶える様だ。そのスキルがレベル10まで行くともしかして上位スキルに変わったりするのかもしれないな。
それと俺とキースは【倉庫持ち】のスキルを持っている。もしかしたら使っていたらキースの【倉庫持ち】の容量を増やせないかなって思っていた。だからずっと色んなものを【倉庫持ち】に入れたり出したりを繰り返した。するとキースの【倉庫持ち】は最小となっていたのが小に変化した。実際にも入れれる量がかなり増えた。6畳の部屋にいっぱい荷物が入ってる分くらいの容量だろうか。このまま続けていけばもっと容量が増えるかもしれない。
そして俺が考えていたことで、その【倉庫持ち】の中に矢の予備を大量にストックしておくという事だ。【倉庫持ち】からは瞬時にアイテムが取り出せるのでストック分があれば矢を連射することが出来る。弓は矢が無くなると何もできなくなるしな。しかも自分の手に直接出せるから普通に弓を構えるのとは段違いに早く矢を放てる。キースも実際にやってみたら驚いていた。キースは以前は近距離だとナイフを投げていたので【倉庫持ち】にナイフをストックしておけばこちらもまたあるだけ投げれるようになるし。戦闘に【倉庫持ち】を使えるようになった。
後は魔法も習得出来ないかと思って教えてみた。
ガイ達と同じ方法で【気功術】は教えたが、キースにはあまり合わなかったみたいで自身の体をある程度強化するくらいだった。矢に気を纏わせて威力を上げたりは出来なさそうだった。
魔法も体の中での魔力の練り方を教えたり、実際に詠唱から発動までを丁寧に教えた。すると【生活魔法】は簡単に憶えた。まぁこの魔法自体比較的簡単に覚えることが出来るからな。他の魔法も初級くらいの魔法なら使えるようになった。ただそんなに強い魔法は使えなかった。やり始めたばかりだしと思ったが、キースはどちらかというとなんでもこなせるけど突き詰める程出来るようにはならない感じだった。こればっかりはその人のスキルとかの相性もあるしな。
でもキースはやる気に満ち溢れていた。こんな短期間にドンドン強くなっていってる実感を持てるのが嬉しくて仕方なかったみたいだ。そうだよね、人間頑張ったことの結果が目に見えてわかったらもっと頑張ろうって気になるよね。
元々器用だったのかキースは数日でかなりの強さにまで至った。
俺もガイやブランとの訓練があったからどうすれば効率よく強くなれるかが、何となくわかるようになってきたからだと思う。その人の特性を見極めて、どういうスキルをどうやって伸ばせばいいかが少しわかったような気がする。
野宿もしながら旅を続けた。
しかし野宿と言っても、俺が土魔法で屋根や壁を作って簡易的な小屋みたいなのを作る。そこに【倉庫持ち】から寝袋とか椅子、テーブルを出したりしてる。普通の雨ざらしの野宿とは訳が違った。いくつも部屋を作り、かまどとかも作れば台所と寝る部屋、居間みたいに使い分けできるようにも出来た。これにはキースだけじゃなく、ガイもブランも驚いた。俺は元々野宿する場合はこうしてみようと思ってたんだ。だから【倉庫持ち】に色々入れておいた。
当然小屋には【支援魔法】の【退魔陣】と【目隠し】を掛けている。だから傍からは何もないように見えるし、モンスターに襲われることもない。安心して夜を過ごすことが出来る。
将来的には小さな家を作るか買うかしてそれを【倉庫持ち】の中に入れておくのもいいかも。野宿の時にそれを出せばそこで泊まることが出来るかな。
そんなことがありながら俺達は旅を勧めた。
リステルの街からゆっくりとだったが順調に進んでこれたのでもうすぐグラントとエルバドスの国境も見えてくるらしい。
もうすぐこの国ともおさらばか。多分もう来ることはないかもしれないな。そんなにいい思い出がある訳でもないしな。そう言えば残りの勇者の2人はどうしてるんだろう。ちゃんと修行してるのかな。俺がそんなこと気にしてもしょうがないんだけど、もしかしたらいつか一緒に魔王と戦うことがあるかも知れないしな。
考え事をしていたら俺達の先に大きな壁とそこにある砦、そして町の様なものが見えた。
ブランやキースには国境がどんな感じか事前に聞いてある。
国境にはずっと長い岩の壁があって、国を分断している。昔どっかの魔法使い達が総出で壁を作ったらしい。そしてその壁に砦を築いてモンスターが国をまたいで暴れない様にしている。でも多分そんなのは建前で国同士いきなり攻め込まれない様にしてるんだろう。あんまり仲良くなさそうだしな。
そして砦の所には小さな町があるってことだ。場合によっては国境を超えるのに時間が掛かったりすることもあるからみたいだな。国境を越えてからの準備もあるんだろう。
ただ冒険者はギルドカードがあるから比較的簡単に国境を越えられるとのこと。
何もなく国境超えられたらいいな、と思い俺達は大きな壁に向けて前進した。
お読み頂きありがとうございます。




