読書の時間です
街中を歩き宿屋を探す。
昨日泊まったとこは【偽装】を使って泊まっていたからまた泊まろうと思うと、毎回スキルを使わないといけないから面倒だ。だから別の宿にしよう。
大きな街のおかげか宿は結構あるみたいだしな。
冒険者風の人の出入りがあった宿屋の入口をくぐる。
部屋が空いているとのことで今日はここに泊まることにする。値段も前に泊まったところと変わらなかった。しかし今回の宿は3人部屋があった。
残念だ、ひじょーに残念だ。
部屋について俺はベットに腰かけて【倉庫持ち】から購入した本を出して積んでいく。まだギルドへ向かうには早そうだから買った本でも読もう。
「俺はこれから時間潰しに買った本を読もうと思うけど2人はどうする?」
残りの2人がどう過ごすか聞いてみた。
「わしは主の剣を見てみようかの。」
ブランはそう言って立て掛けていた俺の剣を手に取った。さっき言ってたように手入れをしてくれるんだろう。
「そうか、ありがとう。お願いするよ。」
そう笑顔で答える。
ガイの方は無言で俺の方を見てくる。
やることが思いつかないんだろうか?一人でうろつく訳にもいけないだろうしな。
「一緒に本でも読む?」
俺がそう言うとガイは仕方がないといった感じで俺から本を受け取った。
ブランが部屋から出て行って、桶に水を張ったものを持って帰ってきた。
剣を研いだりするんだろうか。
そんな姿を見ながら俺は背中を壁につけてベットの上に足を放り出す様に座って本を読みだした。
そう言えばスキル付け替えないとな、と思いいつもの様に持ってるスキルを入れ替えた。
今回使うのは【完全記憶】と【速読 LV.10】というスキルだ。
【完全記憶】は前も使った見たものを完璧に記憶できるスキル.
【速読】は文章を読むスピードがレベルに応じて上がるスキルだ。
俺は本を手に取りパラパラとページをめくっていく。スキルのおかげでこのスピードで読んでも完全に内容が頭の中に入ってくる。 はぁ、元の世界にいた時にこのスキルがあったら勉強がどんだけ楽だったか。
そう思いながら一定のスピードで本をめくり続ける。
パタンと本を閉じるのに大体10分位かかっただろうか。しかし百科事典の様な分厚さがあった本の内容は全て頭に入った。
ガイがしかめっ面で俺を見た。
「まさかもう読み終わったのか?」
「あぁ、1回見たら憶えるスキルと早く読むスキル持ってるからな。」
ガイにそう答えながら別の本を手に取った。
「なにか腑に落ちない。」
そういうガイは10ページ進んだくらいのところで止まっていた。
仕方ないじゃないか、そういう仕様なんだし。まぁ俺もガイの立場だったらそう思うだろう。
「これは特に研いだりせんでもいいみたいじゃな。」
ふとブランが声を上げた。
見ると俺の剣をじっくり眺めていた。
「あれだけモンスターを斬ったりされてたんで、歯が欠けたりしたかと思っておったが、全く刃こぼれがないのう。よっぽど剣の使い方が上手いんじゃの。流石勇者様じゃ。」
俺が凄いんじゃなくてスキルが凄いだけなんだけどね。
ブランにそう言うと、それもあなたの持つ力だからやっぱり主が凄いと言われた。
うん、そういうことを言われるとキュンとするぞ。こいつめ。
しかしブランに聞いてみると俺の貰った剣はそこまでの剣ではないらしい。タダでくれたんだし文句はないけどね。でもいずれは良い剣も持ってみたい。聖剣とかあったりするのかな?でも別のやつが使いそうだけど。彰とか。
後、今後の戦い方も悩む所なんだよね。
剣や別の武器主体で戦うか、魔法を使って戦うかってとこで。魔法の方が楽は楽なんだよね。ほぼ無尽蔵のMPと高い威力を無詠唱で使えるし。ただ万が一とかの可能性があるからな~、魔法を封じられるとか。よくファンタジーでありそうなシチュエーションだからな。そうなった時に剣も1つも使えないと身を守る術が無くなる。
やっぱりバランスよく育てていく方がいいか。
そんな事を思っているとブランの方も剣の手入れが終わり暇になったようだ。
じゃあという事で話をすることにした。まだまだ聞いてみたいことがあるし。
ただ本も読みたいしなと思ってあるスキルを思い出す。
【並列思考】というスキルだ。何か1つの事考えながら別の考えもできるというものだ。このスキルを使えば高速に本を読みながら会話することもできるだろう。
そう思ってこのスキルも追加しておいた。
「とりあえずなんだけど暫くは宿に泊まってギルドの依頼をこなしていこうと思う。
Eランクぐらいになってからこの街を離れようと思う。今でも旅に出ても問題ない気がするけどもうちょっと試そうと思うことがあるから。それでもそんなに時間はかからないかな。
ブラン、FからEランクに上がるとしたらどうしたらいいのかな?」
「色々とあったと思いますがの。Fランクの依頼を10個達成するとか、Eランクのモンスターを討伐したりするとか。」
「そうか~、だったらEランクのモンスター討伐する方が楽かな。余裕で倒せそうだしな。」
「そうじゃろうな。」
「だったら数日中にもこの街から出発できるかな。
そこでなんだけどどこか行きたいところってある?」
「「えっ?」」
俺の言葉に2人が声を上げて驚く。
「いや、俺は別にこの国から出たいだけで今のところ目的地があるわけじゃないんだよね。だから2人がどこか行きたいところがあるんだったらそこに行ってみるのもいいかなって思ったんだ。」
獣人とか見に行ってみたいけど、この大陸にもいるみたいだし。旅をしていたら会うこともあるかも知れない。
「どこかない?」
2人がお互い見合わせる。
「じゃったら、行きたいところあるにはある。」
ブランがそう言った。
「どこ?」
「わしには弟がおっての、両手を失ってからはすぐ奴隷になってしまって手紙を書くこともできんようになった。だから出来たら無事であることを伝えたい。手紙でも書けばいいんじゃろうが出来たら無事な姿を見せてやりたいんじゃが・・・。」
「そうなんだ、分かった。じゃあ会いに行こう。」
俺は即決した。ブランの弟に会ってみたい。
「ありがとうございます!」
ブランはとても喜んでくれた。
「ガイはどこか行きたいところないの?」
「俺は・・・・特にない。」
「わかった、じゃあこの街から出たらブランの弟さんの所に行くけどいいかな?」
「あぁ、俺もそれで構わない。」
ガイからの了承も得られた。しかしガイも何かある気がするんだよな。心とか読んだらわかる気はするけどそんなことしたくないしな。後、知った後そのことに触れずに生活を送れるかどうか。俺は結構顔に出るって言われてたし。




