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召喚された世界はスキルがものをいう  作者: 雷
冒険への足掛かり
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まさかり

 【ブラッドグリズリー】は倒せた。【鑑定眼(アナライズ・アイ)】でHPがちゃんと0になってるのは確認した。油断はしないよ、終わったと思って安心してるところを後ろからガーッと襲われるとかたまったもんじゃない。


 しかしやり過ぎたか。辺りの気温が下がって若干寒い。どうにも調整が難しい。ターゲットだけを凍らすことが出来たらいいんだけどな。使い慣れてる訳でもないから細かく範囲を設定することが出来てないな。ちゃんと使いこなせるようにならないとやっぱり近くにいる人を確実に巻き込むな。

 

 まずは氷を溶かしておくか。

 氷漬けにした【ブラッドグリズリー】の周りの氷を魔力を使って溶かしていく。水に変えるってことだ。魔法で出した氷は単なる氷だ。魔力を込めていきなり解けたり、砕かれたりしない様にはしているが一瞬で何もなかったように消したりできない。一度水に戻すしかない。



(あるじ)は流石じゃのう。【ブラッドグリズリー】を丸々凍らせるとは思わなんだ。」



 ブラン達が俺のところへやってきた。

 毎度毎度ブランは俺のことを褒めてくれるけど勘違いするぞ。単純に凄いと褒めてくれてるだけだろうけどな。

 氷の魔法は水魔法に属しているが水魔法を使うより難しい。水を氷に変化させる為に魔力を込めないといけないからだ。しかもこの近くには池や川などの水場はない。俺のMPを使って水を作って、それから氷に変えている。だから使う時にはそれなりの時間がかかってしまう。

 そこでもしやと閃く。

 【倉庫持ち(アイテムボックス)】に大量の水を入れておいてそこから取り出して水魔法や、氷魔法を使ったらもうちょっと早く使える様になったりするんじゃないだろうか。MPの消費も抑えられるはず。よし今度試してみよう。


 そんなことを考えている間に【ブラッドグリズリー】を覆っていた氷が解けてすべて水になった。

 辺りが水浸しになったけど森の中だし大丈夫だろう。しかし周りの草木も一回凍ったり、冷気にさらされてるから枯れたりとかしちゃうかな。環境を破壊してしまった。牽制で放った【岩の弾(ロックバレット)】の外れたやつが近くの木に刺さったりもしちゃってる。やっぱり魔法は威力があるんだけど結構周りに被害が及んでしまう。ターゲットだけに効くような魔法はないのかね。

 俺が知ってる魔法は今のところすべて本に書いていた知識だ。城で見せてもらったり、道具屋に売ってた魔法百科という本を見て憶えた。しかし多分本に載ってる魔法だけが全てじゃないと思う。魔法ってイメージを具現化したりしてるから割と融通が利く。【岩の弾】の弾の形状を変えたりできるし。魔法を研究してる人もいるみたいだから独自に魔法を編み出したりもしているらしい。俺も新しい魔法を作ってみようか。確かスキルの中に【魔法作成(マジッククリエイト)】というスキルがあった。俺のオリジナルの魔法、とてもファンタジーだ。

 元の世界でゲームをしている時にもどうやって敵を倒すか戦略を練ったり、アニメの戦闘シーンを見てる時に自分だったらどう戦うかとか少し恥ずかし事を考えていたが今それが役に立ちそうだ。

 やりたいことがどんどん出てきて、やろうとしても追いつかない。精神と時の部屋が欲しいと切実に思う。


 今一番やらないといけないことは【ブラッドグリズリー】の首を持ってギルドに帰り、そのまま旅に出ることだ。

 解けた【ブラッドグリズリー】はまだダイゴMk-Ⅱにベアハッグを決められている。俺はダイゴMk-Ⅱを土に戻す。ありがとうダイゴMk-Ⅱ、そしてお疲れ様。

 ダイゴMk-Ⅱの枷から外れたブラッドグリズリーがそのまま後ろにバタンと倒れた。



「わしが首を斬ってこよう。」



 ブランがそう言って背負っていた斧を手にして【ブラッドグリズリー】の死体の近くまで行き、勢いをつけて首に斧を打ち付けた。一撃で【ブラッドグリズリー】の首が飛んだ。



 ま~さかりか~ついだ金太郎~、 斧を一撃首が飛ぶ~。



 その光景を見て物騒な歌が頭の中に流れた。

 ブラン一撃で【ブラッドグリズリー】の首斬れるんだ。ブラン一人で挑んでも勝てたかもな。俺と同じように人形(ゴーレム)使って足止めして、その隙に頭飛ばすとか。流石に頭が体から離れたら再生は出来ないだろう。というか普通に頭叩き割ったらいいんだよな。今回は頭持って来いって言われたから首を落としたけど、【岩の弾】も頭はガードしながら突っ込んできたから攻撃は普通に効くんだろう。

 周りの氷は溶かしたがブラッドグリズリーの体は凍ったままだから首を落としても血は出なかった。このまま持って帰ろうか。そう思って【倉庫持ち(アイテムボックス)】の中に首を入れた。

 体の方はどうしようか。魔獣って食えるのかな?



「【ブラッドグリズリー】の体ってどうしようか?魔獣の肉って食えるの?」


「さぁ?どうじゃろうな。魔獣の肉を食ったという話は聞いたことないな。安全かどうかも美味いかどうかもわからん。」



 ブランが額にしわを寄せて答えてくれた。

 元の世界では熊肉とか食ったりするって聞いたことあったけどね。流石に魔獣は判断が付かないな。確か魔素を含んでいたはず。スキルがあるから毒とかあっても無効化出来るかもしれないけど味は実際に食べないとわからないしな。今は特に食うものに困ってる訳でもないからいいか。でも魔獣ってレアな生物らしいし体のどっかの部分が何かに使えるかもしれないから一応持っとくか。

 そう思って【ブラッドグリズリー】の体も【倉庫持ち(アイテムボックス)】の中に入れておいた。



 全部済んだし街に戻って旅に出よう。

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