村の危機
旅に出てからは順調に進んで行った。
1日歩いて辿り着いた村に泊まるを繰り返す。そうして旅を続けた。
街道を歩いているからか特にモンスターに出会うこともなかった。遠巻きに気配を感じることはあったが襲ってくることはなかった。人を襲うモンスターもこのあたりにはいないしな。こっちから近づいたりしない限り向こうからくることはない。街道は舗装はされていないがそこまで歩きにくい道でもなく、馬車が俺達を追い越していくのも何度も見た。
俺達は体力もあり歩くスピードも速かったので、村と村の間を日が暮れる前に踏破出来る。野宿しなくてすんでいるが宿で2人部屋に三人で泊まることはもうなくなったのが残念だ。宿屋は冒険者用に経営しているところが多く2人だけのパーティで旅するなんて冒険者はほとんどいない。だから結構な人数が泊まれる部屋を持っている宿屋が多い。
3日そうした行程で旅をしていたが、ある村に着くとイベントが待ち構えていた。
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村に着くと村人の姿が見えなかった。
村の規模は大きくはなかった。ざっと見て家が20軒ぐらい。それぐらいの数の家族が住んでるんだろう。しかし村の中には村人の姿がなかった。まだ日暮れ前だ、流石に村人全員が家の中に閉じこもっている理由が浮かばない。
俺はとりあえず【気配察知】を使ってみる。
確認すると結構な人数が1つの家の中にいるのが分かった。
俺達もこのまま村の入口で突っ立っている訳にもいかないのでその家を目指した。
気配を頼りに辿り着いたのはこの村で一番大きな家だった。こういう家って大体村長の家だったりするんだよな。
俺は意を決して家の扉をノックした。
「誰だ?」
家の中から男の声が響いた。
「旅の冒険者です。旅の途中でこの村に寄りました。宿があれば教えていただきたいんですか?」
俺は出来るだけやさしい声をして中の人に話しかけた。
こちらのことを警戒しているのが分かる。敵意がないことを伝えないと。
俺が答えてからしばらくして扉が少し開き、男が隙間から覗いてきた。
一応笑っておいた。
すると扉が開き男性が出てきた。20代中盤だろうか。暗い青い髪とそれと同じ色の目をしていた。この世界では髪と目の色も元いた世界とは大きく異なっている。体格は普通体系、背もそんなに高くなく質素な服を身にまとっている。う~ん、特徴がないから次に会ったら憶えてないな絶対。
「ホントに冒険者か?」
「ギルドカードを見せましょうか?これです。」
男に疑われたのでギルドカードを見せた。
「本物の様だな、中に入ってくれ。」
そう言って男は中に戻っていった。いや、別にこの村に宿があったら泊まりたいだけなんだけどな。どう考えても厄介ごとの匂いしかしない。でもここで中に入らない選択はないな。入らないと話すら聞けなさそうだし。
俺達は仕方なく扉を開け中に入った。
中に入るとそこそこの広さの部屋に結構な人数がいた。
全員大人の様だ。
1人の男が前に出た。
「冒険者様ですね?私はこの村の村長をしてるグレゴリと申します。
いきなりで申し訳ないのですが依頼したいことがあるのです。」
グレゴリと名乗る白髪の男性が俺達に言ってきた。
依頼、ねぇ。
俺達冒険者は別にギルドを通さなくても依頼を受付することは出来る。ギルドがない村や町は結構ある。そこの人間が何かある度に近くの町に依頼を出しに行く訳にもいかない。だから冒険者に直接交渉で依頼を申し込むことは問題とされていない。ただギルドを通してないので報酬だったりは直接依頼者と冒険者でやり取りをするしかない。冒険者に吹っ掛けられることもあるので直接依頼をする時は大体が緊急性の高いものだ。
「私たちはEランクの冒険者です。大したことは出来ませんが一応お話を伺いましょう。」
「ありがうございます、こちらへどうぞ。」
そう言って俺達はリビングの様な所に通された。椅子を勧められて座ると村長から説明があった。
要約するとこの村の近くの山に盗賊団が住み着いたらしい。少し前からだから様子を見ていたが今日いきなりやってきて村の娘を一人さらっていった。今村に冒険者はおらず、村に戦える者もいない。どうしようかと途方に暮れた時に俺達がやってきたという事だった。
依頼の内容は「さらわれた娘を助け出して欲しい」だった
なんかテンプレだな~っと思ってしまう。盗賊団とかあるんだ。街の奴隷商のところで盗賊の称号を持っていたのもいるしそこそこ普通にいるのかもしれないな。
「盗賊団は何人位いるんですか?」
「20か30。もっとおるかも知れない。私たちも詳しくはわかっていないのです。」
そうか、結構な規模なんだな。
どうするか悩む所だな。選択としては依頼を受けずにこの村を出て野宿する。もしくは依頼を受けて盗賊団から村の女性を助け出すかのどちらかだが。前者だと流石に依頼断ってこの村でのうのうと1泊は出来ない、どんな目で見られるやら。後者なら当然盗賊団のアジトに乗り込まないといけない。戦闘もあるだろう。しかも対人戦。大分覚悟が必要になるな。
前にブランに聞いたが盗賊なんかを殺してしまっても罪にはならない。犯罪者とわかる称号を持ってるものを殺しても、人殺しなどの称号は付かないとのこと。どういう原理なんだろうか。スキルを司る神がいるくらいだから、称号を司る神でもいるのかもしれない。
ともかく盗賊とかには容赦はいらないんだ。しかし俺は今までモンスターを殺したことはあっても人を殺したことはない。アジトに乗り込んで手加減して殺さないように痛めつけるだけで終わると恐らく怒った盗賊がこの村を襲うだろう。そうなったら村人が皆殺しにあうだろう。自分が甘さを見せてそんなことが起きたら後々後悔する。もし依頼を受けるのであれば人を殺す覚悟を持って受けないといけないだろう。
それに依頼を受けるかどうか2人にも相談しないといけないな。
「少し仲間と相談をしたいので一旦外に出ますね。」
俺はそう言って2人を連れて村長の家から出た。




