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召喚された世界はスキルがものをいう  作者: 雷
【ウィクルーア】編
234/237

エルフの長

 まぁある程度予想はしていた。

 今エルフの長からお前達に協力する気はないと言われたが、そう言われるんだろうなと思っていた。

 どう考えても歓迎ムードでもないし、普通に考えて協力するメリットなんかもない。

 元々エルフが人族を下に見ているのは知っていたし、協力して欲しいと下に見ている者から言われても簡単に首を縦に振ることはないだろう。最低限対等の立場か、上の立場の者からの言葉じゃないと素直に受け入れることはないだろう。

 しかしながらどうするかってことだよな。


 考え付くのは3つ。

 1つ目はそんな事言うのであればもういいやってことでエルフと協力するのは無しにする。

 しかしそれだとわざわざここに来た意味すらない。何の為にエルフの里に来たんだってことだ。

 オモイカネにも言われてるんだから恐らく協力は必須という事だ。下手に魔王の力を知って敵に回る可能性もあるもんな。だからこの案は無し。

 2つ目は力を見せつけて従わせるってこと。

 正直俺、というか仲間も含めてこの里を壊滅させるのが簡単名ほどの力を持っている。その力の一旦でも見せて力で従わせる方法。いわゆる自分達の立場を上だと示して従属させるって感じかな。

 この案も最終的に裏切られる可能性がある。魔王の方がいい条件を出すとか何かで交渉でもされたらもしかすれば簡単にこちらを裏切ることになるかも知れない。そして俺自身もやりたくはない。偽神でも見せつければ簡単かもしれないけどそんなギスギスした人間関係を持ちたいとは思えない。だからこの案も却下。

 最後の3つ目として恩を売って協力を得る。

 これが一番現実的かな。対等以上の関係性を持たないと協力なんて出来ないだろう。いくら今回の魔王がエルフ達だけでは倒せないって言葉で言ったところで信じないだろうし。まずは信用を得るってところか。信用して貰うまで待ってもいいんだけどそれだと手遅れになってる可能性もある。信用して貰うまで待っていてエルフの里が壊滅してましたってことになったら洒落にならない。

 先程のイメルダの様子からしてエルフの里も何かしらの脅威にさらされているんだろうしそれを何とかして恩を売って、協力すると言質を得るってところだな。それから関係性を築いていく感じだろう。無難な案だ。というかよくゲームやアニメであるイベントってところだな。

 この案で話を進めるとして問題はどう話を持って行くかってことだな。

 色々と話していくのも面倒なんだよな。やることは決まってるんだから。



「それは何故ですか?魔王が復活したのは知っているんでしょう?だとすれば協力をした方がいいという事もわかる筈ですが。」


「何故だと?魔王などはエルフがその気になればいつでも滅ぼせる。だから協力など必要ないという事だ。人の身であればエルフに助けを得たいと思うのであろうがな。」



 まぁそう考えるだろうな。魔王の脅威ってものを感じたことがないんであればそう思うだろう。魔王も水面下で色々動いているから現状脅威があるとは思わない。上手いことやってるよな。魔王がどれだけの脅威を持っているかななんて俺ぐらいしかちゃんと知っていない。仲間もまさか魔王が俺と同じ様にスキルをなんでも使えるとは知らないし。でもそんなこと説明できない。そうなると何故そんなこと知っているのかとかの説明もしなければいけなくなる。

 しかし面倒だな。もうズバリ言ってしまった方がいいか。



「本当にそう思っているのであれば考え直した方がいいですよ。」


「なんだと!」


「ここにいる俺達はこの里全員を相手して簡単に勝つことが出来ます。その力を持ってるにもかかわらず神にそれでは勝てないので他の種族にも協力を要請しろって言われたんですよ。」


「そんなことが出来るものか。」


「いや、出来るんですよ。模擬試合とかしてもいいんですけどそんなことしたって信用しないでしょ。たまたまだとかなんとか。そんなことよりも今の状況をちゃんと理解して話した方がいいですよ。」


「貴様、何を言っている。」


「エルフの里に異変でも起きてるんでしょ。具体的には行方が分からなくなった者がいるとかなんとか。」


「何故貴様がそれを、貴様の仕業なのか!」



 周りで聞いていた門番も手に持っていた槍を俺達に向け構える。



「そんな訳ないでしょ。少し考えたらわかるって。いくら里に近いからって偵察に出てるエルフが1人だけって異常だし。これまでのことってそこのイメルダから聞いてないの?魔人の話とか。」


「そんな話を信じる訳なかろうが。」


「今この里で起こってる事と照らし合わせて考えれば普通考え付きそうなもんだけどね。」


「それは貴様たちが自分の行いを隠す為の作り話ではないのか。」


「いやいや、それだったらわざわざこうして顔見せたりせずにそのまま続けるって。そんなのも考え付かないの?わざわざ顔みせてこっちにメリットなんてないでしょうに。どういうことかわかってな奴に教えてやるようなもんだろ。」


「それは・・・。」


「んで結局このままだったらどちらにとっても良いことがないし話も進まないので条件を付けよう。」


「条件だと?」


「あぁ、俺達が今エルフの里で起こってる問題を解決するからエルフはこちらに全面的に協力するってことで。」


「なぜそんな条件をこちらが飲まなくてはならないんだ。」


「いや、ちょっと考えたらわかるだろ。今のままで自分達で問題を解決できるのか?何の糸口もつかめてないんだろ?

 俺達は基本的には部外者なんだから問題を解決しようとしまいとそちらには害にはならないだろ。

 問題が解決したのであれば俺達の実力も分って貰えるだろうし、協力する気になるだろ。もし問題が解決しなかったとしても部外者が消えて今まで通りになるだけだからそっちに不利になることはない。」


「お前達がこの騒動を起こしていないとは言い切れないだろう。」


「じゃあ俺達の監視役としてそこのイメルダを俺達に同行させればいい。」


「なんだと!そんなことが出来るものか。お前達が連れ去る可能性があるんだぞ。」


「いや、だからそんなことしないって。それだったらわざわざこんなエルフの里の中に入ってこずにさっきの森の中で攫ってるって。こっちは姿見せてるのにイメルダがいなくなったら犯人直ぐに分かるだろ。

 わざわざこちらが姿を見せる必要なんてないだろ。」


「しかしだな。」


「最終的にどうするかはそっちに任すけどね。俺の条件を飲むか、それとも飲まないか。それだけの話。

 条件を飲むなら事態が解決するかもしれない。飲まないならこのまま自分達で何とかする。

 大分いい条件だと思うけどね。」


「素性のわからない様な者と娘を一緒に行動させることが出来るか。」



 イメルダは長の娘らしい。俺は【鑑定眼(アナライズ・アイ)】で2人の名前を見た時からそうじゃないかなとは思ってはいたけど。その点はどうでもいい問題なんだけど。



「さっきも言ったけどどうするかは任せるけどホントにそれでいいのか?

 結局このままだとジリ貧だと思うけどね。自分達で今の問題を解決できると思う?

 偵察に人を出さずに引き籠るって言うのも手だとは思うけどそうなればそれで別の問題が出てくるだろうし。今起こってる問題を対処出来る考えや力がある?」


「どこまで我らを愚弄するつもりだ!」


「愚弄するつもりは毛頭ないよ。現実的な問題として聞いているんだ。別に馬鹿にしてるつもりもないし。何度も言う様に今の状況を打開するだけの策はあるのかってこと。

 それがないのであればこちらの案に乗ってもいいと思うんだけどね。

 もし俺達が協力しないってことになった場合は結局イメルダはそのまま偵察に出たりするんだろ?それでもしまた別の者の様に襲われるかでもしたらどうするつもりなんだ?」


「父上。この提案を飲むべきだと思います。」



 今まで黙って聞いていたイメルダが口を開いた。



「なんだと!お前までそのような事を。」


「この者が言った様にここで手を組まなければいずれ私もどうなるか・・・。そうなった時に里の者たちも危険にさらされる可能性があります。長の娘としてそれは到底容認できません。」


「お前がどうなるかなど。」


「いいえ、今までいなくなった者たちは私よりも強き者達でした。その者達でも誰も帰ってこない。冷静に考えて何かあった場合私1人で対処出来るとは思えません。」


「この者達が信用出来るとでも?」


「それも先程言っていた様にもしそうであれば出合い頭で私は戻ってこれなくなっていたでしょう。」



 その言葉を聞いた長は一旦俯き、そして顔を上げ俺を見つめる。



「娘の身の安全は保障されるんだろうな?」


「そこは善処するとしか言えないけど、まぁ魔王が出てこないのであれば何とかなるかな。

 ただ説明した通りもし人族と同じ様に何かしら魔族に手を加えられていたのであれば今までにいなくなった人達を無事里に戻すってのは難しいと思って貰いたい。」



 俺は魔人の村の事を思い出しながら言った。あれと同じ様なことが起こってるのだとすれば、多分助けるって言うのは難しいだろう。

 とりあえず先に言っておかないとな。俺だって何でも出来る訳でもないし。



「わかった、ではそちらの要求飲もう。」


「あぁ、じゃあそう言う事でとりあえず詳しい話を聞くとするか。今までいなくなった人達の事も聞いておきたいし。」


「では里への滞在を許そう。しかし滞在となると暮らす家だが、そちらの人数を泊まらせることが出来る家はない。当然だが宿などこの里にはないからな。1人か2人ぐらいずつ別れて貰うことになるが。」


「いや、どっか何もない広い土地だけあればいいよ。トレーラーハウスがあるし。」


「トレーラ・・・?なんだそれは。」


「後で見せるよ。畑とはじゃなく何もない平坦な場所はある?」


「それぐらいならばな。」



 エルフ達も俺達の事を快く思ってないだろうし、それで誰かの家に厄介になるって言うのもしんどい。

 バラバラになるって言うのもな。トレーラーハウスだったら暫く暮らしても問題ないだろう。というか普通に家よりも多分快適だ。

 話もまとまったし後はやることだけだけど。すんなりとはいかないもんだ。

 ゲームでもイベントあったりするけど、こうやって行く先々でトラブルが発生するのはお約束なんだろうか。魔王も復活して活動してるんだから当然と言えば当然なんだろうけど。こちらはRPGだけど、向こうはシミュレーションとかそんな感じなんだろうか。自分で行動せずに仲間を育成して色々とミッションをこなしていくって感じかな。

 俺的には恋愛シミュレーションがいいんだけどな。最近ホントにそんなことがない。フラグとかどこに行ったんだろう。

 はっ、ふと思ったが魔王が超絶タイプだったらどうしよう。しかも向こうも俺のことがイケてたり。

 考えてなかった。そうなるとそこで恋愛イベント発生!?向こうに付くか、こっちに付くか?

 いや、ないな。そもそもいくらタイプでも魔王に選ばれる様な性格してるんだから確実に人としては終わってる。あの良くあるちょっと悪の方がカッコいいとか。障害になるから殺しそうとするような奴だからな、ちょっとで済ませられない。そんな奴いくら外見がタイプであっても好きにはならない。

 そもそも、こんな事考えているがそんな確率はまずない。元いた世界でもそうそう出会える可能性がなかったのに。

 そう言えば魔王が男って限った訳じゃないんだよな。女って可能性もある。魔王であって性別の話は出てこなかったし。今度幹部にでもあったら聞いてみたいところだ。幹部に会ったらそれどころじゃないんだろうけど。今までやってきたことについては考えてみたけど魔王の外見ってのを考えたことがなかったな。年齢も不明だし、性別、後はもしかしたら国籍も俺達と違っていたり。

 魔王の事はおいおいわかるだろう。初めましてが最後になる可能性があるが。向こうも極力俺に会いたくはないだろう。会う前に抹殺しておきたいだろうし。

 

 とりあえず魔王の事は置いておくとして、目先の問題をどう解決するかだな。

 今回の件はなるべく早くに解決しておきたいが、何となく時間がかかりそうな気がする。敵がどんな奴でどこにいるかもわからないからな。どこで今までのエルフがいなくなったかなんてわからないし、手掛かりを探しようもない。地道に行くしかないだろう。

 皆でどうするか考えるか。っていつも通り俺が考えることになるんだろうけど。



 その後長とイメルダに空き地に連れていって貰ってトレーラーハウスを出したら驚いていた。

 少しはデモンストレーションになったのであればいいんだが、戦闘とかには関係ないスキルだからな。何がどうできれば安心できるという問題でもないのかもしれない。今回の敵の数や能力もわかってないからそれにどう対応できるかだから。

更新がかなり間が空いてしまってすいません。

一月ほど入院してましたので。

元気にはなったのでまたぼちぼち更新していこうと思います。

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