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召喚された世界はスキルがものをいう  作者: 雷
【ウィクルーア】編
235/237

「さてと明日から行動開始だな。」



 俺は席を囲む仲間達にそう言った。

 ここはトレーラーハウスの中のリビングに当たる部分。タイザンのメンバーが全員揃っている。

 結局エルフの里の長と取り決めをしてから数日が経っていた。


 エルフの長、イメルダの父にだが名前はスサという名だった。

 そのスサと取り決めをしてみたものの良くもまぁ俺達のいう事にを信じたって言うか話に乗ったなって感じだ。後々考えると俺達の実力もわからないのに娘を預けるって言うのはどうかと思う。

 そうは言っても人族がエルフの里に来ること自体が普通ではないんだろうけど。普通の冒険者位であればエルフの里になんて来ることが出来ない。そりゃそうだ。港町からは距離もあるし、途中に寄れる町なんてものはない。補給もなくここまでモンスターなんかを掻い潜ってこないといけないんだ。

 タタラさんも近くまでは来たみたいだけどSランクの冒険者だからな。いうなればここに来る為にはそれぐらいの実力がなければいけないってことだ。

 だけど一応ってことで俺達はスサに対してもパフォーマンスをしてみた。ちょっとした模擬戦だったりいろいろな魔法やスキルと言ったのを見たんだ。かなり驚いていた様だが。

 ガイがその辺の木の枝で岩を破壊したリ、ブランが土人形(ゴーレム)作ったのを見せたり、シータが完全に気配を消して見たり。過剰すぎる程だったかもしれないがな。それでちょっとは安心してくれればいい。今後友好的な関係を築こうと思っているから別段持っているスキルや能力がバレてもいいかと思うし。でもまぁ殆ど一端に過ぎないんだけど。

 それから里の中で話を聞いてみたが特にこれといった話を聞くことが出来なかった。里の外でいなくなったんだし、どこで何があったかなんて知る由もないだろう。どういう人がいなくなったのかって言うのも聞いても役に立ちそうにもなかった。こればっかりは仕方がない。後は里の外に出てから手掛かりでも探すかと思うが、大分時間もあいているから何か手掛かりが残っているというのは期待薄だろう。

 ただ里の中にいた所で状況が好転するはずもないので外に出て色々と行動を起こすことにした。


 といってもいつもながらにどうするかなんだけどね。

 敵の正体は不明、目的も不明。現状わかるのが何人かのエルフが恐らく(さら)われてるであろうことぐらいか。

 敵の能力が不明って言うのがネックというか、前回コルカルの町が襲われた時もどうするかって言うのを対策を立てる時間もある程度必要だ。すぐにどうすればいいか解析でも出来ればいいがこっちがやられる・・・、それはないかもしれないが敵いそうにないから逃げられるって言うのも面倒なことになる。見付けたらその場で何とかしたい。ただそれがその場で何とかできるかどうかなんだけど。

 目的も恐らくエルフを手駒にしたいってので正解だと思うんだけど既に何かしらの実験に使われていてどこかで監禁されているという可能性もあるし。そうなると逃げられると問題だ。

 敵の能力はまぁ精神操作なりだとは予想がつく。物理的に捕まるってことは中々難しいはずだ。エルフもそれなりの能力を持った者を里の外に出してたはずだ。この森の中でエルフに反撃なんかを許さずに物理的に拘束するって言うのは難しいだろう。すぐに逃げられるだろう。それだったら俺達を物理的に捕まえるとかって出来っこないと思う。異空間に閉じ込めるとかあるかも知れないけどそこまでの力があるのだったらエルフを一人一人捕まえる必要すらないだろう。里にでも攻め込んで一気に捕まえられる。それだけ空間系の能力は制限が厳しい。俺自身も研究を重ね、というかイルカが作って今では【空間魔法】という魔法もある。ただそれもかなりの数のスキルを弄って作った魔法だから元ネタになるそれぞれのスキルを使えなければ意味がない。俺が使える様になるんだから魔王とかも使えるんだろうけど、その配下が使えるかって言うとそれは難しいと思う。かなりMPの消費量が多い。仮に相手が使えても俺がいるから何とかなるだろうし。

 精神支配系は俺達には聞かないだろうが魔人の村みたいなことがあると分からない。普通の魔法やスキルじゃない特殊な物もあるだろうし。

 ここはあれかな。魔人の村と同じ事をするしかないか。


 ともかく俺達はエルフの里から外の森に出た。

 俺達タイザンのパーティメンバーとイメルダだ。

 これから行く当てもないしどうせうろうろしないといけないからまず行ってみたいところもある。



「シータ。」



 俺は【念話(テレパス)】でシータに声を掛ける。



「はい、(あるじ)。」


「ここからシータが昔住んでいたという小屋の場所はわかるのか?」


「えっ、はい・・・。わかります。」


「じゃあそこに案内してくれ。」


「それは、良いんでしょうか?」


「問題ないよ。特に俺達に目的地はないんだし。とりあえず森の中を散策しないといけないからね。

 それともシータは行きたくない?」


「そんなことはありません。」


「じゃあ行こう。でも結構時間が経ってるからどうなってるかわからないけど。」


「はい。」



 それだけの会話をして俺はシータとの【念話(テレパス)】を終了した。



「じゃあシータに先行して貰う。」


「何?この森だったら私の方が詳しいが?」



 俺の言葉にイメルダが不審げな顔をして聞いてくる。



「特にこの森の中でどこに行きたいとかの目的地が今ある訳じゃない。そのいなくなったエルフがどっかに集められてるとかもわからないし。結局はこの森を散策するしかない。

 シータはうちのパーティメンバーでは偵察とかに向いているスキルを持っているんだ。何かあっても対処できる。」


「そうなのか?」



 イメルダがそう言ってシータを見る。見られたシータはイメルダの視線を避ける様に顔を下に向ける。なぜ視線を逸らされたかわからないイメルダが困ったような顔をして俺を見る。まぁシータも色々と思う所があるんだろう。



「そうなんだ。とりあえず進もう。ここにいた所でどうにかなる訳じゃないんだから。」



 俺はそう言って歩き出した。シータは既に俺達の前を歩き出していた。仲間達も何も言わずに歩き出す。皆もある程度分かってるってことか。それともわからなくても俺のいう事をそのまま聞いてくれているのか。イメルダだけが1人遅れて歩き出した。

お読みいただきありがとうございます。

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